表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/128

13th SNOW 夏に起こり得る事故

今回は夏に起こり得る事故を書きたいと思います。……本州の海では割と起こりやすいのではないでしょうか。


今回はΣ編はもう終わったので、サブキャラたちを紹介していきます。今回は梢です。


三木谷梢(みきたにこずえ) 16歳 高校2年生 157センチ38キロ 9月30日生まれ B型 3サイズB86W59H87

氷華の中学時代からの友人の一人で、一番氷華と付き合いが長い。金髪ロングウェーブの髪型と黒い肌が特徴の典型的黒ギャル。モテるが男の基準がかなり高いのでおとまりになった男はいないとのこと。妖魔の見えない一般の人間。サバサバした性格だが、意外と機転が効く上、面倒見がいい姉御肌な性格。

家族構成は両親と5歳上の兄と3歳上の兄の5人家族。

見た目に反して勉強ができる方で、英語は学年でも上位を取れるほど。

 氷華は悲鳴のした方へ猛ダッシュした。


胸騒ぎがする。


もしかしたら玲香たちに何かあったのか? そんな思いもよぎる。


とにかく何が起きたのか知りたかった。


仮に妖怪が出てきたら海にいる客を逃さなければいけないし、もし海難事故だったら……色んな想いや懸念がよぎる中、悲鳴のした方向へたどり着いた。



 その光景を見た氷華は、というと。



 何やらトゲが男の脚に刺さっていた。


それも鋭利で深いものだ。


色々な意味で氷華は口を抑えた。


被害者は、先程氷華をナンパしてきた男だった。


男は苦悶の表情をしている。


脚からは血が出ている。


そのトゲの正体は、というと。



 アカエイのものだった。



 アカエイは、砂浜に隠れて獲物を捕らえる魚で、上から踏まれた時のためにトゲが尻尾に仕込まれている。


そのトゲはかなりの強毒で、しかも刺さったところからトゲの更に極小のトゲが猫の尻尾が逆立つように患部から逆立って抜けにくくしてしまうものなのだ。


しかも抜こうと思っても()()()()()()()


非常に厄介で、海の事故では結構起こりやすい事故だった。



 凄惨な光景にザワザワしている観衆。


海に対しての知識は薄いのだろうか。


皆何もできないでいたのだった。


このことを見た氷華は意を決して男に駆け寄った。


「だ……大丈夫ですか!?」


この言葉に男は横に首を振った。


それもそうだろう。


恐ろしいまでの激痛が走っているのだから。


「誰か……誰か救急車をまず呼んでください!! あと、お湯の入ったタライも持ってきてください! お願いします!! 命の危機なんです!! 急いでください!!」


必死の形相をした氷華に言われて焦った群衆は次々と動き出したのだった。



 さて、動き出した民衆が男と氷華の前からいなくなり、残っていたのは氷華、被害者の男、そのツレの男二人と相澤が残っていた。


「クソ……まずトゲを引き抜かねえと……。」


「あ、相澤さん……素手だと無理ですって……。私たちまで怪我しますよ……。」


「け……けどよ……。」


あいにくピンセットはこの場にない。


ライフセービングの本部に行くくらいしかピンセットの在処はないのだろう。


かといって手間取れば命に関わる。


時間だけが過ぎていった。



 と、ここでお湯の入ったタライが到着した。


どうやら持ってきた主は怜緒樹だったようだ。


「ワリイ! 氷華、これでいいか!?」


「れ、、怜緒樹さん!? なんでここに!?」


「話はあとだ! まずその男の脚をお湯にぶちこめ!」


氷華は男の脚を自らにトゲが刺さらないよう、慎重にかつ迅速にお湯の中に入れた。


最初はお湯の熱さで身悶えた男だったが、時間が経つとだんだん息も落ち着いてきていた。


実はアカエイの毒は「タンパク質性」の毒で、お湯に30分浸ければ、毒が弱まっていく性質のものだった。


あとはどう引き抜くか……そこが問題だった。


と、ここで北川が駆けつけた。


「隊長!? というか、その箸は!?」


「ちょうど洗ってたやつがあったんでな! 菜箸が!! 任せとけ! 俺が引き抜いてやる!」


そういって、北川は躊躇いもなく左手をお湯の中に突っ込み、男の足をふん捕まえた。


そして持ってきた菜箸で一気に引き抜こうとする。


だが、北川の筋肉を持ってしても引き抜きづらかった。


「チッ……逆立ちようが強いな……」


ギリギリのところで折れないように力加減を加えていれば抜けるのだが……男は引き抜く時の痛みで絶叫している。


相澤が手を添える。


「隊長……俺も手伝いますよ!!」


「……わりいな。じゃ、頼むわ。」


「「せーーーーーの!!!」」


氷華と怜緒樹で暴れようとする男の体を押さえつけながら、北川と相澤はトゲを思い切り引き抜いた。


トゲが抜けた患部をそのままお湯に浸けたまま、残り20分弱、毒が弱まるまでの時間、そのままにし、その時間が経ったあと、包帯で止血した。


「……悪いな……君がいなければどうなってたことか……。」


「………いいんですよ……。……人助けは当然ですよ。……ただ……知識があるか否か……それだけですから……。」


ナンパされたことなど露知らず、氷華はナンパ男の礼を素直に受け取った。


「しかし、驚いたな……氷華ちゃんにそんな知識があったなんてな…。ありがとう。俺のダチを助けてくれて。」


「………いいんです。とにかく助けることができてよかったです……。あとは救急車を待ちましょう……。」


程なくして救急車が来て、男は担架で運ばれていった。


相澤と男と一緒に海に来ていた残り二人の男が付き添いで乗車していった。



 時刻はすっかり夕方になっていて、肌寒くなっていた。客ももうほぼ帰っていた。


「……なんで怜緒樹さんはここに……? というか、文香さんも……?」


「うーん、どっから説明すればいいんだか……。まあ、隊長の知り合いに頼まれて社会人組で海の安全管理を手伝っていたんだよな。文香さんは受付で、隊長は海の家で焼きそば作っててさ……。で、アタシはライフセーバーをしてたってわけだ。……まあ、相澤はともかく、氷華たちまで来てるなんて思わなかったけどよ……。ま、お陰で助かった。」


「というか……氷華ちゃんは寒くないの?」


「雪女……ですから……。むしろ日中の方が暑くていけないんですよ……。」


「まあ、、そりゃそうか……。雪女は元々寒冷地帯の妖怪だからな……半妖のお前も例外じゃない……。」


「……友達が待ってるんで、失礼します。」


こうして氷華は足早にΣのメンバーの元から立ち去った。




 「はあ……すっかり遅くなっちゃった……。みんなどこにいるんだろ……。」


テントはもう片付けられている。もう帰ったのか……!? 一瞬そう思った氷華だったが……更衣室? そこに行けば会える?? そう思って更衣室で着替えるがてらで戻ったら、もう荷物はなかった。


(マジでみんな帰ったの!? 私を置いて帰るなんてどういうこと!? とにかく急ごう!!)


速攻で着替えた氷華は更衣室を出て、駐車場の方へ向かっていった。



 すると、みんな待っていた。


「氷華ちゃんお疲れー。全然帰ってこないから大丈夫かなって思ってたよ〜。」


「いや、薄情すぎない!? 友達置いて帰るなんて!!」


「いやいや、サプライズサプライズ〜」


「まあ……うん、サプライズでもなんでもないけどね〜。寒くなってきたからもう時間かな、って思ってさ。」


「だからってわざわざ駐車場まで待つことないじゃん!! 焦るからホント金輪際やめてよ!! そういうの!!」


「氷華……急に駆け出された身にもなってよ……アンタ足速すぎて追いつけないって、アタシの足じゃ。」


「う……それはゴメンだけどさ!! コズ!! だからってさ……」


「まーまー、電車乗ろう、帰り遅くなっちゃうしさ!」


玲香の一言で一行は東京行きの電車に乗ることとなったのだった。

ここで全く本編と関係ないお話を。

アカエイはカスベとして売ってて、煮付けや唐揚げがマジで美味いんですよね。あのコリコリが堪らん。あと、コラーゲンが多いので煮付けした後の煮出しが煮凝りになってこれもまた、白米にかけると美味いんですよ〜〜。


さて、次回は玲香の紹介です。次回は、前半は氷華のお母さんが、後半はお父さんが初登場します!!!お楽しみください!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ