114th SNOW 地獄より迫る日本の危機
今回から新章「地獄大戦編」になります。
ここから私、黒崎のクソドS発揮章になるんで、抑えておいてもらえたら幸いです。
章のラストはちょっと鬱展開になるかもしれないですけどww
4月になり、氷華と晴夜は高校3年生になった。
桜が咲き荒れる頃、「Σ」から緊急招集が掛かり、氷華と晴夜は青梅市のアジトへと向かっていた。
雪陰大戦以降、妖怪がそう多くポンポンと出るような情報は消えかけていたのだが、それでもちょくちょくと出る。
だが今回はいつもと雰囲気が違う。
2人が到着した時にはピリッというより、ビリビリビリ!! という重苦しい空気が流れていたからだ。
2人が席に座ると、北川は重々しく口を開いた。
「……悪いな、急に呼び出しちまってよ……最悪の場合、日本が滅ぶかもしれない緊急事態なんだ。」
「「!?!?」」
寝耳に水の事態に2人は驚きを隠せなかった。
それくらいの衝撃度があったのは「Σ」の面々も同じだ。
「実はこの前……相澤に調査をさせていたんだけどよ、その時にコイツが見ちまったんだよ……『地獄』をな……」
「……じ、地獄ですか……!? どういうことなんですか!? 相澤さん!!」
相澤も珍しく神妙な表情で、氷華と晴夜に説明をした。
「実はよ……いつもみてえに地中に潜伏して捜査してたんだけどよ、そうしたら……“妖怪とは少し違う何か”を見つけちまってな……? それが赤紫の球体だったわけよ、それもバカでけえのが……」
文香も頷き、その後も説明した。
「こういうのは私たちは専門外だから……『Ω』の人たちを呼んで調べてもらったの、そしたら……」
「そしたら……なんですか?」
「……神話の悪魔達が日本に進軍していたのが見えたの。証拠は莉亜ちゃんが録ってくれてある。……彼らは日本を侵略し、我が物にする気よ。日に日に増幅している、このままのさぼらせておくと……日本は飲み込まれる、それは間違いなく言えるわ。」
「そんな……それじゃあ……」
「ハイ……氷華さんと晴夜さんの婚約どころではなくなります。」
冬菜も頷いた。
本人は火傷もだいぶ治り、髪も伸びてきていた。
それは置いといて、全員がこのままだとマズイという危機感を抱いていた。
「……そうなる前に俺たちが食い止めないといけないのは事実だが……俺たちでは限度があるし、『地獄の王・ルシファー』に勝てる可能性が見込めねえ……そこでだ。霜之関雪子に要請をした。だが……資料を分析したところ、アイツでもキツいとの事らしい。アイツからの要望は……晴夜と氷華、お前たち2人に地獄を滅ぼすか、もしくは撤退をさせてもらいたい、との事だ。そうでなければ戦力的に厳しいとのことだ……やれるか?」
雪子が手を打っている、との事で、一安心とは思っていたが、なんとか食い止めなければいけない、というのが2人の中にあった。
晴夜と氷華は目を合わせた。
そして軽く頷いた。
「「やれます!!」」
「……よし、そういう風に連絡を入れておく。『Ω』に調べてもらったら……明日がタイムリミットみてえだ。手がつけられるギリギリが、な……だから明日の朝、相澤が案内するからお前達はそこを叩け。いいな!?」
「「ハイ!!」」
こうして2人は、日本を守るために未知なる悪魔との戦いに身を投じることになるのであった。
そして翌日。
2人は相澤の車で現地に到着した。
そこにいたのは。
「……すまんな、相澤。こんな朝早くから、な……」
「恐縮です。」
白い髪に赤い目をした女性・雪子がいた。
相澤も平身低頭で礼をする。
晴夜と氷華も一礼をした。
雪子の隣にはやや小柄で、グレーのフードを被り、スウェットを履いている人物が。
「……へえ……アンタが御当主様の御子息サマかい……」
そう、小雪だった。
首を擡げ、晴夜を見上げる。
「……君は?」
「……ああ、アンタとは初対面だったな……? 『冷原小雪』だ。氷華姐と同じ、10傑の一人さ。よろしくな。」
「ちょっと、小雪! 場所と場合を考えてよ!!」
「別にいーんじゃねえか? そこは許可貰ってるし……何よりらしくねえだろ? アタシらしく、な?」
「……なんでそんな余裕なのよ、アンタは……」
「まあまあ、氷華……その感じだと……僕のこと、知ってるみたい……だね。よろしく、小雪ちゃん。」
そんなこんなで晴夜が小雪に自己紹介を終えると、雪子が手を叩いた。
「まあ良いではないか。時間が今日までなのじゃろう? なら早いうちに叩かぬといけない……相澤、道を開けてもらえるか?」
「了解です!! それじゃ……行きますよ!!」
相澤は手を置き、地面を融解し、穴を開け、次に土を固めて通り道を作った。
「……ご武運を!!」
「任せておけ。必ず仕留めてみせる。」
雪子、晴夜、氷華、小雪は順々に地獄の結界を破り、突入していったのであった。
地獄の内部へ侵入した4人が見たものは、想像を絶するものだった。
一寸先は闇、といった具合の雰囲気で、更には怨嗟の声が所狭しと響いてきている。
「怖っ……なに、ここ……ホントに地獄って感じだ……」
氷華は思わず身構える。
だが、対象的にこの状況を愉しんでいる人物も一人。
小雪だった。
「へえ……楽しいじゃねえか……ゾクゾクする……雪陰大戦の時にゃ、足りなかったモンだ……怨嗟の声……そこから滲み出る狂気……アタシが戦いで求めてたモンだぜ……!!」
「……楽しむのはいいが……死んでは元も子もないだろう? ……進むぞ、ここから先はワシにも分からぬからな……気を引き締めていくぞ。」
「ええ……そうですね……」
四者四様の面持ちで、地獄内部へと歩き出していった4人であった。
次回から本格的に戦いが始まります。
よろしくお願いします。




