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おんりょうめもりー ~死人達の記憶と刀の少女~  作者: ぎたこん
第一部・第一章・初めての怨霊
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1-19-1.目玉狩りとは【霧竜守影姫】

最終更新日:2025/3/19

 荒れ果てた卓磨の部屋を出てから、私は千太郎と居間で向き合って座っている。

 卓磨はというと、千太郎から腕の傷の治療をしてもらった後、上の階の自室で今起きた事を心で整理しているのか、ベッドに腰掛けてボーっと荒れ果てた部屋を眺めていた。

 幸い傷はさほど深くなく紙で指を切った時ほどの深さで、病院へ行くほどのものではなかった。見た感じ、屍霊による攻撃の霊障も残っていなそうだった。それなのにあの慌てふためき様、よほどぬるい人生を送ってきたと見える。


「出たのか」


「ああ」


 言わずとも分かる。そんな口調で話しかけてくる千太郎。


「いきなりあの薄いテレビの画面から出てきた。卓磨の目玉を狙っていたようだが、何か心当たりはあるか」


 そう、出てきた屍霊しれいの指は初手で間違いなく卓磨の目玉を潰そうとしていた。

 屍霊は生前の怨み辛みで、ある程度の行動が見えてくる。それが攻略の糸口になるかも知れないので、知っておいて損は無い。それに屍霊がブツブツと呟いていた言葉もヒントになるかもしれない。


「……目玉狩り、か」


 千太郎の口から聞こえてきたものは聞き覚えの無い物であった。


「目玉狩り?」


「最近付近で起きておる連続殺人事件の呼称じゃ。被害者が皆、目玉を潰され殺されておる。犯人の足取りも全くつかめておらんという話じゃったが、まさか屍霊が絡んでおったとはな。見つからんはずじゃ」


 そして顎に手を当て何かを考える千太郎。視線は宙を捕らえ私の方を見ていない。


「しかし早い、早すぎる。いくら影姫の修復が終わったからといって……逆算してもほん数日後じゃぞ。まさか別の刀人かたなびとが……」


「その辺は私には分からないが、早く滅してしまわないと被害者が増える。警察を含めて一般の人間はあてにならないし」


「じゃが厄介じゃぞ。お主から聞いている話より推測すると、目玉狩りは現実世界ではなく、何と言ったらいいか……電子の世界を行き来しておるようじゃな。それなら中頭なかがみの虫除けが効かなかったのもなんとなく頷ける。容易に捉えることは出来んぞ」


「電子……よく分からんが、あの薄いテレビが何か関係あるのか……隙間があるなど、虫除け結界が聞いて呆れる」


中頭なかがみの張った結界もかなり古いものじゃし、物理空間を守る結界じゃ。そういう入り方をされる事は想定されておらん。パソコンやらインターネットやらは、聞いている範囲ではお主等が元いた世界には存在しない媒体だろうしな」


「なるほどな。中頭の魔法範疇外と言うわけか。厄介だな」


 テレビとなるとどこの家庭にもありそうなものだ。いつどこで現れるか分かったものではない。地縛霊の様に一定の地に縛られていれば探す手間も省けるのだが、そうもいかなそうだ。


「あと、アレはテレビではない。最近のテレビもインターネットに繋げる事は出来るが……アレはパソコンと言う媒体じゃ。テレビとは少し違う。詳しくは……ちょっと説明が難しいんじゃが……」


 困ったようにこちらを見る千太郎。恐らく千太郎も、そのパソコンとやらに関してそこまで詳しくないのだろう。


「いや、長くなるのならとりあえず説明はいい。気になればその時々で卓磨に聞く」


 その言葉を聞いて、千太郎は安堵の表情を浮かべた。


「そ、そうか。まぁ、殺された被害者達には何か共通点があるはずじゃ。今回襲われた卓磨も含めてな。それを見つけておびき出すしかあるまいて」


「共通点、か……」


 残念ながら、私は連続殺人事件の全てを知っているわけではない。一から調べる必要がありそうだ。

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