48th SNOW 徹底マーク
予期せぬ展開はタイトルで回収済み
2年3組は満を辞して氷華と晴夜のダブルエースを投入したのだが、晴夜と氷華にダブルチームでそれぞれ付いていたので二人がまともに動けない。
それはディフェンスでも現れていた。
三年生がドリブルを仕掛けて氷華が動こうとした時に悉くスクリーンに両サイドから入られるのだ。
氷華は警戒されていると感じながらプレーしていったのだが、内心イライラしていた。
ブチ切れて邪眼を解放する寸前まで行ってしまったが、晴夜の顔を見て冷静さを取り戻す。
陽陰君も同じ条件だ、私が落ち着かないでどうする。
氷華は一つ息を吐いた。
梢や井沢、有沢が二人のカバーをするように得点を決めていくが、氷華と晴夜のマークを徹底したことで三年生も追い縋っていく。
第3クオーター残り5分時点で71-65と、一気に詰められた。
徹底してダブルチームを徹底されると得点力も守備力も一気に落ちる。
氷華はスピードで圧倒するしかない、そう思い、梢からボールを受け取った。
相手コートまで進むが、どうしてもマークマンが2枚もいると動きにくいものだ。
氷華はハーフラインまで進んで、左右にドリブルを展開しながらマークマンを見て隙を伺った。
徐々にビートとテンポが速くなり、体育館内に木霊した。
そして一瞬だが「視えた」。
ど真ん中だ。
氷華は中央から強行突破した。
女子とは思えない、パワフルなドライブインだ、それと共にマークマンを置き去りにした。
たまらず晴夜のマークマンの一人がヘルプに入るのだが、こうなって仕舞えばこちらのもの。
氷華は晴夜に向けてシュートフェイントからのフックパスを出し、受け取った晴夜はその場でジャンプシュートを放った。
これで8点差となる。
しかし、2年3組は機能し出したオフェンスを破れない。
氷華、晴夜のロックは相変わらずで、ディフェンスが疎かになっているところにスリーポイントシュートを3連続撃たれ、まさかの逆転を喫してしまった。
だが、まだ一点差。
ギリギリどうにでもなる。
「氷華、熱くなんないでよ? それでファール増えたら元も子もないから。」
梢に声をかけられ、氷華はこう返した。
「分かった。でもちょっと無茶するよ、コズ。」
「まあいいけど? 怪我だけしないでよ氷華。」
そういって梢は自分のポジションへと着いていった。
第3クオーター終了まで残り2分。
このままマークがダブルチームで続くことになれば流石にジリ貧になる。
氷華は大きく息を吐き、有沢に向けてパスを出した。
バウンドパスなので距離は若干短いが、それでも隙を突いて走り出して抜けるには十分だ。
ノーマークの有沢はボールを少し突いて取り、ペネトレイトした氷華に高めにパスを出した。
氷華は貰った瞬間に両足で大きくジャンプし、ダンクシュートを決めた。
これにより、2年生が主だったが、鬱憤を晴らすかの如くの歓声が沸き起こった。
流れを完全に取り戻し、残り1分40秒。
パス回しでできた一瞬の隙、氷華のマークマンからのパスを受け取った三年生がファンブルし、ルーズボールになった。
無論、その一瞬を見逃すようなタマでは氷華はない。
氷華は瞬間的に走り込み、ボールを拾い上げ、猛ダッシュを敢行した。
懸命に後を追うが、氷華が速すぎて追いつけない。
晴夜が戻りきっていないことを確認し、氷華は堅実にレイアップシュートを決めた。
これで三点差だ。
だが三年生も負けてはいなかった。
ロングパスからのミドルシュートですぐさま1点差に詰め寄る。
残り1分となり、熾烈な争いは続いた。
井沢がここで奮起し、また3点差まで突き放すが、今度は三年生もスリーポイントシュートを決めて追いついた。
残り20秒。
最後の攻防だ。
氷華がスピードで圧倒しようとし、走り込むがマークマンがいかんせん多い。
氷華がドリブルでペネトレイトしようとしたところ、ファインプレーが起こった。
晴夜のスクリーンだ。
これにより、氷華が左側から抜け、シュートを打とうとしたが、晴夜のもう一人のマークマンにブロックに跳ばれた。
しかし、氷華は考えていた。
晴夜がスリーポイントをまた決めればこちらに流れがまたいくのでは、と。
晴夜のスクリーンが張られた方をチラリと見た氷華。
もう託すしかない! そう思い、氷華は晴夜の名を叫び、パスを出した。
「陽陰君!!!」
氷華の利き手ではない左手から鋭いパスを出された晴夜は、焦らず落ち着いてスリーポイントシュートをブザービーターと同時に放った。
高く、美しい放物線を描いたスリーポイントシュートは、まるでコピー用紙の山が風で吹き上がるかのような音を奏でてゴールへと吸い込まれていったのだった。
この瞬間、3点差に突き放してリードするとともに、黄色い声援が、もう何度目かはわからないが、上がってくる。
2年3組が3年7組に勝つ、という構図が流れていったのだった。
それは体育館中に。
現在、82-79。
まだまだわからないが、完全に体育館中の雰囲気を掌握していたのは紛れもなく氷華達だった。
そして最終第4クオーター。
晴夜、氷華、井沢は変わらず入り、田中と森原がコートインしたのだった。
そして、体育祭の優勝を、賞状を賭けた10分間が幕を開けようとしていたのだった。
マークをものともしない二人。
次回、第4クオーターのフィナーレです。
ラスト、必見です。




