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54th SNOW 霰塚本家の粛清と絶望への引き鉄(トリガー)

雪女のこわ〜〜〜〜いところが出てきます。

どこぞの戦国時代だよ、って話ですが、雪女のしきたりなんです。。

氷華も葛藤しながらも、これに加わることになります。

 霰塚雪羽が裏切った____________。


唐突なことで、信じられないでいた氷華。


何故アレだけ雪女一族に忠誠を誓っていた雪羽が裏切ることになったのか……氷華の頭の中は混乱と混沌に陥っていた。


雪子は続ける。


「……その顔は信じられないという顔じゃな、氷華よ……じゃが、全て事実じゃ。……ワシとて、最初は何かの間違いかと思った、しかし……霰塚本家の従者だったものから話を詳しく聞いて、事実じゃと知った。今でも信じ難いし、ワシは今……彼奴らを誑かした者を憎んでおる……」


雪子の目には怒りすら滾っている。


お盆の時に氷華をアレだけ揶揄っていたお茶目な姿は何処にもなかった。


「……ゆ……雪羽ちゃんが……なんで……裏切ったん、ですか……!? それも……本家の他の人たちも一緒に、って……何があったんですか……!?」


氷華の問いにため息を吐いて事情を説明する雪子。


どうやら相当参っているようだった。


「……雪羽の身に何があったかは知らぬ。何せ雪羽に関しては『裏切った』のと、()()()()()()()()()()()としか情報が入っておらぬ。じゃが、その従者の話によると……霰塚家は()()()()()()()()され、圧倒的な力の前に降伏……一家全員が籠絡という形になったんじゃ……しかも死者は雪羽の末の妹の他……従者も5人ほどは犠牲になっておる。」


あまりの異常事態に絶句するしかなかった氷華。


それもそうだろう、何の目的も分からずに霰塚本家の人間達を一瞬で壊滅させるほどの実力者、そして雪羽が「()()()()」の幹部になっているという事実……。


もう、何が何だか分からなくなっていたのだった。


「……おことばですが……ある教団、ってまさか……」


「……そのまさかじゃ、氷華……『()()()()』じゃ。雪羽と霰塚本家は今、そこにおる。……尤も、表向きは何事もなく活動しておるようじゃが……だからこそ、ワシは決めたことがある。」


氷華の背筋が凍る。


怒りと憎しみを携えた眼。


良からぬことを考えているに違いない、そう思わざるを得なかった。


「……()()()()()()()()()。……ワシが直々にな。……それも()()()()じゃ。万が一この事が知られてしまえば、他にも裏切る家も出てくるはずじゃ。それを防ぐ名目もある。」


粛清=全員殺すという意味だ。


「雪女は裏切ればたとえ名家でも容赦しない」を、雪子の言葉は体現しようとしていた。


更に続ける。


「……氷華に今回来てもらったのには……その雪羽のことについてじゃ。」


「………ハイ…………」


嫌な予感がする。


まさか、とは思ったが、来た言葉は案の定だった。


「雪羽を……()()()()()。勿論手段は問わぬ。」


冷酷非道とはまさにこのことを指すのだろうか……。


氷華の顔が青ざめているのがその証拠だった。


氷華に「戦友」であり、「ライバル」である雪羽を、この手で殺せというのか……。


考えただけでも嫌だ。


今すぐにでも逃げ出したい、でも……逃げれば殺されるかもしれない、氷華はそう思うと身体が強張ってくる。


「……それはそうか………怖いであろうな。当然じゃ、お主は妖怪は殺せても……人を殺した経験などないのじゃから……だが、お主が捕まることはない、事後は此方のスタッフで処理させる。」


一族のためとはいえ、雪羽を殺すハメになるのか……何とかして生かしてやりたいが……葛藤がよぎってくる。


本音で言えば「出来ない」と言い出したかった。


面と向かって。


だが、自分がやらなければ最悪10傑剥奪もあり得るし、そうでなければ雪女一族がそこから崩壊するかもしれない……雪羽を殺したくない、でもそうしなければ雪女一族が危うくなる……動悸も襲ってきた。


「どうすれば……いいの……でしょうか……私……私………」


氷華は、考えただけでも恐ろしくて、涙が溢れてくる。


と、ここで雪子が氷華を抱きしめた。


「……お主は優しいからの……雪羽を殺したくないというのは分かる……じゃが、これはお主に課す試練じゃ。いずれお主は……霰塚家を籠絡させた男や……馬仙院教の教祖を()()()()()()()()()()。……今の時点で辛いのは分かるぞ、ワシとて雪羽をここで失うのは……本音では惜しいと思っておるからの。……雪羽を討ち取った先に……その先に見える未来を掴むのはお主じゃ。初めての人殺しという作業が『()()()()()()()()()()()()()()』というのは皮肉なことじゃが……何とか頼みたい。これはお主にしか出来ないことなんじゃ……。」


そう言って、雪子はグッと、力強く氷華の身体を抱く。


そこから悔しさが伝わってきた。


やるしかない、でも、誰にも言ってはいけない出来事なのだから。


「……分かりました……()()()()()()()()()……『()()()()()()()()』を……必ずや、討ち取って参ります……」


氷華は覚悟は決めた、だが、葛藤はまだ残る。


何処かで雪羽を元に戻す方策があれば救えるはず……悲痛な覚悟を決めていた。


「それで良い……じゃがお主が一番分かっているじゃろうが、雪羽は強い……決闘を申し込むがいい。もし、討ち取ろう、というのであれば、な。」


「………ハイ…………」


氷華は雪子に一礼をし、屋敷を後にしたのだった。



 横浜から多摩への帰り道。


オリジナル曲の作詞の単語を考えるが、雪羽討伐の任務もあるので集中ができないでいた。


その中でも電車はガタン、ゴトン、と、慣性の法則に従い、進んで揺れていく。


氷華は必死に悲しみと不甲斐なさを押し殺す。


そしてそれを、雪羽を絶対止めるという意思に変えた。


(雪羽ちゃん、ゴメン……貴女と一緒に10傑に選ばれよう、って言ってて……一緒に選ばれた時は本当に嬉しかった……夢心地だった……でも……まさかあんな形で……それが壊れる日が……来るなんてね……だから……止める、雪羽ちゃんを……何が何でも、絶対に……!)


電車は多摩に着き、氷華は電車を降りた。



 多摩川沿いをため息を吐きながら歩いていると、今度は北川から着信が来た。


「……もしもし、雪宮です……」


『……すまんな、ちょっと、お疲れモードだったか……? どこまで行ってたんだ。』


「えー……と。ちょっと、横浜まで……行ってまして……」


『はあ? 横浜? ……まあいいわ、馬仙院教の()()()があるから今すぐ本部へ来てくれ。』


「……え? わ、分かりました……すぐ行きます。」


『すまんな氷華……頼むぞ。』


通話を切り、氷華は駅まで踵を返し、青梅まで出発した。



 「Σ」本部のあるマンションのいつもの階に到着し、氷華は中に入った。


「すみません、遅くなりました!」


氷華が全員に遅刻を謝罪した。


全員が神妙な面持ちになっている。


氷華が席に座り、北川が進行を進める。


「よし……氷華も揃ったことだしな。じゃ、始めるか。……馬仙院教の最新情報が入ったんだ。」


全員が固唾を呑んで北川の話を聞く。



 このことが、氷華の絶望への道の引き鉄(トリガー)を引くこととなるのだが、それは氷華以外は知る由もないことなのだった。

氷華は最終的に答えを出すことになりますが……

氷華の根っこが優しすぎるが故にここ数話は苦しむことになりますが、ご了承ください。

氷華の絶望シーン書くのすんげー辛いのよ……今から憂鬱……。。

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