53th SNOW バンド結成!!!
新章:「文化祭と粛清編」開幕です。
この辺から結構描写が苛烈になって来ますんで、心臓の弱い方はご注意願います。
何せ死人が出ますのでね。
誰とは言いませんが。
この章で氷華は大事な何かを失って、新しく大事になるものを得ます。
氷華が絶望する描写、そしてその中に差し込んだ光、それを描いていきたいと思っていますので、頑張って書き切りたいと思います。
さて、そんなこんなで多摩東陵高校は文化祭の準備に取り掛かった。
まあクラスで楽曲をミュージカル形式に踊るのが形式なのだが、個人やグループで見世物が翌日のブース発表の合間に行われたりする。
氷華のいる2年3組は、「宝探しアトラクション」をすることを決めた。
ここら辺は男子に任せることにし、女子陣はダンスの練習をすることになった。
で、まあ、個人のやつではあるのだが、氷華、梢、玲香、都姫の仲良し4人組がバンドを結成することとなったのだった。
役割は粗方決まっていて、氷華がボーカルとベース、梢がギター、玲香がドラム、都姫がキーボードを担当することになり、オリジナル曲も制作することを決めた。
作詞は氷華、作曲は玲香が担当することになっている。
まあ、完成にはまだ程遠いので、三曲のカバーする楽曲を全員で練習することにした。
緩やかな曲調の曲から徐々にテンポアップ、ボリュームアップの編曲にしていくことで、会場のボルテージを上げる狙いがあったし、そこは梢の陽キャ力でどうにかなっている。
で、いざ演奏してみると、ところどころ音を間違えていたり、リズムがズレていたりして、二、三週間で果たして完成するのか……という不安が募っていたのだった……。
初日の練習後、4人はカラオケボックスにいた。
……まあ、バンド名を決めるのと、反省会も兼ねているのだが。
「……今日どうだった? 一回、やってみてさ。」
氷華が切り出す。
言うてもそこまで長い時間は取れないのでパッパと進める以外に方策がない。
「そーだねー……氷華のボーカルはさ、すっごい良いなー、ってやっぱ思うけど……問題は楽器陣だよね〜。アタシなんて今日特に外しまくっちゃったからさ〜。」
梢も氷華に引けは取らないくらいに歌唱力はあるが、ほぼ氷華が歌うのでギターに専念しないといけないのだが、そのギターが拙いことを反省点に挙げた。
「まあそこは慣れだよ、梢。梢だけじゃないよ、間違ってたのは。氷華だってベースミスってたし、私だって何個かリズム走りすぎた部分あったしさ? ドラム。」
玲香は始めたばかりだ、これから練習していけばいい、とわりかし楽観的だった。
「うん……そうだね……みんな初めて、だもんね……私も音間違えたし……」
都姫も同調する。
とはいえ、間奏の時じゃないとキーボードはあまり映えないので都姫のミスはそこまで気にはならないのだが。
「まー、私がやろう! ってみんなに言い出したのがキッカケだから……それでベースをミスるのは私が悪いからさ……でも、みんなの言う通りだと思う。これは始まったばかりだ、って。」
氷華は反省会を簡潔に纏めた。
で、次の話題に入る。
「それで……バンド名、どうする? 生徒会の方に提出しないといけないからさ、バンド名と、個人の名義も合わせてさ?」
……これには全員が頭を悩ませる。
どうやらそこまで頭が回っていなかったようだった。
沈黙の時間が流れる。
カラオケの画面から、歌手へのインタビューが延々と流れたまま時間が過ぎていった。
「ホントにみんなないの!?」
痺れを切らしたのか、氷華が声を荒げた。
これを梢が宥める。
「案がないってわけじゃないけどさー、……どうせならさ、みんな思うところあるだろうから、ノートに書いて出し合わない?」
たしかにその方が効率がいい。
梢はその辺気が効くので、こういう切羽詰まった時には有難かったりする。
「いいね、じゃあそれでやろうか。」
玲香も賛同した。
都姫も氷華も頷いた。
ということで、全員ノートとシャーペンを取り出して思いついたバンド名を書いていくことにしたのだった。
数分後、どうやら書き終わったようだ。
まず、梢が一番槍としてノートを公開する。
「sunrise」と書かれている。
これには微妙な反応になる。
続いて玲香。
「トロける愛」。
……完全に腐女子の感性だ……バンド名には相応しくない……
続いて都姫はというと。
「高嶺の花」。
まあ確かにこの4人を表す象徴とでも言うべきなのだろうが、インパクトには欠ける。
最後に氷華。
「Neftis」。
まあ、シンプルだし、言いやすいネーミングであるので、全員満場一致で「Neftis」に決まったのだった。
帰宅後、氷華は霜乃に話しかけられた。
「ああ、氷華……ちょっと、いい……??」
霜乃は神妙な表情をしていた。
確実に良からぬことがあった、ということはすぐに分かった。
「お……お姉ちゃん、どうしたの……? 怖い顔して……」
氷華も心配そうに聞いて来た。
霜乃は一つ深呼吸して氷華の問いに答える。
「……アンタを御当主様がお呼びになってた……一族に、重大事件が起こったの。だから……明日、行ってくれる? 横浜まで。」
「……え……? ど、どういうこと……?? てか、そもそもなんで私に……??」
氷華は意味が分からず、霜乃に更に質問する。
「……特にアンタがこの件に一番深いからよ……。」
「………??? わ、分かった……」
氷華は何のこっちゃか分からないまま、その日を過ごすことになり、翌日明朝、横浜へ向けて電車で出発した。
午前10時。
雪子の部屋へと冷奈に招かれるまま案内された氷華は、お盆の時以来の雪子との面会に臨んだ。
冷奈も、雪子も神妙な表情をしている。
絶対に何かあった……氷華も息を呑み、対峙する。
「氷華よ……すまないな、お主も文化祭やら何やらで忙しい時に。……よく来てくれた。」
「……ありがとうございます……それで、お話、と仰いますのは………」
いきなり本題に氷華は切り出した。
早くこの場から解放されたい……そんな思いでいっぱいだった。
「一族にとって……深刻な事態が起こったんじゃ……」
ため息を吐きながら氷華にそう、カミングアウトをした雪子。
どうやら相当ヤバい事態なのは明白だった。
「え……深刻な事態、とは……なんですか……?」
氷華は昨日から訳がわからないことばかりで、早くそのことを知りたかった。
と、ここで雪子が聞く。
「お主……覚悟は出来ているか……?」
紅く、凍てついた眼。
雪子の眼光はまさにそれだった。
「え……ええ……。姉から聞いた話では……私に一番関係が深い、ということでしたので……」
氷華は恐怖を覚えた。
相当な事態なのだろう、と。
「……単刀直入に言おう……」
氷華が雪子のこの言葉に固唾を飲んだ。
そして、雪子が言ったのは、あまりにも信じ難い出来事なのであった。
「………霰塚雪羽が…………裏切った。」
「…………………え??????????」
雪子から飛び出した衝撃の言葉が、この後急展開を迎えることになります。
それはまた次回、お話しします。




