6th SNOW 鵺の『刻印者』
この回、人為的に妖魔の能力を得た人間が出てきます。まあ、誰かは見ていただければわかりますが。
この回は結構人が出てきます。さて、ここでΣのメンバーを数話に分けて紹介していこうと思います。今回は氷華です。
雪宮氷華 高校2年生の17歳、4月19日生まれ O型Rhマイナス 167センチ 3サイズB89W59H87
会社員の父、誠(名古屋へ単身赴任中)銀座の料亭で女将として働く母吹雪、姉霜乃、妹氷衣露の5人家族。
雪女の血を引く半妖。極端な色白肌に、肩甲骨の下の方まで伸びる黒髪ストレートの端正な顔立ちを持つ。
真面目な性格で、少し引っ込み思案なところあり。結構男にモテるタイプ。ただし、付き合ったことはないうえ苦手。
考え込むと、なかなか別のことに気づかないほど悩みやすいタイプで、そのことを梢達だけではなく、妹にも注意される始末である。姉と違い、料理は下手。
戦闘では雪女族の同世代の中でもトップクラスの実力で、土蜘蛛を一瞬で葬れるほど。『邪眼』をコントロールでき、解除の仕方も上手い。新人ながらΣでもトップクラスの実力を誇る。
北川に促され、椅子に座った氷華は、組織の規約が書かれた書類と、誓約書、契約書を渡され、これにサインした。
これを受け取った北川は、バッジを氷華に渡した。
緑の布にΣと書かれている。
「これは組織の仲間であることを示すバッジだ。君はこれから先、危険な妖にも立ち向かうことになる。そのことを頭に置いているかい?」
「ええ……勿論です。それが、東京の平和に繋がるのであれば。」
「うん、いい返事だ。これからよろしく頼むよ。」
「はい、よろしくお願いします。」
二人はがっちりと握手を交わした。
横で文香がニコニコしながら見守っている。
すると、あ、と声を出した文香は、「時間なんで、仕事に行ってきまーす」といって、部屋を後にした。
そして、横には小柄な女性が鋭い目で氷華を見ている。
まるで獣と対峙しているかのようだった。
「…アンタ、雪宮氷華、、だっけ?」
低く、よく通った声で聞いてきた。
「は、はい……そうです。」
「…いくら晴夜のヤツが強い、って認めてても、アタシはアンタをまだ、Σの一員として認めたわけじゃない。アンタはまだ新人だろ? ……生半可な覚悟だったら、アタシが容赦しないよ。」
いきなり厳しいことをかけられる。
よく見ると、彼女の腕に獣のような毛が生えている。
「おいおい、怜緒樹、よせよ。まだ新人だぜ? もう少し、気楽にできねえのか?」
「隊長、私は妖魔を全て殺す、って誓いを立ててるんです。中途半端な気持ちで入ってきて欲しくない。それだけです。」
怜緒樹、と呼ばれたその女性は、北川を前にしても目つきは変えなかった。
すると、腕が虎の前足に変わった。
びっくりして氷華は声を上げてしまった。
なにしろ初めて見た現象だったからだ。
「ああ、コレか?」
怜緒樹も反応したようで、氷華にこの腕について説明した。
「……アタシの中には『鵺』って妖が眠ってる。頭が猿、手足が虎、胴体がタヌキ、尻尾が蛇の妖怪だ。それがさ、、」
というと、怜緒樹は左肩を氷華に見せた。
よく見ると、肌に大きなアザのようなものが浮かんでいる。
「こんな風に、なんらかの原因で人間の体の中に妖が宿っちまった人間を『刻印者』という。アタシの場合は、両親を鵺に殺されて、その鵺が今、アタシの中に憑依している状態なのさ。……この状態の人間は、その妖怪が持つ妖力を使うことができるが、代償に臓器の一つを渡さなきゃいけない。アタシは脾臓を供物として捧げたから、一生鵺はアタシの脾臓の中にいる。でもこうやっているのは、やっぱり動物が住んでいるだろ? それも4匹も。だから、メンテナンスも兼ねて、メシをあげなきゃ力は保てないんだ。」
なるほど、それで虎を……そう思った氷華ではあったが、気になる部分はある。
「れ、、怜緒樹さん、その『鵺』を恨んでいるんじゃないんですか?」
そう聞くのも無理はない。
何故なら、親の仇のはず。
それなのに怜緒樹と鵺は信頼関係を結んでいるようだったからだ。
「……最初は、コイツを切り離したくて必死だった。でもさ、10年以上も一緒にいて、コイツとの生活も悪くないなって思うようになった。……実際、コイツも心を許してる。」
色々苦労はあったんだろうな、と氷華は思った。
自分は、というと、霜乃から眼を奪った妖を見つけ、討伐しようと考えていて、妖怪と一緒にいる人間など思いもしなかった。
「ああ、悪い、自己紹介がまだだったな。アタシは『小鳥遊怜緒樹』。普段は警察官さ。一応巡査長の役職は持ってる。」
「まあ、怜緒樹は俺の部下だ。アタリがきついヤツだけど、実力は確かだからな。俺が一番信頼しているやつさ。」
たしかに口ぶりが自信家の現れではあった。
ちなみに北川も警察官で、立場は警部補だ。
話によると、元々警察組織だったそうなのだが、あまりにも非現実的すぎるので、6年前に政府非公認組織として、妖魔討伐組織「Σ」として立ち上がった、とのことだ。
北川は現在35歳、怜緒樹は24歳ということだそうだ。
「さて、、そろそろアイツが帰ってくるはずだが……」
部屋のドアが開いた。
すると、見るからにチャラそうな男が入ってきた。
「隊長おつかれっすー。」
「どうだ、相澤。成果はあったか?」
「いやー、、出没情報がねえもんで……。申し訳ねえ。」
「そうか。ご苦労だった。」
「へいへい。……って、誰っすか、このカワイコちゃんは!!」
「ああ、ウチの新人だ。雪宮氷華という。晴夜のクラスメイトでもあるんだ。」
「ゆ、、『雪宮』って、、あの雪女一族の、っスか!?」
「え、、そんな有名なんですか? そっちの業界では。」
「そーだよ! 美人揃いで名高くて、でもめっちゃ強くて!! 君! すげえ実力持ってんだろ!? なあ!?」
どうやら、相澤は、かなりの通のようだ。
だが、あまりのテンションの高さに氷華はたじろがざるを得なかった。
「あ、、あの……。」
狼狽える氷華と、目を子供のように輝かせてにじり寄る相澤。
完全にナンパされて困っているJKの図だ。
すると、怜緒樹のオーラが光る。
「おい、相澤、氷華が困ってんだろ。少しは落ち着け。」
「あ、、悪いな、レオさん。」
我を取り戻した相澤は咳払いをした。
「俺は相澤大河。ここの諜報員を務めてる。普段は獣医大学生だ。よろしくな。氷華ちゃん。」
「え、、ええ。よろしく……お願いします…」
「な、、なんだよつれねーなー!もっと仲良くしよーぜ?」
ハッキリいって、氷華は苦手だと感じていた。
年下でうるさいならまだ妹がいるので許せるが、年上の男でこうもハイテンションだと、やりにくさがあるもんだ。
とっつきにくい。氷華はそう感じていた。
「ところで、、晴夜のヤツ、まだ来ねーんすか? あと、副隊長も。」
「アイツはテスト前に氷華のいる高校に来たからな。前期分の講習だろ。あと、佐久間も仕事だ。」
「はーあ、高校生と高校教師は大変っすねえ。時間がなくて。」
どうやら文香の件は相澤は知っているようだ。
氷華はこの時思った。
まあ、自分には関係ないか、と。
そうしているうちに1時間が経過した。
そして、晴夜が到着した。
「お疲れ様です。」
「おう、晴夜。クラスメイト、来てんぞ。」
「あれ、雪宮さん、入ることにしたんだ。…うん、改めて歓迎するよ。」
「う、、うん。よろしく。」
「ところで佐久間は? 晴夜。一緒に来るって聞いたが……」
「ああ、副隊長ならもうすぐ来るかと……」
そうしているうちに、副隊長が到着した。
だが、それは氷華もよく知る人物で______
「さ、、、佐久間先生………!?」
「おや、雪宮さんじゃないか。」
「へえ……氷華、どういう関係なんだよ、副隊長と。」
氷華の反応に興味津々だった怜緒樹が聞いてきた。
佐久間との関係を。
「………ウチの高校の化学教師……です……。」
「驚いたな……まさか、そういう関係だったか。氷華ちゃん。」
相澤も目を丸くした。
一方氷華は、まさかすぎる展開に、晴夜と出会った初日に言ったことを思い出した。
「ここの先生が、父の知り合いだった」……と。
まさかの展開で結構ビックリした方、いるんじゃないでしょうか。
これで、2話の伏線は回収できました。佐久間先生はイケメンで結構生徒から人気が高いんですが、普段はド変人ですwww詳細は今度紹介します。
さて、次回は前書きで晴夜の紹介と、氷華の初任務回です。乞うご期待ください。




