2nd SNOW 雪女の隣は陰陽師。衝撃の告白と氷華の運命の交差点。
どうも、黒崎です。今回は二話にして、大きく動きます。是非ご覧ください。
新型コロナが流行ってますが、くれぐれも油断なさらないよう気を付けてください。
陽陰晴夜が私の隣______。
氷華はそう思ったのと同時にいろんな意味で嫌な予感がしていた。
晴夜はクラスの中でも一際背が高く、しかも男が苦手な氷華ですら、惚れてしまいそうなほど無駄に美形だった。
そして一言よろしく、と氷華が声をかけられるだけでも周囲から黄色い悲鳴が上がるほど低く透き通った声だった。
一瞬でハートを鷲掴みにするとはまさにこのことだろう、と氷華はまざまざと思い知らされた。
幸いこの日は移動教室もなかったので、教室案内などはしないで済む、そう思っていたら晴夜から、
「雪宮さん、廊下で少し話さないかな? 君のことを知りたいんだよね。」
「え?い、いいけど……」
氷華はそう言われると晴夜と共に廊下に出た。
といっても教室のすぐ近くの廊下なのだが。
「雪宮さんって妖怪とか、妖魔って聞いたり見たりしたことある?」
晴夜から聞かれたのはまさかの妖怪や妖魔の、いわゆる「妖し」のことについてだった。
「え……? 見たことあるけど急にどうしたの??」
当然氷華は戸惑った。
確かに見たことは幼い時からあるし、低級の妖しなら倒したことはあった。
だが、面と向かって聞かれるのは初めてのことだったし、氷華自身、生業としているわけでもなかった。
しかも、今日出会ったばかりの美少年に、だ。
「見たことあるんだ。じゃあ、僕の素性を明かしていいかな。」
晴夜はそういうと話し始めた。
「僕は陰陽師の末裔で、秘密裏に妖怪や妖魔を退治することを生業にしてるんだ。最近、本部からこの地域で妖怪たちが大量発生してるから転校したと称して退治して欲しいって言われてね。それでこの学校に来たんだ。」
公立高に転校生が来るということは非常に稀なケースだ。
だからといって、晴夜のように目的があったとしても、転校することが承認される可能性は滅多にない。
そんなこともあってか、陰陽師だからといって易々と転校がそう簡単に認められるのか? 妖怪の一族でありながら人間社会に「人間」として生きてきた氷華にしてみれば疑問が渦巻くだけだった。
ただ、晴夜が嘘でこんなことを突然言うか? そんなことが頭に思い浮かんだ。
「でも何でわざわざこんな公立校なんかに来たの? 私学とか通信制のところとか、選択肢いっぱいあったじゃん、行けるところなんて。」
基本的に真面目な氷華は当たり前のようなことを聞く。
すると意外な答えが返ってきた。
「本部で働いている人がさ、この学校に教師として働いているんだよね。その先生は僕の親父の上司に当たる人で、その先生の助力で編入することが出来たんだよ。」
まさかのここの教員のコネというパワーワードに驚きを隠せず、氷華は大声を出してしまった。
「え、なんで!? ちょっと待って、えぇ!?!? ここの先生の助力!? それホントはダメなんじゃないの!? それ言っちゃいけないやつじゃん!!!! 第一教員は法律で副業できないし…え、ホントにどういうこと!? 陽陰君!!!!!」
「そんな驚かなくても……ちゃんと編入試験は受けてるしその点数の基準も超えてるから問題はないのさ。僕のさっき言った組織は政府非公認だし、会社としても経営してないから、さっき言った先生のような公務員の方でも所属してるし、僕はここに来る前は京都の支部の方にいたんだ。全国にいろんな妖しが出没して人手が足りないから各支部1人を選抜して東京に寄越してくれって連絡兼召集が来てね…。それで僕が選ばれたってことになったんだ。」
氷華は晴夜を見た当初から只者ではないと思っていたが、まさかここまで凄い立場にいたとは…想像もつかなかった。
「え、その組織って……」
そう言いかけた直後、チャイムが鳴った。
授業の始まる5分前の合図だ。
戻ろうか、と晴夜に言われ、氷華も教室に戻った。
昼休み、晴夜が購買で食事を買いに行っている間に梢たちが氷華のところに集まった。
氷華が休みの日によく共に遊ぶ友人達だ。
氷華の前に座っている黒ギャル風の褐色肌が梢、その右隣の三つ編み眼鏡っ娘が黒川玲香、氷華の右隣の垂れ目が特徴の少女が小寺都姫。
梢が今時女子、玲香が物知り腐女子、都姫が商店街の呉服屋の一人娘という、共通点のなさそうな三人だが、氷華が中学の時から信頼している三人で、真面目であるが故に悩みやすい氷華にとって悩みを吹き飛ばしてくれる存在でもあるし、食事も共に摂るし、いつも遊ぶ三人だ。
その三人が晴夜に朝、声をかけられたことについて案の定が如く聞いてきた。
「ねね、氷華、陽陰君となんの話ししてたの? ウチらめっちゃ気になってんだよね、友達としてさ〜。」
「私のこと知りたいって言ってたけどアイツ自分のこと話しただけで終わっちゃってさ、今でもよくわかんないんだよね、陽陰君のこと。」
「え、でも大声出してなかった? 氷華ちゃん…。」
「うーん、ここでは言えないようなこと言われてさ、突然。お父さんのコネがどうとかって言ってたの。それでびっくりしちゃってつい、ね。」
「氷華があんま大声出すことないもんね…アタシらとお化け屋敷行った時アンタだけビビってなかったし。」
「そ、そうだけどさ、と、とにかく、常識で測れないこと話してたの!!」
微妙な空気が流れる。
しばらくの沈黙の後、梢が話を切り替えた。
「こ、今度の休みの日、みんなでどっか行かない? テスト近いけどその前にパーッと遊ぼ? ね?」
一学期の中間試験は確かにあるが、気になることはできたので晴夜に直接聞けばいいのだが、それはそれ、これはこれ、と言った感じで遊びも大事にする。
それが梢達となら尚更だった。
純粋に楽しいから遊ぶ。
余計なことで悩んでてもしょうがないという気にさせてくれるのはこの三人と共にいてこそだった。
個人的にもっと話をいい流れで動かしたいので次はもっと長めに書こうかなと思います。
今後ともよろしくお願いします。