35th SNOW 一歩も引かない氷華
諦めなければ助けに来るのは現れる、それを体現した回にします。
登場人物紹介は使用人の冷奈です。
氷柱山冷奈 23歳 雪女一族当主侍女筆頭 12月24日生まれ A型 172センチ 3サイズB86W57H84
褐色肌の雪女で、雪子の侍女を務める。
霜乃とは先輩にあたる。
メラニズムの雪女のため、邪眼を扱うことができない。
その代わり、身体能力は非常に高く、視力に至っては9.0。
名家の1つ「氷柱山家」本家の長女だが、上記の通り、邪眼を扱えないため、次期当主は14歳の妹が継ぐことになっている。
誰に対しても丁寧な口調で、ポーカーフェイスを常に装うため、雪子以外からは何を考えているかわからないとされる。
冷静な性格で、人を見る目もあり、新世代10傑の選考委員長も務めている。
氷華の恋心を見抜いている数少ない人物でもある。
手先が非常に器用なので道具を作ったり、お茶を淹れる腕前は職人レベル。
戦闘では無数のナイフを投げて敵を攻撃する。
一歩も引かず、牛鬼と相対する氷華だったが、タフすぎる牛鬼を相手にしては劣勢になる一方だった。
ドライアイスの剣で応戦する氷華。
牛鬼は難なく氷華の剣技を捌く。
何もしてこないというわけでもなく、時折牛鬼も氷華に攻撃を入れてくる。
受け止め、足を止めて何度でも何度でも、死物狂いで剣を振って攻撃をしていく氷華だったが、いくら振っても1人だけでは打開策が見つからない。
なにしろ氷結耐性もある強敵なのだ、はっきり言ってしまえば相性は非常に悪い。
振り続けると当然、疲れも見えてくる。
邪眼の効力も同時に消費する悪循環、氷華に焦りと疲労が徐々にだが見え始めてきた。
(硬い……! やっぱり私1人じゃどうにもならない……!! でも……諦めるな! 最期まで! 絶対に!)
声を出して力を振り絞って、剣を牛鬼に向かって振る。
だが、硬すぎて剣が遂に折れた。
衝撃で剣が二酸化炭素に戻る。
一度「創造」を解き、再度剣を生成しようとした氷華を牛鬼の左ミドルキックが襲いかかった。
見事に肋にクリーンヒットし、氷華の肋骨が衝撃で軋んでいく。
フルスイングされ、吹き飛ばされた氷華は地面に叩きつけられた。
痛む肋、苦しい呼吸、そして多大なるダメージ。
咳き込んでなんとか酸素を取り込もうとするが、あまりにもダメージが深い上に尋常ではない痛み。
蹲り、肋を押さえ、呼吸をしようとするが、まともに酸素を取り込めない状況になっていた。
一瞬で窮地に追い込まれてしまった氷華だった。
だが、手を緩める間を作らないのが牛鬼だ。
跳びかかり、氷華を押しつぶそうとした。
気配を察知した氷華は左足で地面を蹴り、体を捻ってこれを躱した。
しかし、牛鬼が地面にプレスした衝撃が地響きのように鳴り響き、しかも身体を捻って躱したことにより、痛めた肋骨も軋む。
だがこんなことで屁古垂れる氷華ではない。
再度剣を生成し、尚も突撃してくる牛鬼に対して右足を前にして構える。
「雪女剣術居合の型……『霧氷神剣・神速』!!」
重心を低くし、牛鬼に突撃を敢行した氷華。
牛鬼の巨体の懐に潜り込むことに成功した氷華は、空中で右に一回転し、牛鬼の腹部をかっ裂いた。
そこからの出血も確認し、ステップアンドジャンプで牛鬼の側面へと氷華は飛び出した。
そして技を打ち出す。
「『冷光砲』!」
右手を空中で前に突き出して砲術を放ち、尚も大技を繰り出していく。
「雪女天候操作術……『吹雪の銀世界』!!」
ダイヤモンドダストが牛鬼の辺りを覆い、視界を遮る上、ダメージも少なからず与えていく。
地味ではあるが、多少デバフは掛かっている。
氷華は止まることなく追撃を繰り出していく。
今度は巨大ハンマーを生成して、牛鬼に繰り出したのは。
「雪女槌術『氷の大巨人』!!」
強烈な衝撃で牛鬼を怯ませ、そして、
「もういっちょ!!」
と叫び、縦振りでもう一発牛鬼の脳天に直撃させた。
「もう……いっぱぁぁぁぁつ!!」
しかし、このハンマーを振った直後、牛鬼の左フックがクロスカウンターのような形になって氷華の顔面に直撃したのだった。
全く見えていなかった氷華は後退りをした。
強烈な一撃に足がふらついている。
氷華は片膝を突いた。
尚も牛鬼は追撃を繰り出してくる。
動け、避けろ……そう自分に言い聞かせる氷華だが、足が完全に止まっていては避けきれない。
右の打ち下ろしをまともに喰らい、氷華は地面に背中から叩きつけられた。
呻き声をあげて倒れている氷華を容赦なく襲う牛鬼。
だが、その時だった。
「行け! 『カイメイジュウ』!!」
突如空中から大きい虎のような生物が飛びかかってきて、氷華と牛鬼の間を挟んだ。
牛鬼の攻撃を受け止めたカイメイジュウは、結果的に氷華の命を救ったのだった。
「晴夜、氷華を頼む!」
「了解!」
聞き覚えの声がする。
氷華は意識をギリギリで保ってその声の主がした方を向いた。
目の前に晴夜がいた。
「雪宮さん! 大丈夫かい!?」
必死の形相で問いかけている晴夜。
氷華はなんとか頷いた。
と、氷華を抱き抱える晴夜。
そして抱えたままダッシュし、テレビ局の付近に2人は身を潜めた。
話によると、怜緒樹も到着したようだった。
晴夜はここはカイメイジュウと怜緒樹に任せておいて、氷華の治療を開始した。
「結界術医療式……『氷点の露空』」
身体を冷やす効果のある術式で、体力を回復させるという、晴夜が氷華のために開発した医療術だった。
体力の回復と同時に、低音治療をすることで氷華の妖力も漲ってくる。
「ハァ……ハァ……た、助かったよ、陽陰君……」
「……いいよそれは……しかし、雪宮さんでまともに体力を削れない妖怪か……厄介だね、牛鬼は。」
牛鬼を冷静に分析をした晴夜は顔に怒りを滲ませている。
晴夜にしては珍しい顔だ。
普段飄々としている晴夜だからこそ、余計に伝わってきているのが氷華の目から見ても分かった。
「……私の術だけじゃ、アイツは全然体力が削れない、私の体力だけを消耗するだけ……どうする? 陽陰君……。」
「……でも雪宮さんが一歩も引かなかった分、弱点も多少見えた……氷属性以外ならダメージは多少与えられるかもしれない。」
「それって、もしかして……」
「そう、僕が雪宮さんのサポートをする。だから君は全力で技を振ってくれ。……ところで、『眼』の効力は? あとどれくらい保つ?」
「30分……それだけあれば十分ダメージは与えられるよ……! 陽陰君のお陰で体力もだいぶ戻ってきたし!」
「わかった。30分ね。……それ以降は僕と怜緒樹さんで凌ぐから。」
そして、牛鬼の前に2人は移動した。
「雪宮さん、2人で闘おう! 1人じゃ無理でも……僕ら2人なら敵なんていない!」
「うん!」
晴夜は札を、氷華はドライアイスの剣を構えた。
そして晴夜は怜緒樹に大声で呼びかける。
カイメイジュウは牛鬼にぶつけたままで。
「怜緒樹さん!! 雪宮さんのサポート頼みます!! 援護を!!」
「任せとけ!」
そして「3人プラス式神一体VS牛鬼」の構図が完成した。
この後、牛鬼との激闘は更に急展開を迎えることとなるのだった。
氷華だけじゃなくても、雪女1人では牛鬼を相手にするのは上記のようにかなり相性は悪いです。
10話の後書きでも書いたと思いますが、それは。
実は霜乃は牛鬼戦の時は結構いいところまで行っていますが、それは今後の話で明かしたいと思います。
牛鬼の形態は、「人間態」、「猛牛態」、「蜘蛛態」の3つの形態に分かれていますが、この蜘蛛態が猛牛態とは桁違いに強いです。
ただでさえ、氷華が猛牛態に苦戦している中で更に強い形態が今後出てきます。
ただ、Σの、このエース級の3人なので、面白くしないと行けないなという使命感がありますwww
次回はまた、急展開を迎えます。
冬菜がどのタイミングで来るのかはお楽しみに。
登場人物紹介では天狐を紹介したいと思いますので、頑張ってプロフを書きたいと思います。




