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内定者研修ってこんなんだっけか?

「というわけで、どうやら俺は受かってしまったみたいなんだ」

「受かったんならそれでいいんじゃないっけか?」

「まぁ、そうなんだけどさ。次は内定者研修があるわけで……」

「ちょ、清隆。おまえのプライベートまで作戦参謀させる気かよ!」


そう、喜一は就活時期まで俺のギルド"クロエ商会"でのレイド討伐の作戦参謀の幹部をしていた。


「いや、でもおかげでうまくいった訳だし」

「そんな事言っても内定者研修なんてただ研修を受けて終わりじゃないんだっけか?」


チッチッチ

俺は指を振り喜一を見る

「甘い! 甘すぎるよ喜一くん! 内定者研修とはファーストコンタクト見たいなもんだ。ここでの立ち位置が今後楽しい職場になるかが左右されるのだよ」


「まぁ、でもギルマススタイルでうまくいった訳だし同じようにしてみるしかないんじゃないっけか?」


「なるほど、ギルマスとして研修を……ってなかなか難しいな……」

「まぁ、チュートリアルみたいなもんだからなぁ……」


「喜一、今何で言った?」

「だからぁ、内定者研修って言ったらゲームで言うところのチュートリアルみたいな物……だっけか?」


「それだよ!」


なるほど、チュートリアルか。

一見早送りしてスルーするような部分だがここはかなり重要だ。


どのタイミングで登録報酬が貰えるか?だけでなく、システムを理解し攻略に繋げなくてはならない。


道具コマンド一つにしても上限やレベル制限など把握して進めていくのと適当にモンスターを狩りアイテムを漏らすのとでは序盤の進め方が大きく変わってくる。


初期情報の無い状態でどうするべきか……。


「かなり重要なクエストだな……」

「お、おう。まぁ頑張ってみてくれ……」


そして内定者研修までの準備を進め、当日を迎える事となった。



♦︎



「えー、代表取締役の空野(そらの)です。第12期の新卒として……。


というわけで3日間研修を頑張って下さい」


なるほど、ホームページでは調べていたがあの人が社長、ギルドでいうギルマスに当たるわけか。


まぁ内容としては大体は"とりあえず頑張れ"と言った感じでとくに攻略に関わる部分はなかったな。


ヒソヒソ

(あの子でしょ? ちょっと変わった子って)

(そう、事前に研修内容教えてくれって電話掛けてきたらしいわよ)


俺の事か? まぁ、マスターの攻略法など実践する奴はいないだろうからな。まぁ、噂にもなるだろう。


見た感じ新卒者は俺を含めて女の子2名、男が3名の計5名か……ベンチャー企業だからこんなものなのかな。


事前に聞いていたスケジュールとしては3つ。


・会社の説明

・チームワークを養うディスカッション

・業務内容の基礎知識講習


会社の説明はギルドのシステムを把握していく上で重要な内容だ。ディスカッションはチームを組んで課題解決と言っていたな……まぁ初心者レイドみたいなものだろう。業務内容の基礎知識の講習とやらはこれぞゲームのシステムを理解する上での重要項目だな。


とりあえず会社説明だ。

席で仕組みを理解出来るように組織表でも広げておくか……。


「あ、あのー」

「はい! あ、初心者の方ですよね? 自分も初心者なんです!」

短めの髪に大きな目、目元のほくろが印象的な可愛いアバターだな。


「初心者?? えっと、わたし新卒の塔野悠里(とうのゆうり)と言います、同期なのでよろしくお願いします」


「ユーリさんね! オッケー!俺、クロエ、黒江清隆です。クロエって呼んでもらえたら大丈夫です!」


彼女は少しきょとんとした顔すると

「黒江さんですね! よろしくお願いします」

と笑顔で返した。


新卒メンバーはディスカッションもあるし声を掛けていった方が良さそうだな……


「黒江さん、なんかすごいですね……既に会社の事調べられてるみたいで……」


「ま、まぁ、序盤攻略が今後大きくひびいてくるからね! なるべく早く把握しておきたいんだよ、良かったらユーリさんとも情報交換しておきたいんだけど」


「あ……あの……」

「気にしなくていいよ! 同じチームの仲間だからね!」


「名前で呼ばれるの、少し恥ずかしいんです……けど……?」


ん? んんっ!?

まずい、やってしまった。


「ご、ごめん……つい、いつもの癖で」

これもなんかナンパ師みたいでまずい!


俺はそれ以上弁解する間を与えられず、会社説明が始まってしまった。


頭を切り替えていかないと……。


なるほど、基本的には本社と40からなる店舗で構成されているわけか。


経営

経理

広報

人事

総務

システム

IT

営業


とざっくりした部分でいえば機関部分を本社に置く型で構成されているわけか。


店舗では営業と事務とシンプルな作りだな。

連携などは各チームのリーダー、要は店長が行い運営と……まだある程度は理解できるな。


経営が基本方針を決め、各部署の長が円卓会議で擦り合わせる。ちょっと部署は多いがなかなかギルドの運営と近いじゃ無いか!


俺はまず、1兵士からになるからとりあえず小まめに討伐していくしかない。だがその後は一気に把握する内容が増えそうだな。


会社の基本方針は、

「誰もが理想的な空間を提供する」

空間、なるほどそれでアトモスフィアというわけか……。


貴族の理想的な空間となると、ニーズはかなり掴むのが難しそうだな。


とりあえず始まったばかりだとりあえず現状の整理をしていくか……。


「すごいメモ……ですね……」

「えっとユ……いや塔野さん?」


良かった、あんまり気にしては居ないようだ。


「黒江さんって真面目なんですね!」

「あー、いや、組織を知ることは今後自分達もやりやすくなるから……さ!」


「わたしも負けないように頑張らないとです」

「うん、しっかり会社に資産を増やせる様にして行こう!」


とりあえずは初日のチュートリアルはクリアした……のかな? それにしても疲れた。


こうして初日を終えた俺はビルの外に向かった。


「あー、黒江くんだね?」

「はい!……っマスター!? あー、いや、空野社長!」


空野社長は40前後の比較的若い社長、この会社を一代でここまでにしているからかなりやり手なのだろう。


「マスター? 君は何か独特のフレームワークを持っている様だね」

「フレームワーク……ですか?」


「面接の話なども聞いていて興味があるから明日のディスカッションには私も同席させてもらうよ」


「イエス!ユアマジェスティ!」

「高級な雰囲気を出すために考えているわけか、 なかなか面白い発想ですね」


よくわからないが評価されているのだろうか……?

ファンタジーのストーリーを作るのはなかなか難しいと思う今日この頃です。


たのしんでもらえましたら、ブックマークや評価を頂けましたら幸いです!


感想もお待ちしています!

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