34話 Aランク冒険者昇格試験(前篇)
「よーし、今日の予定について話してくぞ」
朝ごはんを食べた後、ミリアちゃんがみんなに向かって宣言する。
「今日は冒険者ライセンスの更新をしようと思う、今はBランクだがカオルが加入した今ならAランクも狙えると感じたからAランク更新試験に挑もうと思ってる」
「昨日冒険者ギルドで解体を手伝ったついでに手続きもしておいた、午前中は食べ物の準備をして午後に出発だな」
と言うことらしいので、みんなでご飯を色々と作っておく。ずっと保存が効くマジックボックスって便利だよねぇ。
「よーし、ご飯のストックはこんなもんでいいだろ。それじゃあ昼飯食べたら冒険者ギルドに向かうぞ」
冒険者ギルドに向かうとギルドのお姉さんが迎えてくれる。
「ようこそいらっしゃいました、ミリアさん御一行ですね?」
「ああ、宜しく頼むぜ」
「はい、今回の昇格試験ではAランクのダンジョンを踏破して頂きます。ダンジョンの位置を記した地図をお渡ししますね」
そう言って丸めた紙を渡してくれる。
「それでは、ご活躍を期待していますね!」
地図に記された場所まで移動して、ダンジョンの入り口に到着する。
「よーしそれじゃあ突入するぞ、準備はいいか?」
「大丈夫ですわ」
「バッチリだよ、ミリアお姉ちゃん」
「……問題無い」
わたしも応える。
「うん、大丈夫だよ」
「それじゃあ行くぜ!」
ミリアちゃんが魔法陣に魔力を込めると光り始めて意識が遠のいていく、何度か潜ってるけどこの感覚は慣れないなぁ……
意識が戻ると、目の前に広がるのは1面の緑。そして凄く遠くに見えるお城。どうやらアルゲティのダンジョンに近い構成のようだった。
「よーし、あの城が目的地だろ。出発するぞー」
ミリアちゃんに続きお城に向かって歩いていく。途中で魔物が出てくるけどみんなで倒しつつじっくり進んでいく。
流石にAランクのダンジョンだけあって手こずる相手が多い、わたしも水魔法で攻撃したり治癒魔法で傷を治したりで忙しい。けどみんなのほうが大変だろうから文句は言えないや。
そうしてお城へ進んでいるのだけども日が出ているうちにはたどり着くことができなかった。なので野営をする事に。
いつもの様に女の子組とわたしグループと翼くんの2グループに別れてテントを建てる、翼くんが1人で毎回過ごして居るのが心配になるけど本人は「気にしなくて大丈夫だ」って言ってるから良いのかな……?
そうして1夜明けたあと、再びお城に向かって進んでいく。そうして2日目もまるまる使った頃、ようやくお城までたどり着く事が出来た。
「よーしやっと着いたか、けどもう遅いし今日も野営だな」
と言うことなので今日もテントを建ててご飯を食べてあとは寝るだけ……と思ってたんだけど。
「グオオオオオオ!」
寝ようとした途端に魔物がテントに向かって襲ってきたの、撃退自体は問題なくできたんだけど戦闘中にテントが襲撃されて片方のテントが壊れちゃった。
「どうするか……修理はあたし達で出来そうに無いしすまないが全員1つのテントで寝るしか無いか。ツバサなら変なことも起こさないし大丈夫だろ、みんなは良いか?」
「……まあツバサさんなら信頼できますわね、問題無いですわ」
「ツバサお兄ちゃんと一緒になるのは大丈夫だよ」
「わたしも大丈夫だよ、翼くんなら大丈夫」
「……すまない、迷惑を掛ける」
そうして5人一緒に同じテントで寝ようとしたのだけれど、男の子と一緒に寝るのはあまり無かった経験だからドキドキしてあまり眠れなかったや。翼くんはすぐに寝ちゃったしミリアちゃんとアリスちゃんも気にして無かったみたいだけどわたしとユニちゃんは寝つけなかったからしばらくお喋りして夜を過ごしてたよ。
「カオルさんは男の子と一緒の空間で寝るのは初めてですの?」
「うん、パパと一緒に寝ることはあったけど年頃の男の子と寝るのは初めてかも」
「そうですのね、私は初めての経験ですので緊張しますわ……」
そうして夜も明け、ついにお城に突入する時がやってきた。
「よーし、それじゃあ城に突入するぞ!」
ミリアちゃんがそう言ってお城のドアを開けていく。ここから更に魔物が強くなるだろうから頑張らないと!




