表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
おんりょうめもりー ~死人達の記憶と刀の少女~  作者: ぎたこん
第一部・第五章(第一部最終章)・すべての真実はヤミの中に
594/613

5-41-3.メリーさん【或谷岳彦】

「はっ……やってくれるな」


 うじゃうじゃうじゃうじゃと見るのも汚らわしい。低く唸る耳障りな声が煩わしい。動く死体の山。前を見ても後ろを見ても、右を見ても左を見ても死体人形ゾンビの姿。


「嵌めようとしたら嵌められたって所か。苛つくな。九条が余計な入れ知恵してやがるのか、それとも……」


 死体人形ゾンビ共の向こうに、死体人形ゾンビとは違う影が見える。そいつは他の死体人形ゾンビとは頭の位置が違う。巨大な何かに乗って浮いている。恐らくアレが霊力屍霊サイコゴースト……警察署長の言っていたメリーさんか。写真に映っていた姿と影も似ている。


「アソボー、お人形さん遊びシヨー?」


 何が遊ぼうだ。こちらに向けられたガキの鬱陶しい声がここまで聞こえてくる。


「坂爪、蓮美達は到着しているのか?」


「分かりません。GPSが反応していない上に通信電波が切れています。屍霊の固有空間に取り込まれたようですね」


「ちっ……何の為に親父の目を盗んで月紅石を渡しておいたのか分からんな。まぁ、相手がこういう状態に持って来たって事は、恐らく到着しているんだろう。相手もさっきまでの状態じゃ太刀打ちできないと判断して……しかし数が多いな。他の組員はもう殺られたのか?」


「それも分かりません。ただ、数からして死体人形ゾンビはここら周辺に集中していると思われます。まずは組の攻撃の要となる数の戦力と結界師を潰そうとしているのではないでしょうか」


「となると、面倒だが他の援護は期待できないか。人の目はないし、殺るしかないな。坂爪、準備しろ」


「了解しました」


 そう言い坂爪は闇を束縛する(ホーリー)聖なる鎖(チェーン)を解除し俺の方に近寄ってくる。そして俺の手を握ると、体から黒いオーラのようなモノが流れ始めた。


「穿多のジジイも実戦データをかなり急かして来ていたからな。人工刀人の初実戦には丁度いいだろう。折れるなよ?」


「御意に」


 その言葉と共に一振りの刀へと姿を変える坂爪。黒く美しいオーラが溢れ出す半生物の刀。手に持つだけで此方にまでその力が伝わってきて、自身にも力が溢れ出して来るのが分かる。この状態ならば、いざと言う時の為に鬼の力は温存できるだろう。

 ガキの相手をするまでに力尽きるなんて事は流石にあってはならない。


「おおおおおおぉぉぉ! ああう!」


 坂爪の刀化に何かを感じ取ったのか、死体人形ゾンビどもの動きが早くなった。

 数体の死体人形ゾンビが襲い来る。


「なかなかに気分がいいものだな。刀人かたなびとを遣うというのは」


 刀人坂爪を一振りすると、その剣閃でいとも簡単に死体人形ゾンビの体が引き裂かれる。

 そんな俺の刀に気がついたのか、メリーさんが不気味な笑い声を漏らしながら少しずつ此方に近づいてきているのが分かった。今の今まで死体人形ゾンビの陰に隠れてほくそえんでいたクソガキがやっと前に出てきたか。


「今、あなたの目の前にいるのぉ~……」


「さて、性根のクソ悪いガキにはお仕置きが必要だな」


 右手に刀人坂爪、左手に愛刀である屍切市丸。さて、どういう戦い方をしていこうか。楽しみで仕方がない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ