49話 いざ王都へ!
いつものように朝起きて、朝ご飯を食べて、5人で一緒に今日のスケジュールを決める。今日は次の街へ移動する予定のお話だった。
「そろそろこの街を離れて、次の街に行きたいと思ってる」
ミリアちゃんが話していく。
「次の目的地は王都カストルだ、理由は3つあるな」
「1つ目は今まで貯めたお金を使ってポケットハウスを買うこと、これで旅の途中でもお風呂に入ったりできるしな」
「2つ目は王都の秋祭りに参加すること、カオルは初めての参加になるかな。あたし達は毎年参加しているから今年も、ってとこだ」
「3つ目は最近発見されたと噂のダンジョンの攻略だ、深部まで攻略できたパーティーには国から賞金が出るらしいからな、稼ぎどこだな」
ミリアちゃんが一通り說明する。ポケットハウスとやらが気になったので質問してみる。
「ポケットハウスってどんな物なのかな?」
するとユニちゃんが説明してくれる。
「ポケットハウスは魔法によって携帯可能にまで縮小されたお家ですわね。魔力を込めれば伸縮自在のマジックアイテムですの、お風呂とかベッドも内蔵されてますわ」
さすがユニちゃん、物知りだ。
「あっ、もしかして前にミリアちゃんが言ってた大きな買い物ってこれのこと?」
すると、ミリアちゃんが笑って応える。
「そうだぜ! これで旅の間もスッキリできるからな、前から計画してたんだよ」
なるほど、確かに街を移動してる間にお風呂入れなかったのは不便だしねぇ。
「というわけで王都に行くんだが、普通に旅するには遠い距離だから馬車で行こうと思う。それでも3〜4日は掛かるかもな」
「他のみんなは大丈夫なのはわかってるがカオルは馬車酔いは大丈夫か?」
うーん、車酔いはしないけど馬車はどうなんだろう?
「馬車は乗ったことないから分からないかな」
「そうか、もし酔うようならできる限りの対応はするからな、薬も一応用意しておくか」
「それじゃあ今日はいつも通り事前の料理の準備だな。あたし以外の4人で食材の買い出しと調理をして、明日出発の予定だ。あたしは馬車の予約だったり色々してくるぜ」
そうしてミリアちゃん以外の4人で食材を買ったり、料理を作ったりしたよ。街を移る度のおきまりになってるからわたしもだいぶ慣れてきちゃった。
そして翌日、早朝に馬車乗り場までやってきたわたし達。
「今回王都までの馬車旅をご利用頂きありがとうございます。それでは早速出発しますのでお乗りくださいませ」
言われた通りに乗り込んでいく。
「それでは出発!」
パカラッパカラッっと心地よい音とともに馬車が動いていく、この時はまだ景色を楽しむ余裕もあったんだけど……
「うう、きもちわるい……」
1時間もしないうちに、馬車酔いしてしまった。お薬を用意してくれたのを飲んだら少しは楽になったけどこの苦しみがあと数日続くのはきつい……
夜になったので野営したけども夕ご飯を食べる食欲もあまり出ない、初日からばたんきゅーだった。
それでも翌日になれば慣れていき、少しは余裕を持って旅をできるようになってきた。そうして馬車旅3日目の夕方ちょっと前位に……
「皆さん、王都の城壁が見えてきましたよ! もう少しです!」
運転手さんからそんな声が聞こえてきたので外を見てみると……
「うわー! 凄い!」
ぐるりと円状に広がる城壁が見えてきた、まさにファンタジーな城郭都市がそこにあった。
さらに少しして、城門の前までやってきた、ここで入都審査があるらしい。
どうやら、球状のオーブみたいなマジックアイテムに触って過去に問題がないか等調べるみたい。今ユニちゃんが検査を受けている。
「次、そこのお嬢ちゃんいいかな。このオーブに触れた状態で質問に答えてくれ」
言われた通りにオーブに触れる、すると魔力がわたしの中に流れ込んでいく感覚がした。
「まず、名前を聞かせてもらえるかい?」
「えっと、水瀬薫っていいます」
質問に答えると、オーブが白く光る。
「よし、問題なし。次の質問だ、過去にギルド等で問題をおこしたことはあるかい?」
「いいえ、ありません」
また白く光る。
「よし、問題なし……? あれ、性別が男ってなってるけどなんでだ……?」
まずい! 秘密がバレちゃう!
「……まあただの間違いだろ、お嬢ちゃんが男の子のわけが無いし。審査は合格だよ」
良かった〜! わたしの身体の性別がバレちゃうかと思ったよ……
そんなハプニングもありつつ、馬車の運転手さんも含めた全員の審査も終わり都市の中に入っていく。
そこには、沢山の人で賑わう広場や食べ物の屋台が並ぶ大通り等とにかく活発な街が広がっていた。
今日は借家を借りる余裕がないから宿屋に泊まって1日を終えたよ。明日はギルドで借家を借りるのとマジックアイテム屋でポケットハウスの相談に行くみたい。楽しみだなー!




