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恋は戦場になるんだっけか?

その場に耐えられなくなった俺は、コンビニに、逃げるように入った。


立ち読みで気を紛らわす事も出来ずにいると、聞いた事のある声で俺を呼ぶのがきこえる。


「黒江ー!」

「……」


「なぁ、黒江! 久しぶり! 元気……では無さそうだな……」


すこし頷きながら振り向くと、研修で一緒だった藤森がいた。


「あれ? 藤森?」

「あー、おれ西新宿店だからたまたまな! それにしても仕事、うまくいってないのか?」


「いや……店長もいい人だよ……」

藤森は少し表情を緩めると、

「じゃあ、プライベートか?」

「まぁ、そんなところかな……」


俺はフェードアウトしそうな声で呟いた。


「そっか……黒江! 今から時間あるか?」

「無くは無いけど……」

「オッケー、じゃあ飲みに行こうぜ?」

「いや、今日はいいよ……」


俺は、こんなハイテンションな藤森と飲みに行く気にはなれなかった。


「だからだよ! 俺が聴いてやるって!」


藤森はそういうと、中は強引におれを近くの安い焼き鳥屋チェーン店に押し込んだ。


「生2つ!」

「いや……」

「悪りぃ、黒江ビール無理だったっけ?」

「飲めるけど……」

そう言って藤森は適当にアテを頼み、ジョッキを交わした。


「ぷはー、うめぇ! 黒江も飲めよ!」

俺は藤森の勢いに負け、ジョッキに口をつけた。


普段より……苦い。


「でさぁ、どうしたんだよ?」

「なんでもねぇよ」

なんで藤森に話さないといけないのか?などと考えていると……。


「悠里ちゃんの事だろ?」

「藤森何か知ってるのか?」


「お? やっぱりか、当たりだな!」


俺はまんまと藤森の策にハマってしまった様だった。


「なんでそう思ったんだ?」

「いやぁ、黒江さぁ仕事はもちろんだけど、家の事とかでは悩まなさそうじゃん?」


「だからってなんで塔野さんの事って……」

「いやぁ、黒江はどう見ても悠里ちゃん大好きじゃん?」

「は?」


「いやいや滲みでてるぜ?」

「そうなのか?」

「まぁ、俺的には悠里ちゃん自身も黒江といい感じだと思ったんだけどなぁ」


「……」

「まぁ、女の子の考えはよくわからないからなぁ。いかんせん悠里ちゃんに彼氏でも出来たとかか?」


「彼氏かはわからない……」


俺がそういうと、藤森は枝豆をつまみこちらに向ける。


「なるほどなぁ……黒江はそれでいいわけ?」

「よくねぇよ……」


「それならさ、そいつに勝つしか無くね? それとも元彼が居たら嫌とか考えてんの?」


「勝つって……勝てるわけ無いだろう」


藤森は、ため息をつくと

「おまえもっと冷静に判断出来る奴だと思ってたんだけどな……」


「川谷さん……」

「ん? あの黒江のとこのエリア成績1位の人がどうかしたのか?」


「川谷さんなんだよ!」

「マジかよ……」


「どうやって勝てばいいんだよ……」

そう言って俺は顔を伏せた。


「んー、まぁ、それだけ好きなら大丈夫じゃね?」

「は? あの人は……」


「まぁ、口説くのや営業力は現時点では負けてるけど、取ればいいじゃん?」

「簡単に言うなよな」


「最善は尽くしたのか?」

「最善って……」

「これ、俺が好きな言葉。闘う前から負けんなよ?俺は別に悠里ちゃん関係無くても勝つ気でいるけどな?」


確かに、俺は闘う前から負けているかもしれない。チャンスがあるならすがりつきたいくらいだ。

「藤森、どうすればいい?」

「まぁ、同じ土俵に立つしか無いわな?」


「1位かよ……」

「おまえの場合、そうでもしねぇと動けなさそうだしな?」


俺は思考を巡らせる。酒が少し回って変な気分になっているかもしれない。


「営業ってどうやったら攻略できる? 俺はエンドを迎えたギャルゲーとは思いたくない」


攻略の基本は情報だ。もし、営業でもそうなのだとしたら俺は勝てるかも知れない。

相手が重課金者だとしても、俺は何度も何かしらの策で闘い勝利して来た。


「攻略か……まぁ黒江らしいっちゃらしいな! 攻略者に聞くのがいいんじゃないか? ネットでも職場でも。"なにか"なら意外と川谷さん以上なんていっぱいいるぜ?」


「マスター!」

「!?」


俺はその晩ネットにかじりつく様に情報を漁った。

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