46話 転移者パーティーを結成したら最強でした(前編)
今日はクエストを探しに冒険者ギルドに来ているよ。
「おはよう、何か新しいクエストは来てるかい?」
ミリアちゃんが受付のお姉さんに聞いてみる。
「はい、新しいクエストが2件ほど来ていますよ」
お姉さんが説明してくれる。
「1つ目は月花氷蕾の採取です。この地帯で取れる薬草で夜に蕾を炎魔法で溶かさないと採取できない希少な草ですね」
「2つ目はパーティーメンバーの募集です。最近転移された転移者の方たちがヒーラー役を募集しているみたいですね」
お姉さんの説明を聞いて考えるミリアちゃん。
「よし、どっちも受けるぜ。あたし達が採取を引き受けるからカオルはヒーラー役としてメンバー募集のクエストを受けてくれ」
「はい、ありがとうございます。それではメンバー募集の方に関しては依頼主の方をお呼びしますので少々お待ち下さいませ」
どうやらミリアちゃん達と分かれてクエストを受けることになったらしい。ちょっと不安だな……
「わたしが居なくても……採取なら大丈夫かな?」
わたしがそう言うと、ミリアちゃんが笑って応える。
「そういうことだ。なに、採取クエスト程度なら大丈夫だろ。いざとなればユニが簡単な治癒魔法を使えるしな」
「それじゃああたし達は採取の準備をしてくるぜ。回復役頑張れよ〜!」
そしてミリアちゃん達と別れてギルドで小1時間ほど待つと、男の子4人組がわたしのところにやってきた。
「やあ、はじめまして。君が依頼を受けてくれたヒーラー役の人かな?」
「はい、そうですっ。水瀬薫っていいます、よろしくお願いしますね」
わたしが自己紹介すると、4人組も自己紹介してくれる。
「俺が春馬だ、このパーティーのリーダーをやらせてもらってる。戦士役だね」
「僕は夏樹だよ、いわゆるタンク係だね」
「俺は秋人ッス!武闘家やらせてもらってるっす」
「冬仁だ、魔法使い役だな」
「……とまあ、こんな訳で4人一緒にこの世界に転移してきたんだけど能力貰う際にみんな脳筋でさぁ、補助役が居ないわけよ。それでヒーラー募集したってわけ」
なるほど、そういえばミリアちゃん達のパーティーも最初はヒーラー居なかったよねぇ。
「なるほど、よろしくお願いしますね!」
「こちらこそお願いするよ、こんな可愛い娘が来てくれるとは思わなかったよ」
うう、そう言われるとちょっと恥ずかしい……
「それじゃあ今回の目的について説明するね。俺達はこれから初めてダンジョンを攻略しに行く予定だよ、2日掛かるって受付のお姉さんが言ってたからテントも用意してある。けど1つしか用意してないから俺達と一緒に寝るのは不安だよね? どうしようかな……」
男の子達と一緒に寝るのはちょっと不安だけど仕方ないかな……?
「いえ、一緒でも大丈夫ですよっ」
「そう言ってもらえるのは助かるよ、それじゃあダンジョンまで行こっか」
そうしてダンジョンに向かうわたしと春馬さんパーティー、聞いたところによるとこれがダンジョン初陣らしいんだけど……
「ソードスラッシュ!」
「マイティガード!」
「喰らえ! 三段突き!」
「ファイアボール!」
……見事に無双していた。あれ? これって見覚えあるような……?
そんなこんなで夕方になり、夕ご飯を食べてテントで休む頃合いに。
「そういえば薫さんは料理できるっすか?」
そう聞いてくるのは秋人さん。
「うん、ある程度なら料理は作れるよ」
それを聞いてやった! って感じのみんな。
「それは助かるよ。もしよければ今日の夕ご飯の調理をお願いしてもいいかい?」
春馬さんのお願いを了承する。
「はいっ、任せてください!」
「女神や……女神が居る……!」
「……済まないな、俺達はあまり料理出来なくてな」
夏樹さんと冬仁さんがそういうけどわたしもお料理作るのは楽しいので大丈夫だよ。
そうしてご飯も食べてあとは寝るだけになった、テントの中で転移者あるあるで盛り上がったよ。
やっぱりみんなもクリスさんのノリの軽さには驚いたみたいだけどわたしと違って軽く受け入れてノリノリで転移を楽しんでるらしい。
「ふわ……そろそろ寝ようかな。皆さんお休みなさい……」
そうして寝ている間、男の子4人組は悶々とした気持ちで過ごしていたのは気付かずに。
「めっちゃいい香りするっす……流石女の子……」
「可愛いなぁ……僕の好みにはちょっと幼すぎるけどこのままだとロリコンになっちゃうよ……」
「夏樹と秋人、薫さんが可愛いからって手出しちゃ駄目だよ? もし変なことしたら……解ってるね?」
「「は、はい……」」




