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22th SNOW 変幻自在の八つ首

とにかく、激化、激化の連続です。

アニメとか、コミックにしたらマジでカッコいい絵になると思う、そんな感じに仕上げました。


登場人物紹介のコーナー。

今回は晴夜の父、月久さんです。


陽陰月久(はるかげつきひさ) 45歳 陽陰家現当主兼実業家 192センチ 86キロ B型 9月25日生まれ 好きな食べ物 鮭の幽庵焼き


晴夜の父で、陰陽師の名家「陽陰家」の35代目当主。

顔の堀の深さや、耳が晴夜にそっくりな人物。

厳格な人物で、晴夜を修行させていたのも彼。

佐久間とは幼馴染兼親友同士で、今も交流があるほど仲がいい。

表向きは不動産会社の社長。投資も行なっている。

晴夜の出生の秘密を何か握っているのだが、それは後ほど。

 八岐大蛇の首の一つが、氷華に向かって襲いかかってきた。


これを氷華が躱したのだが、また別の首が襲いかかってきた。氷華は咄嗟に盾を作り、噛みつき攻撃を寸前でガードした。


しかし、防げど防げど、避けど避けどと、首が激しく襲いかかってきた。


しかも数が多い上に巨大なので、氷華のバックステップも自然と大きくなってしまう。


これでもギリギリで防いでいる方だった。


(まずいな……氷華ちゃんにばかり、攻撃が集中してる……。なんとか私にも引き付けておかないと……)


このままではいずれ氷華がやられると判断し、文香はリュックサックから手榴弾を取り出した。


勿論、妖魔専用のものだ。


安全装置を歯で引き抜き、八岐大蛇に投げつけた。


熱攻撃に弱い氷華に当たらないよう、細心の注意を払いながら。


爆発を起こし、八岐大蛇の首の一つに見事ヒットした。


だが、この程度の爆発では消滅はできなかった。


八岐大蛇の注意が文香に向けられた。


なんとか躱そうと試みた文香ではあったが、回避より先に首の一つが文香の脛に齧り付いた。


一噛みで脛の骨が軋むほどの咬合力だ。


なんとか逃げようとする文香を、その首は空中へと持ち上げる。


すると、他の七つの首が一気に襲いかかってきた。


文香はあまりの光景に目を瞑った。



 殺されて喰われる……と悟った、その時だった。


空中で落ちたと思いきや、八岐大蛇の胴体がクッションとなって、文香を支えたのだった。


何が起きたのか分からず、辺りを見渡した文香。


するとそこにいたのは、右眼が紅くなり、白濁した剣を持った少女_____


邪眼を解放した氷華の姿だった。


いつのまにか山に登る前の服装になっている。


「氷華ちゃん!? ……ごめん!助かった!」


感謝を述べた文香に、氷華は冷静に返した。


「……ご無事で何よりです。さっき、『昇華一閃』で首の一個を消し飛ばしましたから。」


そう思い、足元を見た文香。


そこには先程齧り付いた首の顎が文香の脛に噛みついたまま、頭だけの状態になっていた。


「……でも、氷華ちゃんは大丈夫なの!? いきなり邪眼解放はキツいって!」


「ここで死ぬよりマシですよ! って、来ますよ! 文香さん!!」


文香の心配を他所に、氷華に気づいた首が襲いかかってきた。


ドライアイスを凍らせて作った盾も構え、剣と共に応戦した。


とはいっても、あまりの攻撃の激しさに防戦一方になっていた。



 このままでは邪眼が持たない。


文香も手榴弾と、長い舌を生かした、首を伝う回避で攻撃を躱し続けたが、氷華が防戦一方では、攪乱にしかならなかった。


「クッ……このままだとラチが開かないわね……。どうする? 氷華ちゃん。」


と、文香が首を見た時、再生していたのが見えた。


「……マジか……再生もするのね……あの首は……。」


氷華も訝しげな顔をした。


「ここまで長丁場になるってなると……。私も一回、邪眼を()()()()()()()()()ですね……。」


そういって、氷華は体力の回復がてら、一度邪眼を解いた。


左肩には、防戦の中で八岐大蛇の牙が掠ったのか、血が服に染み付いている。


と、言ったそばから八岐大蛇の攻撃が飛んでくる。


「……でも……弱点は絶対にあるはず……。八岐大蛇といえど、元は蛇だと思うので、低温には弱いはずなんですが……。」


「そうはいっても、動けているしねえ……ある程度は……。あ、そうだ! これだ!」


走りながら避け続ける二人。


文香はその最中で何かひらめいたように氷華に話し始めた。


「ど、どうしたんですか? 急に高い音出して。」


「私が胴体に乗って引きつけるから、尻尾の方、調べてくれない? その代わり、あの眼は使わないこと! いい!?」


「……わかりました。じゃあ、それでいきましょう。……捕まらないでくださいよ? 文香さん。」


「大丈夫よ! とにかく、お願いね!! じゃ……手榴弾、投げたら作戦開始ね! いい!?」


文香はそういって、手榴弾を取り出した。


そして、歯を使い、安全装置を引き抜いた。


「レディー………ゴー!!」


文香が手榴弾を投げた瞬間、二人は二手に分かれて走り出した。



 文香は八岐大蛇の胴体に飛び乗った。


文香に襲いかかってくる八つの首。


文香はカメレオンのように長い舌を生かして八岐大蛇の首に巻き付いてはギリギリのところで回避していった。


まるでハリウッド映画のワイヤーアクションシーンのようだった。


2メートルを超える舌が、この時ばかりは幸いしていると、文香は我ながら思った。


だが、これはあくまでも囮。


本命は尻尾の調査に出かけている氷華の方だ。


(……早く……氷華ちゃん……、こっちだってそんなもたないから……!!)


文香はこの時ばかりは祈る気持ちが最優先していたのだった。



 一方、氷華サイド。


(尻尾……尻尾……!! これだけ広いと行くのにも一苦労だよ……! 何か情報があればいいけど……!)


走りながら、肩に受けた傷を、持ってきたハンカチでギチギチに結ぶ。


これで最低限、止血はできる。


(とにかくこれで痛みは多少抜けるはず……。その間に探しとかないと!)



 こうして、尻尾に到着した氷華は、まじまじと観察した。


「……邪眼使ってないと威力出ないけど、使うか……。雪女物質生成術『氷柱の(アイスピラー)弾丸(バレット)』。」


氷華は生成した小さな氷柱をガトリングを乱射するかの如く、尻尾に打ち込んだ。


尻尾に命中した。


尻尾が弾丸を喰らい、()()()()()()()()()()()()()のを目撃した。


尻尾が弱点だ、そう確信し、文香に伝えようとしたが……。


空気を切り裂くような音がした。


氷華がそれに気づき、咄嗟に後ろに跳んだのだが……それだけで躱せるほど、八岐大蛇の巨大さは甘くなかった。


尻尾の攻撃をボディーにまともに受け、氷華は吹き飛ばされた。


「氷華ちゃん!!」


これを目撃した文香は慌てて氷華のところへ向かおうとしたところ、隙を見せてしまった。


胴体を揺すられ、降り立った瞬間に振り落とされてしまい、空中に放り出された。


身動きが一瞬で取れなくなった。


なんとか体勢を立て直そうとしたが、八岐大蛇もバカではない。


首を普通の蛇のように、クネクネと動かして、文香に的を絞らせなかった。


首の一つが空中に放り出された文香を思い切り噛み付いて捉えた。


胴体をキッチリと咥えられ、厚手の服だったので致命傷にはならないで済んだが、それでも筋肉が軋むほどの咬合力。


全力ではないにしろ、下手に動けば噛みちぎられるほどの強さだった。


痛みに堪え、なんとか抜けようと暴れた文香を、他の七つの首が今度こそ捕らえようと、喰らおうと、襲いかかった。


必死の抵抗をした文香だが、この状態ではなす術がなかった。


次々に文香の身体に蛇の頭が齧り付く。


もう、肢体がバラバラにされるのも、時間の問題だった。


文香がもう、今度こそ終わりだ……と、思った直後だった。




「雪女砲術『冷光砲(フリーズレイショット)』。」



どこからともなく、()()()()()()()()()()()()、八岐大蛇の首を撃ち抜いた。


予想外の事態に、八岐大蛇の首が文香を口から離し、一斉に飛んできた方角を振り向いた。


文香は落ちていく。


身体に力が入らなかった。


このまま打ち付けられて死ぬのか……? 文香が空中でそう考えていると、誰かに抱き抱えられた感覚がした。



 邪眼を再度解放した氷華だった。


「氷華……ちゃん……? 貴女は……無事……?」


「私は……平気ですから……!!」


着地した氷華は、膝を突き、文香を下ろした後、思い切り咳き込んだ。


「ゲホッ! ゲホッ! …………大丈夫ですか!? 文香さん!!」


やはり、先程の衝撃がまだ、ダメージとして残っていたようで、危機を察知して邪眼を解放したとのことだ。


そして傍には、咬み傷だらけの文香がいた。


「ごめん……囮とはいえ、足手纏いになっちゃって……。それよりさ……どうだった? 弱点は……。」


「やっぱ……尻尾に攻撃を仕掛けたら嫌がってました。多分、何かあると思います。八岐大蛇の尻尾には。」


「そう……。ごめん……ちょっと……休んでいいかな……?」


この言葉に悲痛な表情で氷華は頷いた。


「……大丈夫ですよ……その代わり、勝ってくるんで、死なないでくださいよ……?」


そう言い残して、氷華は光が見えた方角へ走っていった。



 走ってその方角にたどり着いてみると_______



見覚えのある顔がいた。


「雪羽ちゃん!! 来てくれたの!?」


なんと、()()()()が八岐大蛇と戦っていたのだった。


「氷華さん……大丈夫だった!? ……だいぶ戦況は悪いみたいだけど……!?」


雪羽は魔法陣を展開して、向かってくる首に魔法を次々と打ち込んでいった。


これに氷華も、再びドライアイスの剣を生成して参戦した。


「雪羽ちゃん!! 弱点を見つけた!! 決して戦況が悪いわけじゃない!!」


「本当!? 早く教えて頂戴!!」


こうして二人は八岐大蛇と向かい合った。



 次代を担う()()()()()()()によって、八岐大蛇との戦いは更に激化していくこととなるのだった。

さて……面白い展開になってきましたね……。

文香はボロボロになっちゃいましたけど。代償で。

なんだかんだ、2回も命拾いしてますね、彼女はwww

次回、氷華と雪羽の共闘になって、マジで激アツな展開になります。お楽しみください。


登場人物紹介は、月岡さんの紹介をしたいと思います。

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