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18th SNOW 「眠らない街」の調査

牛鬼の配下妖怪討伐任務の前触れです。ここ数話はそれの方針で行きます

今回の登場人物紹介は、吹雪となります。


雪宮吹雪(ゆきみやふぶき) 46歳 料亭「山吹」女将 12月9日生まれ O型RHマイナス 169センチB89W59H93


霜乃、氷華、氷衣露の母。栄五郎とは前店長の兄弟子という関係。料理人としての実力は相当なもの。

意外と事なかれ主義者だったりする。夫の誠以外での恋愛経験はないが、三姉妹の恋路はなんだかんだで応援している。

全盛期は「新世代10傑」に最年少の15歳で選ばれたほどで、氷結系を得意にしていた。

46歳なのだが、皺が全くないので、20代後半に見られることも多い。

 8月の後半。


夏休みも後半に差し掛かろうとしていた頃、氷華は夜の歌舞伎町に足を運んでいた。


何故、そこに来ていたか、というと。



 「九尾の狐」の居所を掴むためだ。



 長い髪を結い上げ、黒いシャツにジーンズ、黒いキャップに顔にはマスクと、いかにも芸能人が変装して遊びに行っている時のような服装で氷華は単身歌舞伎町に来ていたのだった。



 氷華は路地裏で、しかと人集りを観察していた。


「うーん……御当主様直属の精鋭部隊でも見つけにくかったって言ってたから難しいのはわかってたけどなあ……。この中から妖気を見つけないと行けないのか……。……居酒屋の方には居なさそうだし……。」


と、ここで氷華は思い立った。


「あの手の人に化ける妖怪が男の人をターゲットにするんなら……やっぱあそこかな。ホステス街。そうと決まれば行ってみるか……。」




 こうして、ホステス店が立ち並ぶゾーンへと辿り着いた氷華。


さて、ここからどうするかというと。


「……まだ6時半か……。そうなると……まだ来てないってことも視野に入れなきゃダメか……。おそらく綺麗な女性に化けるということを考えたら絶対こういうところで『人間として』生活しているだろうし……。」


歌舞伎町の情報誌を読み、人気のありそうな顔を探した。


だが、写真からでは妖気が伝わってこない。


頭を悩ませる氷華。と、ここで気になる源氏名を見つけた。


「え………? なにこれ……『天狐(てんこ)』……??」


普通にありそうな源氏名ではあったが、九尾の狐の調査に来ているのだ。


狐、という名前があればどれも怪しく見えてしまう。


更にページを捲る。


だが、どこもそれらしき名前はない。


この「天狐」という源氏名の女性に狙いを定めた。


金髪に青い目、色白の肌なのですぐわかるはずなのだが……。


「でもそれらしい人が見当たらないな……妖気もないし。少し、聞き込みをしてみるか……。」


こうして氷華は街行く人に天狐というホステスがいるかどうかの聞き込みを開始した。




 一時間後。


聞き込みを終えた氷華は話をまとめた。


「この町で一番大きいキャバクラで2ヶ月前に入った子、売り上げが2ヶ月換算でトップにいること、そして閉店後はホストクラブで、売り上げを男に使い込んでいるということ……。そして話術がトップレベルで立つこと……これくらいしか得られなかったけど……。……裏側に入ってみるか……。」


そうして氷華は、巨大キャバクラに行った。



 

 キャバクラに訪れた氷華は、まだ17歳なので、潜入捜査を行うにしろ、年齢制限で弾かれるのは目に見えていた。


なら、使うならアレしかない。


「仕方ない……あまり使いたくはなかったけど……これだけは……。雪女潜伏術『雪隠れ』。」


邪眼を一瞬だけ解放し、姿を消した氷華。


所謂透明人間状態だ。


あまり時間は持たないが、調査をするためだ。


なりふり構っては居られなかった。




 キャバクラ店の控え室。


ソファーの裏に隠れて、尻尾を出すのを待った。


何やら話し声が聞こえて来る。


その話を聞いてみると、「天狐」に対しての他のホステス達の嫉妬の声での会話が聞こえてきた。


聞いていて気持ちいいものではない。


やっぱり、「天狐」が九尾の狐なのか?? そんな思いもよぎってきた。



 と、ここで客との対応を終えたのか、「天狐」が控え室に入ってきた。


その女は、氷華の隠れているソファーにどかっと腰掛けた。


そして何やら会話をしている。


先程とは違い、今度は媚びへつらう声での会話が聞こえてきた。


やはり実力の世界はこうなるのだろうか。


氷華はそう思っていると、ソファーの上の方に何やら動物の毛が見えていた。


幸い、他のホステスからは死角になっている位置に生えていたのだが、氷華は天狐の真後ろのソファーにいたのだ。


その一瞬を見逃すはずがなかった。


(やっぱり勘は当たってた……!! この「天狐」って人が……今回のターゲット「九尾の狐」……!!)


だが、問題はここからだった。


あの術を使うにしても、スマホまでは隠せない。


撮るのなら造作もないことではあるのだが、後ろを振り向かれたら一巻の終わり。


気づかれないように慎重に証拠を握るしかなかった。



 命からがらで撮り終えたあと、天狐もとい、九尾の狐は立ち上がった。


どうやらホストクラブに行くようだ。


氷華はその後をつけていった。




 店を出た九尾の狐と氷華は、ホストクラブに向かって歩いていた。


なんとか証拠写真を納めたい氷華は、気づかれないよう、慎重に後を追う。


と、ここで九尾の狐が多目的トイレへと足を運んでいった。


どうやらホストクラブはホストクラブで、別の顔があるようだ。


化粧直しも兼ねているのではないか。


そう思っていると、鏡の前で顔を洗い、メイクを落としている。


氷華はその隙にトイレの個室へ隠れ、死角になるであろう位置にスマホを構える。


自らは姿を隠しながら。



 と、何も知らない九尾の狐が、氷華がいる個室に入って来た。


金髪青目のその姿。


一見すれば外国人とのハーフと間違えそうな見た目だ。


氷華はスマホカメラの設定をビデオに設定し、動画を撮り始めた。


決定的証拠を掴むために。


トイレの便器に腰掛けた九尾の狐は、一息ついたのか、狐の姿に戻った。


氷華はその瞬間を撮っていた。


「はーあ……ホント人間はチョロいわー……。全く、牛鬼様から雪女を探して情報を渡せって言われてるけど……実際警戒されてるしなあ……その雪女に。……ま、アタシの尻尾を掴むなんて不可能なんだけど……。」


氷華は息を飲んだ。


実際バレたら大変な事態になるので、気付かれないように、徹底してスニーキングしながら動画を撮り続けた。


「ま、いっか。アタシは男を落としてそういう情報をいただくとするわ……。」


こうして、九尾の狐は、別の人間に化けた。


そして、服を着替えて個室を後にしたのだった。


氷華は大きく息を吐き、録画したものを確認した。


「うん……ちゃんと撮れてる……ね。とりあえずΣのグループに送るか……。決定的証拠として……。」



 

 結果的に収穫を得た氷華は、コンビニで買い物をして自宅へと戻っていったのだった。

僕自身はただただ健全に書いてるだけなので、ご安心くださいwww

九尾の狐は「傾国の妖怪」と言われているほどなので、相手にしたらめちゃくちゃめんどくさいですね。

さて、次回は情報を渡す回ですね。あと、登場人物紹介で、父、誠を紹介します。

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