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38th SNOW 正念場

牛鬼編完結まであと三話、マジで頑張ります。

この回は激ヤバです。蜘蛛形態の強さを描ければいいかなと思います。

用語解説、今回は「刻印者」についてです。


「刻印者」とは


通常の人間が何かしらの原因で妖怪の力を得た人間のことを指す。

基本的に動物系の妖怪が多い。

「契約」のために臓器を一つ捧げないといけないが、それをせずに血液のみを取り入れると、佐久間のように身体能力のみを受け継ぐこととなる。

刻印者は体にアザのような紋様ができるが、血液のみだとうっすらとしか顕現しない。

作中での現在では怜緒樹と佐久間、小雪のみが判明されている。


※これの上位互換に「簒奪者」というものがありますが、それは今後出てきます。

 牛鬼が牛の形態から蜘蛛の形態に変態しようとしている。


晴夜、怜緒樹、冬菜は身構えている。


晴夜が危機を察して迦楼羅炎を放つ。


が、全く効いている素振りがない。


そうこうしているうちに牛鬼が蜘蛛形態に変身した。


赤々しい見た目に八本足、頭には鬼の角という、異形と呼ぶにふさわしい見た目をしていた。


脚の先には鎌のような鋭利な爪もある。


深手を追えば即死。


そんな危険性も孕んでいた。


「チッ……やべえなこりゃ……氷華が戻ってくるまで凌ぐぞ!」


怜緒樹が2人に声を掛けた。



 3人とカイメイジュウが一斉に攻撃を仕掛けるが、悉く弾かれるし、スピードもあったので捕まえきれない。


しかも総じてダメージを負ってしまった。


冬菜は「零距離の魔道士(ゼロ・ウィザード)」の異名を取るように、氷の鎧を全身に纏って攻撃を凌いでいたのだが、それでも斬撃攻撃によるダメージが大きかった。


浅いものの、腕や脚に出血を負っていた。


晴夜と怜緒樹もダメージは冬菜ほどではないにしろ負っている。


カイメイジュウは傷自体はないが、戦い続けてきたが故、息切れも起こし掛けている。


晴夜は歯を食いしばり、禍々しい紋様の入った札を取り出した。


「結界術……『爆雷砲流(ばくらいほうりゅう)』!!!」


強烈な雷雲が牛鬼に降り注ぐが、牛鬼は吠える。


そしてこれを耐えた。


すかさず怜緒樹も「タイガークラッシュ」で攻撃を仕掛けるが、ジャンプで避けられてしまった。


巨体に似合わず身軽だった。


冬菜は跳び上がって、踵落としを牛鬼の首元に食らわせようとしたが、牛鬼が空中で体を捻って反撃し、冬菜は鉤爪で体をかっ裂かれた。


幸い浅かったが、虚を突かれた冬菜だった。


「まさかあんなことをしてくるなんて……これホントにさっきまでの牛鬼なんですか……!? 動きが全く読めないです……」


右肩から出血しながらそう呟いた冬菜に晴夜も同情した。


「僕も予想外だったよ、今のは……だけど……雪宮さんを信じるしかないよ今は。」



 氷華は必ず戻る、晴夜たちはそう思っていたが、牛鬼の猛攻を受け、瞬く間に劣勢に陥って行ったのだった。



 10分が経ち、蜘蛛となった牛鬼は高らかに吠える。


晴夜たちはあまりの強さに跪くしかなかった。


「なんて強さ……!! 4対1でも歯が立たないなんて……!!」


そういって体力が尽きたカイメイジュウを晴夜は札に戻した。


「クソ……アタシの技で押し切れねえ……これじゃ氷華が戻ってきても一緒だぞ……!」


流石の怜緒樹でもこの速さには手も足も出ない様子だった。


傷だらけになりながら拳を地面に叩きつけた。


「けど……! 私たちが食い止めないと……!」


冬菜が脚の力を振り絞って立ったが、正直にいうとそれで精一杯。


倒されるのも時間の問題だった。


牛鬼がトドメを刺そうと3人に襲いかかってきた直後だった。



「天叢雲剣剣術『月聖斬(げっせいざん)』」


空中から三日月状の斬撃が飛んできた。


それは牛鬼の胴体を直撃し、牛鬼は大きく唸り声をあげた。


奮い立てではなく、痛みという意味の。


そして、今の剣術の主は地上に降り立った。


「ありがとね、一反木綿。」


その人物は。


そう、氷華だった。


しかも何やら蒼い剣を握りしめている。


「天叢雲剣」だ。


「みんな……私が戻ってくるまでありがと……あとは私に任せて! 必ず倒すから!」


氷華は右腕の剣を振るい、自信満々の表情でそう語った。


「雪宮さん……! もう、大丈夫なのかい!?」


「大丈夫……これでもしっかり回復してきたから! とはいえ遅くなっちゃったけど。」


晴夜が声を掛けたのを他所に氷華は牛鬼に斬りかかっていった。


「天叢雲剣剣術『神速神馬(しんそくじんば)』!!」


目にも留まらぬ速さで牛鬼を攻め立て、牛鬼も対応し切れない様子だった。


明らかに効いている。


「な、なに……あの剣……まるで()()()()()()()()()()()()()()……!!」


冬菜は今まで見たことのなかったような牛鬼のダメージぶりに驚きを隠せなかった。


しかも()()()()であのスピードだ、相当な威力を持っていたのは明白だった。


「……どうやら八岐大蛇に入ってたらしい……文香さんに聞いた。けど……アタシもこの目でその実力を見んのは初めてだ……晴夜に天狐っていう相棒が出来たみてえに、氷華も()()()()()()()()()()()()()みてえだな……」


怜緒樹が呟いたと同時に、晴夜も立ち上がる。


「ここが正念場です! 雪宮さんの援護を僕らでしましょう!」


ここが勝負だと踏み、晴夜は氷華の方へ走り出して行った。



 《ここで我と一対一を選ぶか小娘……面白い、戦いとはそうでなくてはな……!!》


牛鬼は奮戦しながら氷華にそう話す。


氷華は邪眼を一切使わないで強さが出ている天叢雲剣の威力に戸惑いつつも自信以外の感情が湧いてこなかった。


「そう言ってられんのもここまでよ! 私がアンタの頸を撥ね飛ばしてあげる!!」


ハアアアアアアアア! という叫び声を上げながら剣を振るっていく氷華に牛鬼もスピードでついていく。


もう、両者異次元の領域にいたのだった。


そして、両者鍔迫り合いを一度解いた。


《面白い……面白いぞ雪女よ!! 我をもっと楽しませよ!!》


久しぶりの強敵に胸を弾ませてそう話す牛鬼。


しかし、氷華もこの程度で牛鬼が倒れるとは思っていなかった。


「アンタなんて一瞬で倒せるよ、その気になったら……! アンタも全力で来なさいよ!」


そう煽った後、氷華は一つ深呼吸した。


「『邪眼』……限界突破ぁぁぁぁぁ!!!」


5年分の寿命を対価にし、氷華は邪眼を発動させた。



 そして、このことが決着まで急加速していくこととなったのだった。

邪眼無しであそこまで出来る天叢雲剣はマジで強いです。

牛鬼を圧倒してるんですから。

次回で決着とは行きませんが、霜乃の牛鬼戦もちょこっと書きます。

牛鬼編、最後までお付き合い願います。

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