24th SNOW 天叢雲剣
後半が北川サイドになってる回です。
前半は、氷華が謎の声(天叢雲剣)に向き合います。
登場人物紹介、今回は夕哉です。
朝日奈夕哉 17歳 高校2年生兼Σ京都支部隊員 8月2日生まれ A型 174センチ 57キロ 好きな食べ物 激辛ラーメン
陰陽師の家系の陰陽師の高校生で、晴夜とは同期であり、親友。
関西弁を話す、典型的関西人。現在も京都在住。
モテを拗らせており、晴夜のルックスやスタイルを度々羨ましがっている。
朝日奈家は陰陽師の家系の中では立場が低いが、夕哉はなかなかの実力者。
自然を生かした結界術を得意にしている。
お調子者な性格で、晴夜と氷華の恋を応援している人物でもある。
「天叢雲剣」と名乗る、剣の声が氷華の脳内に響き渡っている。
どうやらその声は、自らと通じ合わせたいとのことだ。
“お主は……氷華、と言ったな……? 氷華よ、10秒で良い。我の柄を両の手で握るが良い。”
そう言われた氷華は、言われるがまま、10秒、天叢雲剣の柄を握った。
1……2……3……4…………
10秒握っている間、頭痛を宥めるかのように氷華は深呼吸をする。
10秒が経過し、もういいのかな? と、氷華が思ったその直後だった。
バチン!!! と、大きめの静電気が直走ったような感覚を掌に味わった。
「あだっ!!」と、悲鳴をあげて、思わず天叢雲剣を手放してしまった。
“ハハハ、最初はこんなもんじゃ。……これからお主は我と通じ合っていくこととなろう。じゃが……お主、半妖じゃな。まだ、「妖」の気が残っておるぞ。我はまだ、お主を認めたわけではない。それでも我と共に今後戦いたくば……毎日空き時間で我の柄を握るが良い。”
そう言い残し、謎の声が氷華の脳内から消えた。
それと同時に氷華の頭痛が消えたのだった。
天叢雲剣から言われた言葉の意味がよくわかっていなかった氷華はただただ呆然としていた。
と、ここで、文香から両手で頬を抑えられた。
「氷華ちゃん! 大丈夫!?」
ハッ、と我に帰った氷華は次のことを話し始めた。
「なんか……よく分からないんですけど、剣の方から声が聞こえて来て……それに振り回された感覚です……今……」
文香は、氷華の言っていることが意味不明だ、といった顔で、頭の中には「?」が浮かび上がっていたのだった。
「ひょ、氷華ちゃんの言ってる意味がよくわかんないけど……ま、まあいいや。それよりさ、山、降りよ?? あの人……霰塚さん、だったっけ。その人が家に泊めてくれるって言うからお言葉に甘えましょ?」
「そ、そう、ですね。文香さん。……降りましょうか……。」
氷華は苦笑いを浮かべながら文香と共に下山したのだった。
その後、霰塚邸に招かれた二人は、用意された部屋で泊まることとなった。
文香は爆睡していたのだが、氷華は天叢雲剣の言葉が頭から離れず、寝付けないでいた。
(「妖」の気……?? ……邪念のこと、なのかな……。未だに手の感触が……あの静電気みたいな感覚が残ってるし……なんだったんだろう、あの現象は結局……。でもやれることはひとつだけだ……あの剣と、天叢雲剣と、ちゃんと向き合おう……。今私にやれるのは牛鬼と戦う前に天叢雲剣と通じ合わせる、ただそれだけだ……)
氷華は天叢雲剣の柄を握りしめて、ゴロン、と布団に横に寝転がったのだった。
一方、千葉県浦安市のとある森林、北川サイド。
事前に「覚」が出るという情報を氷華から聞かされていた北川は、森林の奥底へと入っていった。
単身で行くと言ったのはいいが、肝心の覚はなかなか見つからなかった。
どうしたものか、と北川が考えていると、ある案が思い浮かんだ。
「……焚き火、してみるか。」
北川はそう考え、早速焚き火用の木の枝を集め始めた。
あとは火種になるものを集め、北川は持ってきた木の棒で、ゴリゴリゴリッ!! と、火種と木の棒を擦り始めた。
高速で手を動かし、煙が湧き立つまで擦り続ける北川。
火が付いたところで、これまた持ってきた大きめの葉っぱに火種を包み、事前に組み立てた焚き火用の木の枝に火種と葉っぱを入れ、消さないよう慎重に、火種に息を吹きかけた。
火が大きくなり、枝を入れて火加減を調節しながら北川は焚き火を開始した。
持ってきた食材を焼きながら、覚の出現を待った。
何事もなかったかのようで、場所を変えようと思ったその時だった。
何やら毛深い、人間と同じ身長の猿のような生物が横に座っていたのが目に映った。
そして、こんなことを喋った。
まるで、見透かしたかのように。
「お前はこう思っている。……なんだ、こいつは……と。」
北川は一瞬ビビったが、この生物についてそう思っていたのは事実だった。
北川はすぐに冷静さを取り戻し、コイツが「覚」だ、と認識した。
「そしてお前はこう思っている。……この俺を、殺すべきターゲットだ、と。」
それも事実だった。
北川自らが命令したことなのだから。
そして、北川はこう言った。
薄笑いを浮かべながら。
「まあ、、全部事実だ。だが、今火は消えてねえぞ? ……火が消えるまで、待ってろ。」
確かに火が消えていなければ山火事になりかねなかったので、戦うのはもう少し時間が欲しかった。
「……なるほどな。」
と、覚がつぶやく。
北川は持っていたおにぎりをアルミホイルで包んだものを下から覚に投げつけた。
覚はこれを素直に受け取った。
「食べろ、ということか。」
覚はそう言った。
北川も頷く。
覚は北川が作ったおにぎりを口に運んだ。
「……ふむ。……美味いな。……丹精込めたという味がする。」
「……そうかい。」
こうして、北川と覚との、二人だけの焚き火の時間が続いていったのだった。
思いの外、予定より短くなったwww
次回、覚とバトルです。
銃撃VS心理戦をお楽しみにしていてください。
さて、次回の登場人物紹介は、お待ちかね、「新世代10傑」となります。
その初回は、もちろんのこと雪羽です。
乞うご期待ください、




