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25話 魔法のおべんきょう

 ブクマの翌日、わたし達は魔法の練習の為に街の外の草原に来ていた。


「よーし、ここら辺でいいか」


 ミリアちゃんがそう言うと、持ってきた荷物を下ろす。


「それじゃあ各自ブクマで買った魔導書の魔法の習得を頑張ってくれ、カオルにはユニが付いてやってくれな」


「さてカオルさん、水魔法の取得練習を始めますわよ。魔導書の中身は頭に入れ込んで来たかしら?」


 今日のユニちゃん、教師役ということでわたしに付いてくれるらしい。ユニちゃんの指導なら覚えられそう……なんてこの時は思っていたのだけど。


「うん、治癒魔法と同じように魔力を杖に込めて水をイメージしつつ呪文を唱えるのが基礎、だよね」


「ですわ。それじゃあ早速見せてもらってもいいかしら?」


 そう言われて水の魔石をはめ込んだステッキを構えて集中する。


「水の精霊よ、私に力を! ブルースプラッシュ!」


 カッコよく詠唱してみたものの、ステッキから出てきたものはホースから出てくる水の様な勢いの無い水流だった。


「あ、あれ……?」

「カオルさん、どういう事ですの?意図的に出力を抑えましたわね?」


 ユニちゃんの視線が痛い……彼女なら優しく教えてくれるだろうと思ったけど間違いみたいなのを理解した。


「ううん、意識的に威力を落としてはいないはずなんだけど……」

「それでは無意識のうちにリミッターを掛けている、と。」


 そうかもしれないので頷いておく。


「カオルさんは優しい方ですから、意識しないうちに出力を抑えてしまっているのですわ。こうなれば強硬手段を取るしか無いですわね……」


 強硬手段? なんか嫌な予感が……


「カオルさんには魔物との戦いで実戦での習得をしてもらいますわ、さあ、魔物の巣を探しますわよ!」


 うえーん、やっぱり〜!


「いや、それは無理だよ〜!」

「いいえ、これは愛のムチですわ!さあ、行きますわよ!」


 ユニちゃんに引っ張られるようにして連れて行かれるわたし、これからどうなっちゃうんだろう……




 しばらくしてユニちゃんの足が止まる、そして小声でわたしに話しかけてくる。


「カオルさん、ゴブリンの巣が見つかりましたわ。(わたくし)が注目を引くのでカオルさんが退治してくださいまし」

「うう、そんな急に言ったって……万が一危なくなったらどうするの?」

「その時は助けに入りますわ、じゃあ行きますわよ!」


 ユニちゃんは魔導書を構えて詠唱を始める。


「唸れ、サンダー!」


 すると、ゴブリンの巣に居たゴブリンに雷が当たり、魔力が解けてドロップ品を残して消滅する。そしてこちらの存在に気付いたようだ。


「さあカオルさん、実戦の時ですわ!」


 どんどんこちら側に向かってくるゴブリン達、その手には小斧や小剣が握られていた。


(もうこうなったらやけくそだー!)


 わたし目掛けて飛びかかってくるゴブリン達に杖を向け、詠唱する。


「お願い!ブルースプラッシュ!」


 すると、前の時とは桁違いの水量と水圧の水がゴブリンを吹き飛ばす。


 それからというもの、襲ってくるゴブリンを来ては押し流し、来ては吹き飛ばしとしていった結果、後にはゴブリンのドロップ品が残るのみとなっていた。


「カオルさん、よくできましたわ。ちょっと荒っぽい方法でしたけど無事水魔法の基礎を習得出来たようですわね」


 へとへとになりながらもユニちゃんの言葉に返すわたし。


「うん、危ない!って感じたら無意識のうちに吹き飛ばしちゃってて……けれどお陰で襲われずに撃退出来たみたい」


 あれ、なんだか眠たく……


「カオルさん? もしかして魔力切れと集中が解けたせいで眠たくなったのかしら。困りましたわね……(わたくし)1人ではカオルさんを運んで戻れませんわ。かと言って置いていく訳にも行きませんし……」


 何やらユニちゃんが喋っているのを聴きながら、わたしは眠りに入っていった。




「ん……あれ、ここは?」


 目が覚めると、誰かに抱きかかえられている感覚があった。


「お、起きたか?」


 目の前にはミリアちゃんの顔が。状況を整理すると、どうやらわたしはミリアちゃんにお姫様だっこされているらしい。


「もしかして眠ってる間ずっと運んでくれてたの? 嬉しいけど恥ずかしいかな……」

「なに、ユニから聴いたぜ。カオルがゴブリン相手に大活躍したって」

「疲れてるようだから暫くはこのままでいな、お姫様☆」


 もう、ミリアちゃんったら……でも、疲れているのは事実なので暫くはミリアちゃんに抱かれていようと思ったわたしなのでした。




 そんな事もありつつ翌日、次はどこの街に行こうかというプチ会議が行われた。


「次の街の候補だが、服飾の街スピカにしようと思っている。最近の行動で服や下着が消耗してきたからな。異論はあるか?」


 するとみんなが返事をする。


「ええ、問題無いと思いますわ」

「いいと思うよ〜」

「ああ、問題無い」


 わたしも応えておく。


「うん、いいと思うよ」


「じゃあ決まりだな。今回は歩いて行くには遠いからドラゴンフライトを使おうと思う。高いけど必要経費だな。それじゃあみんな明日には出発するから準備をしといてくれ」


 途中、気になった単語が出てきたので聞いてみる。


「えっと、ドラゴンフライトって?」


 すると、ユニちゃんがそういえば、みたいな顔をして教えてくれる。


「ああ、カオルさんは初めてかしら。名の通り、ドラゴンに乗って移動する事ですわ」


 え、えっと。わたし高い所苦手なんだけど。大丈夫なの~?!

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