41話 極寒のダンジョンでの採掘(後編)
「ミリアさん、急に大きな声を出してどうしましたの?」
ミリアちゃんとのやり取りを聴いたユニちゃん達がこちらに向かってくる。
「いや、カオルがすごいもん掘り当ててな。つい声が出ちまった」
すると、ユニちゃんがわたしが持っている金鉱石を見て驚いたみたい。まあそれだけの価値があるみたいだからねぇ。
「カオルさん、これだけの掘り出し物をどうやって手に入れましたの?」
……これは伝えたほうがいいのかな、みんなには言っても大丈夫だよね。
「クリスさんからお告げがあってね、言われた通りに掘ったら出てきちゃった」
そう言うと、あーなるほどなって感じでミリアちゃんがつぶやく。
「カオル、相当クリス様に気に入られてるみたいだな。女神様がここまで入れ込むのは珍しい」
確かに、クリスさんに気に入られてる気はする。時魔法のときもそうだしお誕生日をわざわざ教えてくれたりとか。
転移のときにわたしの秘密を知っていてそれを理由にわたしを転移者に選んだみたいだし特別なのかな。と思うのはうぬぼれかな?
「なんにせよそんな理由なら買い取りの時に冒険者ギルドに素直に理由は話せないな、適当な理由をでっちあげるしかないか」
「それで、どうしますの? まだ時間に余裕はあるけど採掘を続けますの?」
ユニちゃんからの言葉に、ちょっと考えるポーズをした後にミリアちゃんが応える。
「せっかくダンジョンに入ったんだし目標の時間までは採掘するか。更に良いものが見つかるかもしれないしな」
そんなわけでまたみんな散らばって採掘を再開する。途中でごはん休憩等を挟んだりたまに出てくる魔物を他の人と協力しつつ倒したりして、更にそこそこ良さそうな鉱石を掘り出すことができたよ。
結局、全員が小さいサイズの金鉱石を掘り出せたみたいで、鉄鉱石も大きめのサイズのものが数個に小さいサイズがいっぱい採掘出来たみたい。
これは金貨200枚は硬いな、とはミリアちゃん談。わたしもだけどミリアちゃんも嬉しそう。ここまでいい収入になるとは思ってなかったみたいだからね。
「よし、そろそろ帰るか。もう遅い時間になっているだろうし鑑定に出すのは明日だな」
ダンジョンから脱出して、借家に帰ったらみんな疲れているから作り置きしておいた夕ご飯を食べたあとすぐに熟睡しちゃった。
翌日、朝起きて背伸びをすると体の節々に痛みが走る。これは筋肉痛だねえ、朝ごはんのときに聞いてみるとユニちゃんも同じく筋肉痛になったみたい。他3人がなってないのは力仕事が得意な2人と子どもゆえの元気、ってことかな。
そんなことを話しつつ、採掘した鉱石の鑑定をお願いしに冒険者ギルドに向かう。ルールとして採掘者全員が付き合う必要があるからフルメンバーだ。
「冒険者ギルドへようこそ! 今日はなんのご用でしょうか?」
ギルドに入ると受付のお姉さんが迎えてくれる、鉱石の鑑定の旨を伝えるとすぐに目利きができる職員さんが対応してくれた。
「ダンジョン産の鉱石の鑑定ですね、採掘したものを出して頂けますか?」
ミリアちゃんが5人分の成果物を取り出していく、最後にわたしが掘った金鉱石を取り出すと職員さんが驚いた声で問いかける。
「このサイズの金鉱石、どこで採掘されたのですか?! 今後のためにも是非情報提供を!」
わたしが分かれ道の奥で採掘した旨を伝える、もちろんクリスさんの事はぼかしておく。
「貴重な情報をありがとうございます! 貴金属の採掘はかなり終わったと思っていましたがまだまだ掘り出し物は残っているのですね……!」
キラキラした目で金鉱石を見ていた職員さんだったが、はっと我に返る。
「おっと失礼、それでは鑑定をさせて頂きますね」
しばらくしたあと、職員さんが金額を提示してくれる。
「お待たせしました、合計で金貨250枚でいかがでしょうか?」
「よし、その金額で問題ないな。よろしくお願いします」
そうして思わぬ収入で一気に懐が暖かくなったわたし達、明日はクエストをお休みしてちょっと奮発していい料理を食べたりお買い物をしたりするらしい。楽しみだなー!




