42話 たまには贅沢してもいいよね
まさかの一攫千金が起こったダンジョン探査の翌日、今日はのんびりしたりちょっと贅沢しても良い日にするとミリアちゃんが言っていた。楽しみだな〜。
「おはよう、今日のスケジュール行くぞー」
朝ごはんを食べたあとはいつもの本日の作戦会議。
「今日はみんなに金貨1枚のお小遣いをプレゼントだ、好きな事に使ってくれ。ただし、何を買ったかは帰ったら発表してもらうぜ! そのほうが楽しいからな!」
おお、金貨1枚とは太っ腹だねえ。何にしようかなぁ。
「それで夕ご飯は牛ダンジョンの上質な肉でバーベキューだ! めったに食べれない贅沢品だからな!」
わーい! みんなと一緒にバーベキューは羊ダンジョンの時以来じゃないかな? わたしは自分で言うのもなんだけど焼肉奉行は得意だからみんなの分を焼いちゃおう。
「それと、今日は昼飯も各自で食べてくれ。お小遣いとは別に銀貨1枚渡しとくぜ」
というわけでミリアちゃんからお金を受け取る。お昼ごはんも何食べようかな?
「それじゃあ解散! 報告期待してるぜ〜!」
というわけで街に出てきたわたし、何を買おうか悩むなぁ。
「うーん、服はスピカで良いもの買ってもらったし本もアルゲティのブクマで買った魔導書が読み途中だ。他に欲しいのっていったらお菓子とかアクセサリーとかかな……?」
そう思ってまずはアクセサリーショップを探す。お洒落っぽいエリアに行くと目的通り露店が数件見つかったよ。
そのうちお婆さんが店番をしているネックレスが沢山飾ってある店に興味を惹かれたので向かってみる。
「あら、お嬢ちゃん。何をお探しかしら?」
お婆さんが声をかけてくれる、それに応えるわたし。
「えっと、予算金貨1枚以内で良さそうなアクセサリーを探してます」
それを聞くとふむ、と言ったあと更に質問してくるお婆さん。
「あなた得意な魔法はあるかい? うちで扱ってるアクセサリーは魔石を使ってるからオシャレだけでなく魔法をブーストできる逸品だよ」
ふむふむ、そんなのもあるんだ。
「えっと、水魔法ならちょっと使えます」
「なるほどね、それじゃあこいつはどうだい?」
そう言ってお婆さんが見せてくれたのは、銀色の鎖に半透明の水色の宝石がくっついているネックレスだった。
「水の魔石とペンダント部分に魔法陣が刻まれていて、魔力ブーストができるネックレスさ」
「本当なら金貨1枚銀貨5枚が定価なんだが、特別サービスで銀貨9枚にまけておくよ」
「えっ、良いのですか? 結構な値引き額になると思うのですが……」
すると、お婆さんが微笑んで言う。
「なに、うちは売り上げ良くないからねぇ。あまり買っていく客が居ないからお嬢ちゃんに買ってもらえるならサービスするさ」
「それに、最初に予算を言ってただろう? お小遣いの少ない子どもには優しくしないとねぇ」
むう、やっぱり子どもに見られてるよー。
「あの、わたしこれでも17歳です……あまりそうは見られませんけど」
その言葉を聞いて驚くお婆さん。
「あら、そうなのかい!? これは立派なレディに失礼だったわね」
「お詫びにこのピアスも付けておくよ、磁力でくっつけるタイプだから安心だよ」
ピアスは小さな宝石が付いている小さなタイプの物だった、ピアス穴開けるのは怖いからマグネット式なのは安心だね。
「わわ、そこまでしてくださってありがとうございます! ぜひ買わせて頂きます!」
「ほいさ、取引成立だね。ありがとうね」
買ったネックレスとピアスを早速付けてみる、この世界に来てからあまりお洒落にお金掛けてなかったからいい買い物をしたよ。
さて、少しお小遣いが余ったけど何を買おうかな。お腹が空いたからお昼ごはんを食べながら考えようかな?
お洒落エリアからレストランエリアに移動すると、良い香りがお腹を更に空かせてくる。色々と見た結果カフェで軽食を取ることにしたよ。
「うーん、美味しい♪」
注文したサンドイッチを頬張る、卵ペーストが濃厚で野菜も新鮮だから凄く幸せ。
更に幸いだったのは、デザートはテイクアウト出来ることだった。クッキーとショートケーキをテイクアウトして丁度お小遣いを使い切ったので借家に帰ろう。
帰ると、わたし以外のメンバーは既に帰っていたみたいだった。
「お、ようやく帰ったか。それじゃあ発表会やるぞー」
まずミリアちゃんが取り出したのはガラスの瓶に入った飲み物だった。
「あたしはお酒だな、早速今日飲ませてもらうぜ」
次にユニちゃんが本をテーブルに並べていく。
「私は本と読書のお供の甘味ですわ、魔導書、数学の学習書、恋愛小説、少女漫画といろんなジャンルの本を買ってみましたの」
次は俺の番だな、と翼くん。
「俺は筋トレ用品と魔石だ、あまり見て面白い物ではないかもな」
そしてアリスちゃんの番。
「私はね、可愛い服を買ったの! 着るのが楽しみ〜!」
「それで、カオルは何買ったんだ……って、なんか朝と雰囲気違うな?」
「分かりましたわ、ネックレスとピアスを付けてますの!」
ユニちゃんに気付かれたのでネタバレする。
「そう、わたしはネックレスとピアス、あとお菓子を買ったの。似合ってるかな?」
すると、みんながそれぞれ褒めてくれる。
「いいんじゃないか、カオルのイメージにあってるぜ」
「カオルさん、似合ってますわよ」
「カオルお姉ちゃん、更にかわいくなったね!」
「……ああ、合っているな」
「……うん、みんなありがと!」
「よし、発表会も終わったしあとはバーベキューだな。夕方まで各自のんびりしといてくれ、あたしは肉の仕込みをしといておくぜ」
そうしてゴロゴロしてるうちに夕方になり、ミリアちゃんに夕ご飯に呼ばれたよ。
庭に行くと、バーベキューコンロとテーブルが用意されていた。
「おーし、肉焼いてくぞ~!」
そう言ってどんどんお肉が焼かれていく、ミリアちゃんがお肉を管理してくれるからわたしがお世話する出番取られちゃった。
「それじゃあ、いただきます」
お肉を口に運ぶと、じゅわりとジューシーでかつ噛みごたえのあるお肉が美味しさのハーモニーを奏でる。
「お、美味しい〜!」
思わず口に出ちゃうほどの美味しさだった。
「だろ? こんな機会滅多にないから沢山食べるんだぞ」
結局、みんながつがつ食べていってすぐにお肉とお野菜が無くなっていった。ごちそうさまでした~!
「これで一時の贅沢はおしまいだな。明日からはまた節約生活に戻るけどこれから大きな買い物をする予定だからそれに期待しててくれ」
何を買うんだろ? と思って聞いてみる。
「まだナイショだ、ただ旅に役立つものとだけ言っとくぜ」
むう、はぐらかされた。まあミリアちゃんが言うなら良いものなんだろうし期待しておこう。
そうしてプチ贅沢な1日も終わり、明日からはクエストを頑張るのでした。




