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47話 転移者パーティーを結成したら最強でした(後編)

 そして翌日、日がさして目が覚める。


「うーん、おはよう……って、みんなまだ寝てる?」


 どうやらわたしが早起きしてしまったみたいだ、起こすのも迷惑だろうしどうしようかな……

 と思っていると、春馬さんが起き上がる。良かった、手持ち無沙汰になるとこだったよ。


「春馬さん、おはようございますっ」

「おはよう、早速で悪いけど朝食の準備を頼めるかな? 俺はその間に3人を起こすからさ」

「はい、わかりました!」


 そうして春馬さんから渡されたマジックボックスの中身を使って朝ご飯を作っていく。

 パンとベーコンエッグと蒸したじゃがいもとスープ、朝食としてはボリュームがあるけど男の子組はこれぐらい食べるのかな?

 料理が完成すると、夏樹さん達がテントから出てきてわたしを見て手を合わせていた。


「うお、良い匂いがすると思ったら薫さんの手作りとは……最高だぜ」

「薫さんの料理が朝から食べられるとは僥倖ッス!」


 そうして朝ご飯を食べるのだけども、みんなはもりもりとご飯を口に運んでいた、流石育ち盛り、いい食べっぷりだねぇ。

 一方わたしは少なめの量で抑えておく、ゆっくり食べていると秋人さんが声を掛けてきた。


「薫さん、その量で大丈夫っすか? もっと食べないとダンジョンでガス欠になるっすよ?」

「うん、わたしはいつもこれくらいの量だから大丈夫だよ。みんなの食べっぷりがいいからわたしも気分的にはお腹いっぱいだよ」


「……秋人、薫さんはまだ幼いんだから俺たちみたいな量は食べれないと思うぞ」


 うう、やっぱり勘違いされてる〜!


「あの、わたしこれでも17歳です! 確かにそうは見えないかもしれないけど……」


 そう言うと、みんな驚いた顔をする。


「合法ロリキター!?」

「夏樹、合法には1年足りないっすか? いやでもこの世界の常識なら合法……?」

「……夏樹と秋人、本人の前でそれは失礼だぞ」


 春馬さんがフォローの言葉を言ってくれる。


「薫さん、ごめんね、うちのおバカ達が。後でキツく言っとくからさ」

「いえいえ、大丈夫ですよ。幼く見られるのは慣れてるので……」


 そんな事もありつつ、ダンジョン攻略を再開。ボスが居る建物に入ってどんどん進んでいく。

 相変わらずみんなが強くてわたしの出番がないままボス部屋の前まで到達しちゃったよ。


「よし、この先がボス部屋だよ。大丈夫だとは思うけど敵の攻撃に注意しようね」


 そうして扉を開けると、中央に刀を持った真っ黒の鎧がある大きな円形の部屋が目に入る。

 その中に入ると、扉が勝手に閉まると同時に鎧が動き出す。


「いざ、尋常に……!」


 鎧が話すとともに、こちらに襲いかかってくる。

 みんなが戦って応戦しているけど、一進一退といった感じで中々有効打が出ない。


「いくっすよ! 爆裂拳!」


 秋人さんが大技で攻めようとする、けれど鎧は瞬時に見切って躱し、反撃しようとする。


「甘い! 散れ!」


 秋人さんが切られる! まずい!

 そう思うと、以前も感じた特別な魔力の流れがわたしの中を駆け巡っていく。


「止まって!」


 すると、鎧の動きがピタリと止まる、そしてその隙に春馬さん達が攻撃を叩き込む。わたしも水魔法で攻撃する。


「ブルースプラッシュ!」


 水魔法が鎧に命中すると、壁に叩きつけられる。


「ば、馬鹿な……」


 すると、鎧は崩れて動かなくなった。倒せたのかな?


「危なかったね、薫さんが敵の動きを止めてくれなかったらどうなっていたか……」


 そうしてボスも倒し、宝物を回収してダンジョンから脱出する。


「薫さんありがとう、君のおかげで無事ダンジョンを攻略出来たよ。パーティーのリーダーとして礼を言うね」


「いえいえっ、お役に立てたなら幸いですっ」


 そうしてお別れ……と思ったときに、秋人さんが突然の告白をしてきた。


「薫さん、俺と付き合って欲しいッス! 一緒に旅をしませんか!」


 突然の事なので、しばらく返す言葉が出てこなくなっちゃう。


「ちょ、秋人! お前ロリコンかよ!」

「秋人、薫さんが困ってるよ?」


 なんとか返しの言葉を応える。


「えっと、ごめんなさい!」


 すると、秋人さんがすごく悲しい顔をしていた。うう、こっちも罪悪感が……


「や、やっぱり彼氏とか居るっすよね……すみませんでした……」


「いえ、わたし、まだ恋愛ってよく分かんなくて……それに既にパーティーに入ってるのでみんなとは別れられないです……」


 そう応えると、秋人さんの表情が元に戻る。


「わかったッス、突然こんなこと言って済まなかったッス」


 春馬さんが手を鳴らして話を切り替える。


「ともかく、また会えたら良いね。俺達はしばらくここに居たあと王都に向かう予定だからもしかしたらまたパーティーを組めるかもね」


 そして別れのときがやってくる。


「薫さん、ありがとう」

「僕達を助けてくれてありがとね!」

「また会えるといいッスね!」

「……またな」


「皆さん、こちらこそありがとうございました!」


 そうして借家に帰ってきたわたし、2日しか経ってないのに久しぶりな気がするよ。


「お、カオル、おかえり! 大丈夫だったか?」


 ミリアちゃんが出迎えてくれる。


「うん、無事ダンジョンを攻略出来たよ」


 そうしてみんなと一緒にご飯を食べて、お風呂も入ってあとは寝るだけの時間。

 わたしはベッドの中で秋人さんの告白の言葉を思い出していた。

 元の世界に居たときはいろんな意味で有名だったから男の子に告白されることなんて無かったから、秋人さんが初の告白してきた人になる。


「恋愛はわからないけど、ドキドキしちゃったな……」


 いつかは男の子と恋に落ちて、カップルになったりするのかな。そんな事を考えているうちに、いつの間にか寝ちゃっていたみたい。

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