57話 お祭りだ〜!(後編)
ミリアちゃんからの連絡があったので最初に居た中央広場に戻る。すると既に4人が待っていた。
「ごめん、待たせちゃった?」
「いえ、私達もさっき着いたところなので大丈夫ですわ」
そっか、なら良かった。パレードってどんな感じなのかな? ミリアちゃんに聞いてみよう。
「ミリアちゃん、パレードって何をやるの?」
わたしが質問すると、ミリアちゃんが答えてくれる。
「ああ、まずは魔法の光によるイルミネーション、次に音楽会、最後にこれまた魔法による花火の打ち上げ。ってところだな」
なるほど、綺麗そう〜。
そうして少し待っていると、運営の人らしき方が現れて拡声器を持って話す。
「皆さん、お待たせしました。これよりパレードの開催です!」
すると、ロッドを持った人達がたくさん出てきてロッドに魔法の光を灯していく。
そして、ロッドを飛び立った様々な光がゆらゆらと色を変えて動いていく。それはまさに幻想的、と呼ぶにふさわしい景色だった。
「綺麗……!」
思わず口に出ちゃう、その気持ちはみんなも同じのようで各々思いを呟いていた。
しばらく幻想の世界を楽しんだあと、光がまたロッドに戻っていきすっと消える。名残惜しいけど次の見世物の始まりだと思うとわくわくしてくるね。
「それでは、音楽会を始めます!準備ができるまで少々お待ち下さい」
運営さんの言葉通り、楽器を持った人たちがぞくぞくと出てくる。そして全員の準備が終わると、演奏が始まった。
落ち着いた曲から始まり、徐々にお祭りらしい明るい曲へと変化していく。曲のテンポも上がり、だんだん気分も上がっていく。
しばらくはインストだったけど、途中からボーカルも加わって一気にライブっぽい雰囲気になってきた。わたしはこの世界の曲の流行を知らないけど後で聞いたら毎年の定番曲だったらしいよ。
そして演奏も終わり、最後の花火の時間がやってきた。ちょっと前にも見たけど花火はいつ見ても良いものだから楽しみ!
ちょっと待つと運営さんのアナウンスもあり、更にちょっと後花火の打ち上げが始まった。
魔法の光らしいけど日本の花火と変わらない、美しさとすっと消える儚さ。そんな花火がたくさん打ち上がっていた。
「うーんパレードも終わりか、今回も良かったなぁ。よしそれじゃくじ引き行くぜ~!」
ミリアちゃんの言葉に従ってくじ引きの会場に向かう。そこには長蛇の列ができていた。
「……これは十数分ぐらい掛かりそうだな。アリス、待つのは大丈夫か」
翼くんがアリスちゃんを気遣っている、優しいね。
「うん、大丈夫だよ、ツバサお兄ちゃん」
そしてゆっくりと列が進んでいき、わたし達の番になった。わたしは最後だね。
「はずれだ、ちぇ」
「私も外れですわね」
「あ、お菓子当たったよ!」
「……外れだ」
どうもアリスちゃんが運が良かったらしい。わたしも続けるかな?
「どれどれ……えっ!? 2等!?」
スタッフさんにも確認してもらう。大当たりで間違いないようだった。
「おめでとうございます! 2等、王都ロイヤルホテルの宿泊券です! ちゃんとグループの方の人数分ご用意させて頂くのでご安心ください!」
わ、まさかの大当たり!
「おお、やったなカオル!」
スタッフさんに人数と住所を伝えて会場を去る。宿泊券は後日届けてくれるってさ。
「よしこれで後は帰るだけだな。けど最後に何か買っていかないか?」
そうだね、時間も経ってちょっとお腹空いてきたし何か食べたい気分かも。
「ちょうど近くに屋台があるし焼きそばでいいか? 良いよな。」
「おーいお兄さん、焼きそば5人前頼む!」
すると、屋台のお兄さんが気前よく焼いてくれる。
「はいよ! 閉店間際だから大盛りサービスだ!」
「おっ、ありがとな! 気前いい兄さんは好きだぜ」
「嬢ちゃんありがとな! 兄ちゃん、両手両足に花で羨ましいねぇ!」
やっぱり翼くんはハーレムに見えてるみたいね……
そうして家に帰って焼きそばを食べたら楽しいお祭りも終わり、明日からはダンジョン攻略の準備があるから気を引き締めないと。でも今日はお祭り気分のままでいいよね。




