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おんりょうめもりー ~死人達の記憶と刀の少女~  作者: ぎたこん
第一部・第一章・初めての怨霊
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1-29-3.サイト閉鎖【陣野卓磨】

『でもさー。今一番いい所なんだよ。ほら、陣野氏も知ってるでしょー? 異世界に飛ばされたサヤちゃんがブラックボーンドラゴンを倒す所なんだなぁ』


 物語の序盤も序盤じゃねーか!

 一クール十二話の二話だか三話辺りだ!

 いい所もくそもあるかよ、人命がかかってんだぞ!


 と、心の叫びを抑えつつ、心を落ち着ける。


「わかった! わかったから! お前が欲しがってた、どきどきプリンセス危機一発マジカルシャワーの限定ポスターやるから!!」


『え? いいのかい? 陣野氏ぃ、僕が売ってくれと頼んだ時、アレだけは絶対に誰にも譲らないって言ってたじゃないか』


「いい、いいよ! 頼むから! 今から頼もうとしている事にはそれだけの価値があるっ!」


『陣野氏……陣野氏がそこまで言うって事は何か一大事なんだね? 先日の誤解の件もあったし僕でよかったら協力するよ』


 俺の切なる訴えに、ようやく何かを感じ取ったのか三島の声が少し低く真剣な声に変わる。これはネットゲームで本気を出さないと勝てないと悟った時に出す声だ。やっと事態の深刻さを汲み取ってくれたか。

 いざという時は頼りになるのだ。このデブは。


「じゃ、じゃあ早速なんだが……」


 俺は事の顛末てんまつを説明した。

 とりあえず、普通には信じられない様な内容が大半なので説明が難しいが、今あの掲示板によって人命が危険に晒されるという説明をした。

 目玉狩りに関しての核たる部分は言わなかったが、接続したにしても時間的に大丈夫だろう。もう、条件となっていると思われる時間はかなり前に過ぎている。とりあえず裏サイトの掲示板自体を閉鎖か削除かできないか、それだけを頼んだ。


『な、なんだってー!? 書き込み、書き込みをした人が、こここここ殺される!?』


 この驚きよう、三島も恐らく書き込みをした事があるのだろう。

 それは俺にも思い当たる節がある。アレだ。


「いや、あくまで推測だ。推測なんだが可能性が高い。現に俺も一度命を狙われたんだよ。命からがら逃げ出したが、いつまた襲われるか分からん状況なんだっ」


『……なるほどー。それで僕を頼ってきたって訳だね……でも、サイトを消したからって一度狙われた陣野氏が助かる保障はあるのかい?」


「やってみなけりゃ分からんだろっ、今は藁にもすがりたい思いなんだよ!


『そっかぁ……。まぁ、あのサイトだったら簡単だよ。あそこ、御厨みくりやさんが管理してたでしょ?』


「えっ!?」


 突然出てきた発言に一瞬驚いてしまった。

 俺もそうではないかと薄々は思っていたのだが、確信は取れないでいた。

 何で知ってんだコイツ。


『何で知ってるかと思ったでしょ。それはね、デュフフ……一年の頃、僕、御厨さんと出席番号近かったでしょ? 今のクラスもだけど……。それで、二階堂氏と立ち話してる時に、席が近いからたまたま御厨さんがタブレット操作してる画面をチラチラ見ちゃったんだよね。それが学校の裏掲示板の管理画面だったわけ。目ざとい僕は、二階堂氏の口から放たれる何度も聞かされたウンチクを右から左へスルーしつつ、その時の指の動きと画面に映し出されたユーザーIDを崇高すうこうなる頭脳にインプットしたってわけさ。PWも指の動きでまだ覚えているよ。管理画面にログインした事はまだないけど、二つともまだ覚えている。何か僕に関して書き込みされた時の為にね。その後、御厨さんにちょっと睨まれて罵倒されたけど、背筋がゾクッとしてクセになりそうだったね。僕とは相性がよさそうだったのに亡くなったなんて非常に残念だよ。だから田中に花をどかせと言われた時も……』


 早口で聞き取りづらくて、何かよく分からないがありがたい!

 要は出来るってことだな!?

 そう解釈していいんだな!?


「まじか! じゃあ早速頼む!」


『まぁまぁ、急がないで。ID(アイディー)PW(パスワード)は分かるけど、御厨さんが使ってたメールアドレスが分からないから、いろいろやらないといけないんでちょっと時間かかると思うんだ。一旦電話切るからちょっとばかし待っていてくれるかい?』


「ああ、待つ、待ってるよ!心の友!」


『早いか遅いかは掲示板レンタルサーバーの仕事次第だよ。僕もこのサーバースペースレンタルの運営会社は覗いて調べた事あるけど、事業者はグレゴルネットワークって言って、結構クセのある会社なんだ。僕もこの会社とはやり取りをした事がないから対応がわからないし、どこまでいけるか分からないけど待ってくれるかい?』


「わかった。で、できるだけ急いでやってくれ」


『うん~。じゃあ切るね。ポスター頼むよ~』


 何処か頼り無い声と共に通話が切れる。

 何でもっと早く気付かなかったんだ。三島という俺達のブレインがいたじゃないか。掲示板さえ無くなれば目玉狩りも出てくる事が出来なくなるだろう。永遠にネットの世界に閉じ込めるんだ。そうすれば勝ったも同然だ。


「何か対策は取れたのか?」


 通話を終えて握り拳を作り小さくガッツポーズを取る俺を見て、影姫が聞いてきた。


「ああ、あのサイトを消せるかもしれない。消せば奴だって出て来れないだろ」


「消せればな。確証は無いが可能性は高い。だが、どうやって?」


「どうやってって聞かれてもあれなんだが……とにかくだ、ツレにそういう事を出来る奴がいるんだ」


「信じていいのか?」


 俺の言葉を聞いて、影姫も半信半疑ではある。


「ああ、奴ならやってくれる、奴は俺達四天王の中でも最強だ!」


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