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23th SNOW 共闘せし雪女

……雪羽との共闘は最初で最後になるかもしれません……。

これがなにを意味しているかは、後ほどわかると思います。

さて、登場人物紹介のコーナー。

今回は月岡さんです。


月岡陽一(つきおかよういち) 陽陰家執事 66歳 182センチ 63キロ 好きな食べ物 抹茶


陽陰家唯一人の使用人。

家事、炊事、掃除、洗濯などをハイスペックでこなす。

執事歴50年。

元は没落した陰陽師の家系だったが、先々代当主に拾われ今に至る。

晴夜の出生を知る一人。

飄々とした人物で、義理人情を重んじる性格。

戦闘力もなかなかのもので、式神はあまり得意ではないが、その分結界術に特化した戦闘スタイルで、火力だけならば佐久間と同等。

 氷華は、援軍として来た雪羽に、八岐大蛇の弱点を教えた。


攻略のカギは尻尾にある、と。


それを聞いた雪羽は、こう提案した。


「氷華さん……私が引きつけるから、貴女は尻尾へ向かって頂戴。」


さらに聞くと、魔法を撃って撹乱するというのだ。


これを聞いた氷華は頷いた。


だが、同時に懸念もしていた。


「とりあえずやることはわかったけどさ……! 文香さんがああなってるのに大丈夫!? 雪羽ちゃん!!」


無理もない。


文香が攻撃を引きつけた結果がこの有様なのだから。


いくら雪羽が実力者とはいえ、雪羽だけに引き受けさせるのはかなり危険な試みではあった。


「私ではあの大蛇の尻尾は斬れない……貴女みたいに『創造(クリエイション)』が出来るわけではないのは氷華さんも重々承知のはずよ!! だから貴女が斬りなさい!! 今なら邪眼も時間はある! さあ! 行って!!」


雪羽の叱咤に大きく頷いた氷華は、剣を携えたまま尻尾の方角へ走っていった。



 一方、囮になることを自ら引き受けた雪羽はというと。


(とにかくこっちに攻撃を振り向かせるしかない……氷華さんに気づかれたら水の泡……ならばやることは一つ、大技、いきなり使うよ!!)


「雪女魔導術『氷像分身(ひょうぞうぶんしん)』!!」


ドライアイスで生成した、背格好が雪羽そっくりの氷像が7体、出現した。


そして、文香の命を拾ったあの技を一斉に解き放つ。


「雪女砲術『冷光砲(フリーズレイショット)』!!」


分身と雪羽本人の一斉射撃が八岐大蛇の首を次々に穿っていく。


貫通はしたが、再生力もある八岐大蛇は一瞬で治癒した。


そして雪羽に襲いかかる。


雪羽は分身を見捨てて高く跳び上がってこれを躱した。


空中で剣を生成した雪羽。


氷華には及ばない「創造」ではあるが、精巧に作られたものだ。


「雪女剣術……『昇華乱舞(しょうからんぶ)』!!」


空中で回転しながら連続斬りを放った雪羽ではあるが、八岐大蛇はやはり再生して来た。


空中から降り立った雪羽を容赦なく襲いかかる八岐大蛇。


氷華が早くしなければ雪羽が食われるのも時間の問題だった。


だが、雪羽はこんな程度で慌てるほどヤワではない。


冷気を手から一気に噴射させ、自らの身体を後ろへ飛ばして回避した。


そして距離を置いた後で、氷華の「冥王星の環境(プルトンアイスバーン)」と同等の技を放った。


「雪女天候操作術『聖なる吹雪(ヘブンリーブリザード)』……これで霰を大量に降らせて怯ませる……!!」


二酸化炭素中の空気が一気に霰となり、八岐大蛇に向かって弾丸のように突き刺さった。


大きな唸り声を挙げている八岐大蛇。


どうやら怯んだみたいだ。


雪羽は魔法陣を生成する中で、氷華が上手くやってくれることを祈っていた。


(氷華さん……何をしているの! 早く斬りなさい!! 私だって大技ばかり使っているから幾ばくもないわよ!!)




 一方氷華はというと。


(雪羽ちゃんの動きに合わせて歩くから捉えにくい……さっきあった場所ともだいぶズレてるし……早くやらないと雪羽ちゃんがもたない……!!)


と、その時、雪羽の出した技で、霰が大量に降って来た。


これにより、八岐大蛇が怯んでいる。


氷華はこれをチャンスと踏んだ。


(魔法を展開する音も聞こえる……! 今やるしかない……!!)


そう思い立った氷華は、剣の刃の部分を空気に昇華させ、八岐大蛇の尻尾まで誘導させる。


と、その時、カツン、という微かな音がした。


氷華の三半規管に直接響くように。


ここだ! と直感した氷華は、再び刃の部分と当たった部分をつなぐように、ドライアイスに凝固させ、切先が真っ直ぐになるよう自らの身体を飛ばし、剣を薙ぎ払った。


「雪女剣術……『昇華一閃(しょうかいっせん)奔流斬(ほんりゅうざん)』!!!」


氷華の目に映ったのは、薙ぎ払われた巨大な尻尾、そして、尾骨から出ている、()()()()()()()()()()()()()()()()だった。


氷華はその青い何かに向かって走って駆け寄った。


よく見ると、剣の柄だった。


「な……なにこれ……。引き抜いていいのかな……?」


一度ドライアイスの剣を解き、両手で掴み取り、一気に引き抜こうとする氷華だったが、想像以上に深々と刺さっていて抜けない。


「硬っ………なに、これホントに……全然抜けないんだけど……!!」


下半身を踏ん張っても抜けないその剣。


早くしなければ気づかれてしまう……そうなれば一巻の終わりだったが、雪羽がうまく引きつけてくれているお陰で運良く尻尾の方には気づかれてはいなかった。


剣の硬さに悪戦苦闘していた氷華。


だがここで、予想外の人物が助っ人で来た。



 負傷したはずの文香だった。


そして文香は、氷華と共に柄を持った。


「あ、文香さん!? なんでここに!? というか、怪我は大丈夫なんですか!?」


「話は後!! 一人じゃ無理なら二人でやるだけじゃない!!」


この言葉に一瞬戸惑った氷華だったが、微笑を浮かべて頷く。


「「せーーーー…………の!!!!」」


二人は力一杯、柄を引っ張った。


声を荒げて力一杯、パワーを全て出し切るかのように、思いっきり引っ張り、そしてついに……。



 空気を切り裂くような音がして、二人は後ろへ大きく転がっていった。



 と、ここで八岐大蛇に異変が起こった。


尻尾を斬られた痛みと、剣を引き抜いた時の力の抜ける感覚が同時にきたのか、狼の遠吠えのような鳴き声を出した。


「な……なに……? なにが起こったというの……??」


雪羽は戸惑いを隠せなかったが、同時にチャンスと踏み、「冷光砲(フリーズレイショット)」を首に向かって放った。


先ほどより明らかにダメージの絶対値が違う上、再生もしてこなかった。


(なにが起こったかは知らないけど、うまくやったみたいね、氷華さん……!!)



 その頃、氷華たちはというと。


「いてて……文香さん、大丈夫ですか?」


後ろへ大きく吹き飛んだことで、多少擦り傷は負ったが、目に見える怪我は氷華はそれくらいだった。


「私もなんとか大丈夫だよ……。てか、その剣なに?? 今までの氷華ちゃんとは違うみたいだけど……。」


文香も無事なようだったが、氷華が手に持っている、青く輝く剣のようなモノが気になって仕方なかった。


「八岐大蛇に刺さってたみたいですけど……。てか、とにかく戻んないと!!」


我に帰った氷華は猛ダッシュして八岐大蛇のいるゾーンへ戻っていったのだった。



 氷の鞘を生成し、一時的に青く輝く剣を収納した氷華。


雪羽の元へ戻り、状況を説明した。


「尻尾斬ったらこんな剣が出て来てさ……! それ引き抜いたら……!!」


雪羽も氷華の説明には納得はいったようで、


「なるほどね……弱体化したのもそのため、ってわけか。それに、もう再生してこないみたいだから、一気に畳みかけるわよ!! 氷華さん!!」


「了解!」


氷華が思い切り上空へと跳び上がり、先程の剣を鞘から引き抜いた。


雪羽も援護した。


「雪女氷結術『雪溜まり(スノーコーティング)』!!」


刃先に刃の付いた雪が付着し、氷属性の効果が付与された。


そして、氷華が剣を振り下ろした。


「雪女剣術合技!! 『氷結刃(ひょうけつじん)旋風(せんぷう)』!!!」


縦に真っ直ぐ振り下ろされた剣が八岐大蛇の身体を真っ二つにし、八岐大蛇は唸り声を上げて消滅したのだった。



 戦闘を終えた3人は一同に介した。


「いやー……助かったよ……。氷華ちゃんの言っていた()()()()()って、こういうことだったのね……。貴女がいなければ私は確実に喰われてたし……。とにかくありがとうね、そこの貴女……。」


「私は氷華さんの援護をしただけに過ぎませんわ……。実際私だけではあの大蛇を討ち倒すことはできませんでしたもの……。」


文香が雪羽に礼を言ったが、雪羽は援護をしただけだといい、倒せたのは氷華のお陰だと謙遜した。


「……ところで……氷華さん、その剣は……?」


雪羽は氷華が引き抜いた青い剣を指さした。


「うーん……八岐大蛇から出てきた奴だから用途がわからないんだよね……。」


氷華自身もよくわかっていなかった様子だった。


「うーん……ま、いいわ。山を降りたらウチへ泊めてあげるわ。……それじゃ、先に降りてるわね。」


といって、雪羽はスタスタとその場を立ち去っていった。



 「……しっかしこれどうしようか。結果的に八岐大蛇を鎮められたのはこれだったわけでしょ? 持ち帰るの? 氷華ちゃん。」


「うーん……そうしたいのは山々ですけど、荷物に入るかな……。」


氷華がまじまじと剣を眺めていると、急な頭痛が走った。


「ウッ!!」


呻き声を上げた氷華はその場で膝を付いた。


「氷華ちゃん!? ど、どうしたの!?」


「な……なにかが……()()()()()()………!!」


「ええ!? ど、どういうこと!?」


「わ……わかんないんですけど……()()……!!」


氷華の脳内に響き渡る声。


どうやら剣から発されているようだった。



“我が名は「天叢雲剣(あまのむらくも)」……お主に見つけられ目覚めし者……”



氷華の脳内に響く女のような声。


そして「天叢雲剣」と名乗った謎の声は続けた。


“お主は我を救いし者よ……。()()()()()お前ぞ……”



 この天叢雲剣と氷華の脳内との精神的会話から、事態は大きく動いていくこととなるのだった。


いやー……呆気ない幕切れでしたね。

次回は前半で氷華サイド、後半は北川サイドをお送りします。

ご了承願います。

次回の登場人物紹介は、夕哉ですので、お楽しみに。

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