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3話 異世界での初めての1日

 守衛さんに連れられていかにもな雰囲気の建物に入っていく。

 看板にも冒険者ギルドって書いてあるしここがそうなのかな、文字もちゃんと日本語に翻訳されて読めるみたい。

 中に入ると受付の人っぽいお姉さんが挨拶してくれた。


「いらっしゃいませ〜……あら、守衛さん、珍しいわねどうしたの?」

「いや、こっちの嬢ちゃんが例の違う世界から来たって子でな、まずはここに行ったほうがいいんじゃないかと思ってな」


 そう言うとお姉さんがなるほどといった表情をした。数カ月に1回はわたしみたいな異世界転移者がいるって聞いたからそういう事に慣れてるのかも。

 そう話してくれたあと、わたしの方を向いて話し始める守衛さん。


「俺が案内できるのはここまでだ、後は受付の姐さんに任せたぜ」

「あの、ありがとうございました。わざわざ案内して貰って」

「なに、いいってもんよ。じゃあな嬢ちゃん!」


 守衛さんと別れの挨拶を終えると、お姉さんが話しかけてきた。


「改めまして、冒険者ギルドへようこそいらっしゃいました。まずはあなたの情報登録からさせて頂きますね、ギルドの説明はその後お話します。長くなるのでお席にどうぞ」

「はい、お願いします」


 そう言って勧められた椅子に座る。


「それではまず名前を教えて頂けますか?」

「水瀬薫です、水瀬が名字で薫が名前です」


 この世界だと日本みたいに姓名の順番で名前を呼ぶのか分からなかったので、補足説明しておく。


「カオル様ですね、性別……は見ればわかりますね、年齢を教えて頂いてもよろしいですか?」

「16歳です」

「えっ…… あ、いえ、すみませんでした。身長が低いのでもっと子供の方なのかと思ってしまいまして」


 そう、わたしは背が低いのだ。小学生中学年の頃から成長が止まっちゃって、140センチギリギリ無いくらいなの。あんまり成長して背が伸びても困るのでそれよりはいいんだけどこうやって子供に見られるのは悲しくなる。


「そうだ、身分証明になるカードを持ってるのでお見せしますね」


 そう言ってクリスちゃんから貰ったカードの名前と年齢の部分だけをお姉さんに見せる。


「これは……この世界に来るときに持っていたものですか?」

「はい、そうです」

「分かりました、それではギルドへの登録が完了しました。次にこの世界の冒険者ギルドの役割について説明させて頂きますね」


 そう言ってお姉さんは話を続けていく。

 そうしてお姉さんから冒険者ギルドの基本的な説明を受けた。薬草の採取とか魔物の討伐とかの依頼がギルドに入ってくるのでそれを冒険者の人に報酬を出して依頼をこなしてもらってる事、魔物の討伐で得た素材やアイテムの買い取りも行っている事、魔物の討伐を行うためのパーティーの募集を行っている事とか。

 わたしも治癒魔法が使える事を話して回復役として登録してもらった、明日またギルドに行って回復役を募集してるパーティーが居ないか聞いてみるつもり。


「……と、これで冒険者ギルドについての基本的な説明は以上です。何か聞きたいことはありますか?」

「えっと、この世界に来たばっかりなので地理が分からなくて。泊まれる所とか服を買える場所とかを教えてもらえませんか?」


 そう言うと、お姉さんは丁寧に色々と教えてくれた。宿はお風呂とトイレは共用じゃないところが良かったから少し値が張るけどその中でも安めのところを教えてもらった。


「ありがとうございましたっ」

「はい、またお待ちしていますね」


 お礼を言ってギルドから出たわたし、まずは寝間着とか下着とか新しい服を買いに行かなくっちゃね。


 「ふう、やっと着いたかな」


 教えてもらったお店で服を買い込んで、同じく教えてもらった宿に着いた。

 そこでお夕飯を食べたんだけど食べ物も口に合わないなんてことはなく、美味しくいただけました。聞いてみたら鳥の魔物の肉を使った唐揚げらしい、どうもこの世界では畜産という概念は無くて魔物の肉を食肉として使っているみたい。

 そしてもうひとつ驚いたのがお風呂!

 どうやら魔法の力で動いてるみたいで、赤色のプレートを触ると何もない所からお湯が出てきたの。魔法が生活に普及しているらしい、今までで一番異世界っぽい要素かも。

 お風呂からあがって身体を拭いていると、鏡があったので見てみる。

 わたしの身体は転移前と何も変わってなかった。小さい身長、蒼い目、普段はツーサイドアップにしている長い銀髪、成長しない胸。折角異世界に来たならもうちょっと変化があっても良かったのに、と思っちゃうわたし。


 そうして過ごしていると、何時の間にか夜も深い時間になっていた。

 そろそろ眠る時間かな、異世界に来て初めての夜だけど安らかに眠れるのは安心する。クリスちゃんや守衛のお兄さん、ギルドのお姉さんみんなのお陰で無事に初日を過ごせたことに感謝しなきゃね。

 こうしてわたしの異世界生活初日は終わったのだった。

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