59話 王都のダンジョンへ(後編)
テントで十分休んで翌日、4階層の攻略を進めていく。このダンジョンは各階層で特徴があって、4階層はとにかく広いんだけど既に先駆者さん達がルートを開拓しているからボスまで1日もあれば着くみたい。1から探索しようとすると1週間は掛かりそう……
そんなこんなで魔物との戦いやちょっとした換金品も見つけつつボスまで辿り着く、お兄さんに聞いた炎熱の魔女だね。
炎のマークが描かれた円柱にミリアちゃんが炎魔法を当てる、すると眩しい光のあと全身真っ赤の人型の魔物が現れた。
「燃やし尽くしてあげる……♡」
いざ、戦闘へ!
まずミリアちゃんが炎のシールドを張ってくれる、ミリアちゃんの攻撃は通らないだろうから補助に徹してもらう作戦だ。
次にわたしとユニちゃんが水魔法を魔女目掛けて放ち、アリスちゃんが風魔法でそれを加速、拡散する。これが事前に立てた攻撃法だ。
どうやらある程度は効いているっぽい、このまま……といったところで敵に反撃を許してしまう、まずい!
「よくもやってくれたわね! 灰になれ! フレアボム!」
濃縮された火の玉がわたしを目掛けて襲ってくる、あまりの眩しさと恐怖に目を閉じる。だめだ、即死……
「……レジストウォール!」
……しなかった、目を開けるとそこには岩の壁とわたしの目の前で仁王立ちしている翼くんが映っていた。
「……薫、大丈夫か」
「……うん、ありがと、翼くん」
よし、反撃開始!
魔女は大魔法を使った反動か動きが鈍っていた、そこを素早くユニちゃんがバインドする。
「止まりなさい! ディバインバインド!」
そして敵が抵抗しているうちにわたしとユニちゃんも大魔法の詠唱を始める。事前に2人で相談したとっておきだよ!
「吹き飛びなさい! ブルースプラッシュ!」
「水の精霊よ、わたしに力を! ブルースフィア!」
2人の魔法が敵に直撃する。炎熱の魔女は断末魔の叫びを残して消えていった。
「許さないわ……何度も何度も……」
ふぅ、危なかったけどなんとか勝てたや……
「いやーヒヤヒヤしたぜ、ツバサなら絶対守ってくれる信頼はあったがやっぱりな」
改めて翼くんに感謝……あれ?
「翼くん、顔やけどしてない?!」
「……む、ミリアのバリアを貫通したか。問題ない」
「問題ないなんてことないよ! 痕残ったら大変! 今治療するね」
翼くんに治癒魔法を掛ける、数秒後にはやけどの赤色が消えていつもの顔に戻った。
「これでよし、気をつけてね?」
「……すまない、感謝する」
そんなハプニングもありつつ5階層へ降りる。降りたところでちょっと早いけど2泊目のテントを用意する。
翌日、朝早くから探索を開始する。わたし達はあまり開拓されていない方向に向かって探索する予定だ。
各自別れてそれぞれ探索していると、壁に小さなボタンが付いているのを見つけたよ。罠かもしれないからみんなの意見を聞いてみよう。
魔導通信機で連絡を取り合うと、どうやらアリスちゃんも同じようなボタンを見つけたようだった。これは明らかに怪しいということで同時に押してみることにしたよ。
「それじゃあいくよ、アリスちゃん」
「「ポチッ」」
すると、わたしとアリスちゃんの中間にある位置の扉が開く。
開いた場所に向かってみると、そこには更に扉があった。
「これは今までに使ったワープポイントと同じ形をしていますわね。ということは……?」
ユニちゃんが扉の中に入っていく、30秒ほど後にまた戻ってきた。
「やっぱりワープポイントですわ! どうやら7階層の入口と繋がってるらしいですわね」
やった! ワープポイント発見ってことはお金ゲットだ!
「よくやったぜカオルとアリス! それじゃあワープポイントを使ってダンジョンから脱出だな!」
ミリアちゃんに従って一旦ワープポイントで7階層まで降りたあと入口のゲートでダンジョンから脱出する。
そして早速冒険者ギルドに報告に行く、ワープポイント発見の報告をすると対応してくれたお姉さんが凄く驚いてて何だか申し訳なくなっちゃったよ。
結局、国からの報奨金と3階層で見つけた宝物、あと小さなドロップ品も合わせて金貨100枚になったみたい。ミリアちゃんが凄くほくほく顔だったのが印象的だったよ。
臨時収入が入ったってことで翌日はお休みしてちょっといいところのお店に料理を食べに行ったんだ。流石王都、すっごく美味しかったよ。




