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57th SNOW 蒼き眼と黒薔薇

引き続き、氷華VS雪羽です。

 氷華と雪羽は、お互いに技を撃ち合っていく。


二人とも雪女としては非常にバランスの取れた万能型の性能をしているので、両者共に互角だった。


遠距離攻撃も、近接戦闘もまるっきり互角。


ダメージらしいダメージはお互い与えきれていなかった。


(ここまで互角とは思わなかった……前より強くなってる……このままじゃジリ貧だな……)


氷華は八岐大蛇の討伐の際に、雪羽と共に戦っていた時のことを思い返していた。


氷華自身も、特に精神面で強くなっているのは事実だったが、雪羽も負けてはいなかった。


雪羽もこの状況を打開できないでいた。


(やはり強いですわね……氷華さんの純粋さに漬け込んで連れ去ろうと試みた私が甘かった……そう言わざるを得ませんわね……)


先に仕掛けたのは雪羽だった。


ドライアイスで出来た剣を二酸化炭素に昇華させ、再度氷華の方向へ凍らせる。


「雪女剣術……『昇華一閃』!」


横に振られた雪羽の剣を、氷華は寸手のところで剣を使って止める。


氷華は受け止めた後、ジグザグに走って雪羽のところへ突撃する。


「雪女剣術居合の型、『霧氷神剣』!」


勢いよく振られた剣は、雪羽の右腕を掠った。


雪羽もギリギリで避けたようだったが、氷華は追撃で右軸右回転してからの左中段蹴りを雪羽の脇腹に叩き込んだ。


雪羽は吹き飛ばされる。


氷華は更に追撃で大技を叩き込もうと左手を前に突き出した。


「雪女砲術……『冷光大砲(フリーズレイキャノン)』!!」


巨大な冷気の弾が雪羽に向かって放たれ、岩が瓦解した。



 だが、雪羽はこれを腕を上げてガードしていた。


そして一息吐く。


「雪女魔導術! 『燐光の(シャイニング)氷柱(アイスピラー)』!!」


地面から次々と、光の柱が氷華に襲いかかってくる。


氷華はこの怒涛の攻撃に避けるので精一杯だった。


だが、雪羽の反撃は止まらない。


「雪女凍結爆破術! 『吹雪の爆弾(ブリザードグレネード)』!」


無数の雪の爆弾が氷華の視界の眼前で爆発を起こし、氷華の視界を遮った。


追撃で襲いかかる雪羽。


視界が遮られた影響で不意を突かれた形になった氷華は雪羽に脇腹を剣で抉られた。


致命傷には至らず、浅かったのが幸いだった。


しかし、氷華は剣を振り抜いた後の一瞬の隙を突き、雪羽の頭に左フックを放って弾き飛ばした。



 よろめきながらも立ち上がった雪羽。


氷華も、脇腹に出来た傷を凍らせて止血した。


「やっぱ強いな……そう簡単にはいかない、か……」


氷華にはまだ、多少躊躇いがあったのは明白だったが、それでも雪羽と互角を張れているという時点でも凄いと言わざるを得ない。


「流石……私が認めただけありますわ……でも……ここから、『()()()()()』ですわよ!!」


そう宣言し、「閻魔眼」を雪羽は起動させた。


左眼が蒼く怪しく輝く。


邪眼を前提として発動させるので、実情を知らない人間からは、紅と蒼のオッドアイに見える。


唸り声を挙げながら力強く剣を振るう雪羽。


氷華も捌くが、雪羽の連撃が速すぎて防戦一方になった。


鍔迫り合いで氷華が雪羽に押し負けて後退りさせられてしまった。


「召喚獣……『吹雪の狼(ブリザードウルフ)』!!」


巨大な氷の狼が生成され、氷華に襲いかかった。


雪女の技で完全に初見だった氷華は怖気を覚えた。


剣を縦に振り下ろして、狼の突進を止めた。


しかし、パワーがえげつない。


ジリジリと押され、氷華は狼に吹き飛ばされた。


雪羽は手を緩めない。


「召喚獣、『地這い大蛸(クラーケン)』!!」


巨大な氷の蛸の触手が氷華に襲いかかる。


「『二対の氷盾(ツインアイスシールド)』!」


氷を最大圧縮し、分厚い盾を生成して、氷華はこの触手を受け止めた。


その後も幾度となく襲いかかる雪羽の猛攻、氷華も応戦するが止めきれず、氷華にダメージが着実に溜まっていったのだった。



 (雪羽ちゃんが本気で来てた……明言はしてなかった、でもあの左眼が本気モードのカギ、か……だけど……本気モードは別だけど()()()()()……! これで決めるしかない……!)


雪羽の閻魔眼に押されっぱなしだった氷華だったが、まだ諦めてはいなかった。


一息吐き、立ち上がる。


「……氷華さん……こんなものですか? まだ私は本気じゃありませんわよ……?」


険しい顔で氷華を煽り立てる雪羽だったが、大技を使い続けたことで体力をかなり消耗していた。


「まだまだ……! 私も……雪羽ちゃんに初めて見せる本気だからね……! ここからだ……!」


雪羽は、まさか氷華も閻魔眼を使えるのか……? と一瞬思ったが、そんな話を聞いたこともないし、第一氷華は()()()()()()()()()()()


だが、()()()()()()()()()()()()


一族間では「禁忌」とされている、「()()()()()」を。


「邪眼第二段階……『黒薔薇(ノワールローズ)』解放!!」


その瞬間、()()()()()()()()()()()、顔の()()()()()()()()()()()()()()()()()()


雪羽はそれを見て身の毛がよだった。


何がなんでも、自分を殺す気だという()()()()()()()だ、と。


「……私の全てを出し切って……貴女に勝つ……!」


時刻は夕闇に差し掛かるその時、雪女同士の本気と本気のぶつかり合いが、更に熾烈なものとなるのだった。

第二段階の黒薔薇、マジで強いです。

妖力を高めると同時に、展開速度も速まるし、技の精度も上がるので。

次回はそれをお見せできたらなと思います。

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