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おんりょうめもりー ~死人達の記憶と刀の少女~  作者: ぎたこん
第一部・第五章(第一部最終章)・すべての真実はヤミの中に
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5-14-5.二つの事件【陣野卓磨】

 俺が部屋に戻ろうと階段へ向かっていると、玄関の方から影姫がスマホを弄りながらこちらへと歩いて来た。どうやら、外で電話をしていたようだ。燕に聞かれないようにだろうか。


「どうだ、何か分かったか?」


 影姫もこちらに気が付くと、顔を上げて俺の顔を見る。


「ああ、あの器は近所のリサイクルショップで買った物らしい。明日、学校終わったら行ってみるよ。そっちは何か聞けたのか?」


 俺の質問を聞き影姫の表情が険しくなる。通話相手に何かよくない情報でも聞かされたのだろうか。


「……最近、近辺の市町で連続殺人事件が起こっているだろう」


 連続殺人事件……そういえばネットのニュース記事にも上がっていた。

 確か、被害者の遺体の一部を持ち去るとかいう奴だ。俺が頷くと、影姫は続きを話し始めた。


「七瀬の話によると、その事件の犯人に関して最初は人間の犯行だろうと思って捜査していたらしいのだが、どうもその何人かいる被害者の一部がだな……遺体の切断面や残された傷を調べると人間に出来る物なのかと言う疑問が出てきたらしい。ただ、本当に一部らしいのだ。中には人的に切断したと思われる遺体もあるらしくて、七瀬としても人間の犯行なのか屍霊の犯行なのか迷っているとの事だった」


「となると、やっぱり俺が見たのは、その事件を引き起こしている屍霊に関係するの記憶……鴫野の父親の記憶って事になるのか?」


「いや、そう考えるのはまだ早い。実はもう一つ情報がってな。これはまだ一般公開されていないとの事だったのだが、警察官が集中的に狙われて何人か同じ殺され方でやられているらしい。頭以外をミンチにされてな」


「ミ、ミンチ……」


「柳川を殺したのもそいつだそうだ。この二つの事件は、片方が秘密裏にと言う事もあって同じ合同捜査本部で班を分けて捜査が進められているらしいのだが、今日も損壊持ち去りの方で昼にニュースが出ていただろう」


「ああ、結構近くだったな。損壊持ち去りで……」


「被害者が増えてきて七瀬も……警察も焦っているのかもしれんな。一昨日に電話した時は詳しく話さなかったし」


 影姫の話を聞いていると、被害者のその姿を想像してしまった。

 頭の中に浮かんだミンチになった顔も知らない柳川さんのその姿に、飯前だというのに胃がキリキリとしてきた。


「警察官殺害の方は十中八九屍霊の仕業だろうと七瀬は踏んでいるそうだ。話を聞いた分には私もそう思う。ただ、損壊持ち去りの方がよく分からんのだ……こちらに関しては、蓮美の話によると或谷組の組員も何人か殺されているらしい。ただ、或谷組組員の遺体は警察には渡っていないのと、遺体の管理は蓮美の兄がやっているらしく、蓮美自身が遺体を確認していないとの事だったので切断面等の詳しい状況は分からなかったが」


「って事はさ、もしかしたらまた二匹出現してるかもしれないって事?」


「そういうことになるな。断言は出来んが……私がいるにしても最近多すぎるな。私以外に何か、屍霊となるような憎悪を持った霊を刺激する核たる存在がこの街に潜伏しているのかもしれないな」


 考えたくはないが、またに二匹か……。思えば、一匹だったのって目玉狩りの時だけじゃないか。もしかして俺って相当運が悪いのだろうか。

 いや、こういう事に巻き込まれている時点で運が悪いのは確定か……。


「近々に起きた屍霊事件の全てが繋がる時、謎は解ける……」


 顎に手を当て、思慮深く考える素振りを見せる影姫。


「本当に繋がったとして、何の謎なんだよ」


「なんてな。推理ドラマの見すぎか。まぁ、馬鹿馬鹿しい冗談はさておきだ、明日は私もリサイクルショップに付いて行くから忘れるなよ。私は店の場所を知らないから、置いて行ったら後でしばき倒すからな」


 影姫はそういい不敵な笑みを浮かべると、階段を上がり部屋へと戻っていった。

 しばき倒すって何事だよ。最近、俺に対する当たりが強すぎないか……。慣れてきたって事なのかな……。

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