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31話 羊さんダンジョンヘ

「今日の予定だが、羊ダンジョンに行こうと思っている。みんな良いか?」


 朝ごはんをみんなで食べたあと、ミリアちゃんが今日の予定について確認を取ってくる。


「うん、大丈夫だけど……羊ダンジョン?」


 わたしが疑問に思ってると、ユニちゃんが説明してくれる。


「カオルさん、羊ダンジョンは文字通り羊の魔物が多く出るダンジョンですわ」

「そもそもこの街、スピカが服飾の街になったのもダンジョンでドロップする羊毛が豊富に供給できるからという事情がありますの」


 ユニちゃんの説明を聞いてなるほどと思うわたし。するとミリアちゃんが話を続ける。


「そして、副産物の羊肉を使った料理もスピカの名物だな。もっともドロップ率が低いんでパーティーが消費する程度しか落ちないから市場に出回ることは少ないがな」


 羊肉かぁ、実は食べたことがないからどんな味なんだろう? とちょっとわくわくする。けどあくまで羊の魔物だから実際の羊肉とは違うのかもしれないけど……まあオーク肉が豚肉とよく似た味だから似たようなものかな? と思っておく。


「よし、それじゃあ早速出発だ。羊ダンジョンは狭いから数時間あれば探索できるし前準備は大して要らないだろ」


 ということでダンジョンの入口、転送の魔法陣までやってきたわたし達。


「じゃあ突入するぞ、準備はいいな?」


 みんながOKの合図をすると、ミリアちゃんが魔法陣に魔力を送る。

 うう、アルゲティのダンジョンの時もそうだったけど、この転送される感覚苦手かも……


 そして意識が戻るとわたし達は辺り1面草原のとてつもなく広い空間に転移していた。


「よし、無事に潜入できたようだな。ここはボスが居なくて帰還の魔法陣を探せばすぐに帰れるからまずは帰り道探しからだな」


 ミリアちゃんが言う通り、10分程度の探索ですぐに帰りの魔法陣は見つかった。


「よし、帰り道を確保したな。それでは狩りを始めるぞ」


 翼くんがそう言うと、みんながそれぞれの武器を構える。


「よーし、羊肉狩りだぜ!」

「もうミリアさん、主目的は羊毛ですのよ! 冒険者ギルドで買い取ってもらうのですからそれを忘れては駄目ですわ」

「羊肉、美味しいよね〜カオルお姉ちゃんにも食べさせてあげたいな」

「……狩りに急ぐぞ、あまり時間をかけると帰りが遅くなる」


 各々がやる気を出している中、話題に乗れないわたし。おろおろしている内にミリアちゃんとユニちゃんは狩りに出ていったみたいだった。となると残るはアリスちゃんと翼くん。わたしは戦闘能力はまだまだだから誰かに頼らないと……と思っているとアリスちゃんの側からお誘いしてくれる。


「カオルお姉ちゃん、わたしと一緒に行こうよ、もちろんツバサお兄ちゃんも!」


「うん、わたしは戦闘は出来ないから2人に任せることになっちゃうけど……」

「了解した。狩りは任せてくれ」


 それから1時間ほど羊の魔物を狩っていった。アリスちゃんが魔物の気を引き、翼くんが倒し、わたしがドロップ品を回収。といった役割分担で狩っていく。


「……よし、ひとまずこれだけあれば十分だろう。ミリア、ユニと合流するぞ」


 翼くんの指示に従い2人を探す、するとすぐに2人は見つかったのだがどうやら様子がおかしいみたいだ。


「おーい! カオル! 早く来てくれ!」


 ミリアちゃんに呼ばれたので急いで駆けつける。そこには2人の他に全身を負傷した大人の男の人3人が倒れていた。


 わたしは到着するとすぐに3人に治癒魔法をかける、すると意識が戻ったリーダー格っぽい方が話しかける。


「助かったよ……お嬢ちゃん、ありがとう。その年でそのレベルの治癒魔法の使い手とは素晴らしいな」


 わたしもう17歳なんだけどな~と思いつつツッコんでも面倒な事になりそうなので流しておく。


「それで、なんでこんなとこで倒れてたんだ? まさかここの魔物にやられるなんてことは無いだろ?」


 ミリアちゃんがそう聞くと、おじさんは困ったように答える。


「そりゃあ普通の魔物なんかに負けはしないさ。ただ、奴が現れたんだよ、ズラトロクがよ」


「ズラトロク……ってあの噂で聞くこのダンジョンの主のことか?」


 ミリアちゃんの質問におじさんが話す。


「そうだ、油断してたのとまさか本当に居るとは思わなくてな……恥ずかしい話だがボロ負けしたって訳だ」


 すると、ユニちゃんが提案する。


「それではわたし達がズラトロクを討伐しますわ。今どこに居るか教えて頂けますか?」


「いや、俺たちも分かんね……ん?」


 おじさんが話してる途中で顔色を変えて叫んだ。


「居たぞ! お前達の後ろだ!」


 振り返ると、そこには黄金色の角を生やした大きな魔物がこちらを狙っていた!

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