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おんりょうめもりー ~死人達の記憶と刀の少女~  作者: ぎたこん
第一部・第四章・暗闇の中のチキンレース
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4-27-2.貴駒事故A【七瀬厳八】

「どんな映像撮れたのかワクワクしますね。前のが全部映像が真っ暗だって聞いてたから……あそこの事故、不審な点も多かったから僕も見てみたかったんですよ。USBのウイルス検査とかは……大丈夫っすよね。柳川係長が先に見てるのなら」


「ええ、それは心配ないです」


 その言葉を聞いて、九条は目の前の書類を乱雑に横に避けると、嬉しそうにUSBメモリを目の前にあるノートパソコンへと差し込んだ。


「ファイル形式大丈夫っすか?」


「ええ、デフォルトのプレイヤーで見れる形式に変換してもらってます。前にそれで難儀なんぎしたことがありますからね。そこは気を付けるようにしてるんですよ」


 タクシー会社のドラレコ映像は特殊な拡張子になっていたり、専用のソフトが無いと見れなくなっているものが多く、その映像をそのまま貰ってきても見れない事が多いのだ。

 タクシー会社ってのはどうも年寄りが多い為、その辺の行き違いが多い。ウチの課でもそれで「見れない見れない」と喚いている奴を前に見た事がある。今回は普段よく見る形式のファイルになっているらしい。俺も人の事はあまり言えんし、よく分からんが。


「じゃ、再生しますよ。何分くらいの所を見ればいいんすかね?」


「映像は問題の部分だけ切り出してある様なので、そのまま再生してもらえれば大丈夫ですよ。向こうさんが機械に強い人でよかった。私もどちらかと言うとパソコンの部類は苦手な方なので……」


「ファイル二つありますけど……」


 覗くとパソコンに開かれたフォルダには確かに映像ファイルが二つあった。〝貴駒事故A〟と〝貴駒事故B〟というファイル名がついている。


「ああ、〝A〟の方のファイルの方がいいですね。バックミラー上部から車内側を映した映像ですから、そちらの方が運転手の様子がよく分かるかと。〝B〟は車外前方向きなので、走った後に崖から落ちる映像しかありませんでしたので。専用のソフトならリンクして再生できるらしいので分かりやすいみたいなんですが……」


「了解っす」


 その言葉を聞いて九条がプレイヤー〝貴駒事故A〟のファイルをダブルクリックする。するとプレイヤーが起動し映像が流れ始めた。

 そこには不機嫌そうにしかめっ面をしながらタクシーを運転している高橋の様子が映っていた。顔には大きな傷跡がある。恐らく十三年前の事故によるものだろう。頭は薄くなり残った毛もほぼ白髪で、以前見た時よりもかなり老けている。前に見たのは十三年も前だから当然といえば当然なのだが。


「おいおい、こいつスピード出しすぎじゃないのか」


 わずかに映った窓の外に見える風景がみるみるうちに流れていく。これは相当のスピードを出しているように見える。


「自殺行為ですねぇ。年寄りはスピードに関して鈍感になるって聞きますけど、これはまた酷い」


 九条も頷きながら見ている。


 と、三十秒ほど映像が流れた時だった。高橋が急ブレーキを踏み車を停車させた。そして顔は何かに驚いた様に助手席側を見て、その後に何やらブツブツと言いながら周辺を見回している。


「どうした?」


「ここ、ここからですよ。様子がおかしくなったのは」


 そこからの映像は、まさに前に見た食事処大量殺人の映像や横山家の監視カメラの映像と、どこか似た物がある映像であった。


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