26th SNOW 「いいオトコ」
対濡れ女前編となります。
この回はマジで相澤の扱いを雑に書きますwww
ただ、死ぬわけではないのでご安心を。
さて、登場人物紹介、今回は氷愛花です。
凍野氷愛花 高校三年生の17歳 11月30日生まれ A型 「新世代10傑」の1人 159センチ 3サイズB90W59H84
銀髪が特徴の雪女で、氷結系を得意にする。
社交的な性格で、友人がかなり多い。
天才型ではないが努力家であり、そのことを評価されて10傑入りを果たした。
北海道江差町在住。
高校は函館の高校に通っている。
ラッキーピ◯ロのハンバーガーが大好物。
一方、氷華と文香が飛騨山脈へ車を走らせていた時間と同じ時間の湘南の海にて。
相澤は夜の闇の中、独り防波堤の先に立っていた。
それもスマホをライト代わりにして。
「は〜〜〜ぁ……俺が囮って……たしかに『濡れ女』を誘い出すためとはいえさ……なんで俺なんだよ……全く、レオさんも副隊長もいんのにさ〜……」
そう、相澤は濡れ女を誘い出す「餌」の役をやらされていたのだ。
濡れ女は男しか喰わないという情報だったので、泥田坊の半妖で、見つかっても身を隠せる相澤は囮には最適だった。
「これで余所見して捕まったらどうすんだよ……ま、この防波堤を泥に今変えてるからどうにかなるけどよ……」
溜息を漏らしながら、濡れ女の出現を待った。
そして、佐久間と怜緒樹の2人も待機している。
怜緒樹の「黒雲」で闇夜に紛れ、気配を消す。
濡れ女自体は勘のいい妖怪ではないので、ベタではあるが身を隠すのにはこれが最適なのだ。
そして待つこと数十分。
ザザザザザ、と、波が強くなる。
自然のものとはとてもではないが思えない波の立ちようだ。
そしてその盛り上がりは徐々に細長くなっていく。
防波堤近くの海に出でし、顔が女性の身体が蛇のバケモノが現れた。
まさに異形。
「うおおおおおお!?」と、相澤が腰を抜かすほどのそれは_________
「濡れ女」だった。
そして濡れ女は、相澤を見つけた途端、長い身体を活かして襲いかかって喰らおうとした。
身の危機を感じた相澤が間一髪で防波堤を泥に変えて潜り、これを躱した。
まさかの空振りに不思議に思う濡れ女に、佐久間の術が襲いかかった。
「結界術『閃光乱気弾』。」
無数の光の弾が襲いかかり、全弾命中した。
これを食らった濡れ女は佐久間の方を振り向いた。
「へえ……貴方もいいオトコねえ……しかも私に歯向かってくるとはねえ……気に入ったわ……貴方から喰ろうてあげるわ!!」
と、佐久間に襲いかかる。
佐久間は「火車」を召喚し、応戦する。
そして自身も、「迦楼羅炎」で火車を援護した。
「驚いたねえ……まさか相澤くんではなく、僕の方に向くとはね。……もう50になるオジサンだよ? 僕は……」
濡れ女は2人を相手にしながらこう返す。
「歯向かう者を喰らうから美味いのであろう……? しかも妖が見える人間を食らえることなど最高の馳走よ。」
「へえ……趣味が悪いねえ。……噂程度で君のことは聞いていたが、想像以上だね。だが……僕らだけと思ったかい? 君の相手が。」
と、そこから怜緒樹が上空から濡れ女に襲いかかった。
「刻印術『タイガードロップ』!!」
胴体に強烈な踵落としを濡れ女に見舞う怜緒樹。
一瞬怯んだところに、火車の爪が濡れ女の首元をかっさく。
ただ、思いの外ダメージが少ない。
80メートルはあろうかという巨体だ、この程度では効かないだろうというのは想定内だった。
「なるほどのう……3人か。面白い……面白いのう……」
濡れ女は一度防波堤の方まで退散し、鎌首を擡げて佐久間たちを見下ろしている。
泥に潜っている相澤から連絡が入った。
《俺が海中で濡れ女の動きを観察します!! 分かり次第教えますから、それまで2人でなんとか凌いでください!!》
「……了解……」
佐久間は落ち着いていた。
そもそもダメージが少ないくらいで慌てるほど佐久間もヤワでは無い。
そして、化学教師の知識を存分に術にして生かす。
佐久間は怜緒樹に指示を出す。
「小鳥遊くん、『黒雲』を使って箱状の物を作ってくれ。濡れ女の顔の周りに、だ。」
「……何をする気ですか? とりあえずやりますけど……。」
「大丈夫、あとは僕に任せておいて。」
意味がわからないまま、怜緒樹は黒雲を濡れ女の周囲に箱状の物体を生成した。
佐久間は火車を使って水素の入った瓶を投げ、それは黒雲状の箱に収まり、瓶は割れた。
濡れ女はそうとも知らずにお構いなしに2人に襲いかかる。
佐久間は空中で炎を出す術を、濡れ女を囲っている箱に向かって撃ち出した。
「結界術『不知火』」
空気中に含まれる酸素と炭素、そして先程箱に入った水素が科学融合し、箱の中で大爆発が起きた。
予想外の事態に怯み驚く濡れ女。
それもそのはず、自分の身体に熱を急に感じたのだから。
この隙を経験豊富な怜緒樹が逃すはずがない。
虎を解放し、黒雲を最大硬度で腕に纏う。
「刻印術『タイガーラッシュ』!!!!!」
オラオラオラオラオラオラオラ!! と叫びながら濡れ女の身体に次々に連撃をぶち込んでいく。
最後は空中でハイキックを放ち、濡れ女の顎を跳ね上げた。
濡れ女は劣勢を感じ、後退りした。
シュルシュルシュル、と海の方にまた戻っていく。
体勢を立て直そうとまた海へ潜ろうとしたその時。
ガンッ!!
と、衝撃が濡れ女に襲いかかった。
防波堤のブロックだった。
これを投げられるのは1人しかいない。
そう、相澤だ。
相澤は泥田坊の半妖だからが故か、あらゆる地形を泥に変換させて身を隠すことができる。
つまり、全ての地形を泥に自在に変換できると言うことは、元に戻すのもいつでも可能ということだ。
あまりパワーがある方ではない相澤でしかできない策、それは何かに当たる瞬間に投げつけた泥から元の物体の姿に戻すことが可能という、そういう術だ。
これが防波堤のブロックが濡れ女に当たったカラクリだ。
相澤は次々と泥を投げつけながら、当たる瞬間に指を鳴らして解除し、泥は防波堤へと変わり、次々と濡れ女に直撃していく。
地味ながらダメージは大きい。
ここで相澤は泥を投げながらトランシーバーを取り、2人に連絡した。
《俺が足止めするんで、絶対潜らせないようにしてください!!》
「了解、相澤くん、頼むね。……それなら……」
と、佐久間は式神の札を出した。
「ちょっとコイツの顕現までには時間は掛かるけど……行け! 『海坊主』!!」
何も起こらない。
時間が掛かるとはいえ、怜緒樹目線から見ても、ハッタリに思えてしまう。
「小鳥遊くん、とりあえず海坊主が出てくるまで時間をなんとか稼いでくれ。正面は僕がなんとかするから。」
「オーケイです。じゃ、先に上行ってますよ? 副隊長。」
そういって、怜緒樹は黒雲を足場にして上空へ駆け上がった。
と、ここで防波堤のストックが切れた。
濡れ女は痺れを切らしたのか相澤に襲いかかる。
相澤が泥を抜け出したところに濡れ女の薙ぎ払いが相澤にクリーンヒットし、海にまで吹き飛ばされて背中から着水した。
ドボーン!! という音が、遠くから響いてきた。
「相澤!! 無事か!! ……ちっくしょう!! あの野郎!!」
怜緒樹は熱くなり、濡れ女の顔面に向かって黒雲の高速展開で一気に詰め寄っていく。
猿を解放し、アドレナリンを過剰分泌させることで身体能力を強化し、虎を解放して右の回し蹴りを濡れ女の顔に見舞った。
濡れ女が気づいた時にはもう、怜緒樹は空中で立っていた。
怒りのボルテージが昂っている。
「よくも相澤を……!! テメエはアタシがぶっ殺す!!」
そうして虎を解除し、蛇を解放した。
顔の半分だけ、猿を解放させている怜緒樹。
そして、背骨から蛇を顕現させる。
「海坊主の顕現」という名目での時間稼ぎとはいえ、奥義を出すことを怜緒樹が決意したことで、濡れ女との戦いは激化していくこととなった。
次回、濡れ女戦は決着します。
果たして相澤は無事なのか、海坊主は間に合うのか、お楽しみにしていてください。
さて、次回の10傑紹介は、「雹崎雪美」です。
結構異色な人なので、設定は結構クセが強くなると思いますwwww




