未完成の生物
俺はただ一人がよかった…。
誰もいないところに誰よりも早く行きたかった。
そう゛…。俺は。。。。。
朝、アラームの音と同時に目が覚めた。
いつもならアラームが鳴る前に起きるのだが近頃は寒くて布団が恋しい。
俺は普通のアパートに住んでいる。よくドラマなどに出てくるボロそうで
普通のアパートだ。歯を磨き、仕事に行く準備を済ます。大体15分もあれば
支度などは終わり、外に出て会社に向かう。これが俺のルーティンだ。
なんてことはない。普通の。。
「少しギリギリだな。」
スマホで時間を確認したところ布団を長く被っていたせいで少しばかり時間が推してしまった。
走って近くの駅まで直行する。走れば全然間に合う距離だった。
「走るのは苦手なんだけどな~。。お、おお。うわっ!」
スマホで時間ばかり見ていたせいか、人に思いっきりぶつかってしまった。
見たところ相手は赤いコートの大人若い女性だった。
白い髪に白い肌。特に目が透き通るように水色の目をしていた。
一瞬、美しすぎて我を忘れてしまったが早く謝ろ!
「すみません!!お怪我はありませんか!?」
「…」
謝ったが相手は無言だった。しかも顔も無表情でこちらを
ずっと見ている。
「あのぉ。。お怪我は?」
「…」
無言のまま立ち尽くし、何も言わずに駅の方へ
歩いて行ってしまった。
幸い見たところ怪我などはなさそうで体は恐らく
大丈夫だろうが心配だった。だが俺の方も相手の
心配をしている時間がないほどに遅れていた。
「ヤバイ。会社!!」
スマホで時間を確認して俺も駅の方に走る。
その女性を追い抜きそうになった時、
ピロン¨
スマホの通知が鳴った。俺は慌てていたので
確認を会社に着くまではしなかった。
なんでかはわからない。急いでいたからと言えば
それまでだろう。だけど何となく気づいていたのかも
しれない。朝、ぶつかった女性には生きている感覚が
なかった。人間としてはまだどこか足りない。未完成の
生物。
ホムンクルスだと
ホムンクルスを貸し出しますか?????