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65th SNOW 記念すべき初デート(後編)

今回は後編。


最後は家デートとなります!

 スカイタワーに到着した二人は、雑貨を購入し、展望台へ向かった。


音もなく、エレベーターがスーーーーっと上がっていく。


観光客も多いこの電波塔は、人が密集しているにも関わらず、静寂に包まれていた。


この静寂がときめきを高めていく。


早く着いて欲しいのと、まだ着かないで欲しい気持ちの両方がせめぎ合っている。


1分後、チーーーーーン、という音と共に展望台の階のエレベーターが止まった。


いざ着いてみて、テラスから地上400メートルからの景色を一望した。


「うわーーーー!!! すっっっっっごーーーーーーい!!!!」


氷華は大興奮で、展望台の景色を一望した。


氷華もここに来るのは初めてだったので、あまりの壮大さに子供のような感情を露わにしていた。


「ホントだね、氷華。……こんな高い景色を見るのは僕も初めてだね。……清水寺(きよみずでら)で見た景色よりも壮大だな〜……」


まさかのここで京都人っぷりを発揮した晴夜。


だが、興奮しているのは晴夜もそうだった。


「あー……京都ねえ……確かに景観は綺麗って聞くよね。……ていうか、ここ東京だよ? わざわざ清水寺と比べても仕方ないんじゃないの?」


「アハハ、そうだね。でもいつか……氷華にもあの景色を見せたいかな。赤く染まった紅葉。」


物思いに耽る晴夜、年相応の笑顔を氷華に向けた。


「……でもいいよね、京都も……でもさ、晴夜、よくよく考えたんだけど……」


「うん、なんでも言って。」


「……雪女と陰陽師ってさ……現状()()()()じゃない……?? 私の家族とかさ、冬菜ちゃんはまだいいよ、理解はしてくれてるから……だから……付き合っても大丈夫なのかな、って心配にはなってくるかな、私は……今後……私たちの仲を裂いてくる人たちが現れてもおかしくないし……」


氷華は悲哀の表情を浮かべる。


実際問題で言ってしまうと、「ある事情」から雪女一族と陰陽師一族は犬猿の仲である。


だからこそ、その垣根を超えている二人を今後圧力から裂いてきそうな人間が現れてもおかしくはないし、陰陽師の当主一派は()()()()()()()()()()


今は晴夜の父・月久率いる穏健派の権力が強いという話だが、今後話が拗れれば過激派の権力が強くなりかねない。


だからこそ心配だった。


霜乃から、晴夜は名家の出であることを聞いて、それを知っているからこそだった。


別れるのが怖い、そんな気持ちだった。


が、当の晴夜はあっけらかんとしていた。


「そこは大丈夫じゃない? 氷華。」


「え?」


「僕の実家は権力が案外強いからさ、わりかし大丈夫だと思うよ? 京都にいる友達にも、父さんにも連絡はしてるから、それは。だからもしそういうので何かあったら僕が間に入る。それで丸く収まるからさ。」


「そ……そうかも、しれないけど……私たちがでしゃばるようなことは……今はしない方がいいと思う。」


「でも大丈夫。もし二種族間の取り決めで別れなくちゃいけなくても……最悪駆け落ちできるんだし。必ず……迎えに行くから、僕が君を。」


晴夜は楽天的ではあったが、拳をギュッと握りしめる。


氷華を誰にも渡したくない、という強い意志の表れだったからだ。


「……そうだね、晴夜……ごめんね、変なこと言っちゃって……」


「? 全然気にしてないよ、僕は。」


「……うん、だから……時間の許す限り一緒にいよう?」


晴夜に寄り添った氷華は、右手を晴夜の手に添え、スカイタワーからの景色を共に眺めたのだった。



 晴夜は八王子市に住んでいる。


高校生でも案外借りられるマンションもあるし、片田舎なのでどこか京都に近い雰囲気を醸し出している。


Σ本部は青梅市なので、意外と遠い。


が、晴夜はそこは別に意には介していないし、長い交通路も気にする素振りはなかった。


氷華が晴夜の家に行きたいというので、晴夜は氷華を連れて帰宅した。


天狐は相変わらず歌舞伎町で仕事に行っているので、現在いるのは晴夜と氷華の二人だけだ。


男子の部屋に男女が二人。


何か起きないわけがなく。


氷華は晴夜の背後から腕を回して抱きついていた。


これぞ、イチャラブの構図。


今日一日、氷華がやけに積極的だったのは見て取れた。


ソファーに座ってテレビを見る晴夜と、後ろから抱きつく氷華の構図だった。


「……氷華、ちょっと……お茶淹れたいんだけど……」


「えー、ダメだよ〜〜。もうちょっとイチャイチャさせてよ〜〜。」


猫のように甘える氷華に、晴夜は満更でもない様子だった。


「しょうがないなあ、氷華は。……こんな()()()()()()()()()()()()()()()と思うんだけど……」


「いーじゃん、好きなんだから!! もっと肌で感じたいの、晴夜のこと!」


氷華のFの巨乳が押し潰れるかのように、晴夜の背中に密着しているのがその証左だった。


「……氷華も立ちっぱなしだったら疲れるじゃん。別に甘えてもいいよ、恋人なんだから。……だから……僕の横に座って欲しいかな……その……こういうの、憧れてたから……」


照れで頬が赤くなる晴夜。


「えー? まあ……晴夜が言うなら……」


氷華も晴夜の右側に座る。


身体を密着させ、晴夜の肩を枕のように顔を預けた。


晴夜は氷華の側頭部を大きな手で抱えた。


静寂が流れ、テレビの音だけが聞こえる。


しばらくして、氷華が今日のことを話す。


「今日……どうだった? デートしてみてさ……?」


晴夜はしばらく考えた後、こう答えた。


「……正直()()()()()()()()()な……ノープランだったしさ……結局全部……氷華にコースを任せっきりだったし……楽しかったといえば楽しかったよ、そりゃ。ただ、僕が頼りなさすぎた、これに尽きるかな……」


「……私もだよ……第一男の子と二人っきりで遊びに行くのなんて初めてだったから……分かんないまま思いつきでデート先決めちゃってたし……こんなことならもうちょっとプラン立てればよかったなー……って……自分のメイクに精一杯だったから……」


お互い反省しきりだったようで、まだまだ始まったばかりだ、という感じだった。


氷華はこう続ける。


「……天狐にも言われたよ、初めっから完璧なカップルなんてない、って……だから私はさ、今日は別に……まだ探りだったから良かったと思う。だって余計に晴夜の事が好きになっちゃったから………」


「……僕も……余計氷華が好きになってくる。僕には兄弟も母親もいないから尚更だよ……誰かと一緒に過ごせるのって、こんな幸せな事だったんだな、って……」


淡くも幸せな空間が流れる。


だからこそ、もっと感じたい。


好きだという感情を。


「………氷華……その……ベッド、来て……?」


「? う、うん……」


晴夜の照れ顔に、氷華はわけがわからないまま、言われるがままベッドに乗った。


そして、晴夜が囁く。


「……キス……してよ……」


「………うん……♡」


二人は優しく、甘いキスを交わした。


最後のシーンは書きたいけど書けねえ……

次回はシリアスパートになります。

蝿崎との対決がメインなので、この章は。

その前哨になります。

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