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おんりょうめもりー ~死人達の記憶と刀の少女~  作者: ぎたこん
第一部・第四章・暗闇の中のチキンレース
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4-18-1.▲▲▲▲【柏木鶴ゑ】

 許さぬ……。


〔許しちゃだめ〕


 許さぬ……。


〔絶対に許さないで〕


 頭が痛い、腰が痛い、足が痛い……打ちつけた様な染みる痛さが全身を駆け巡る。

 この声を聞く度に、消えかけていたワシの恨みの念は沸々と蘇ってくる。


 何人地獄に送ろうともこの怒りは晴れぬ……そう言う感情が芽生えてくる。アタシはどうすれば……。


〔もっと殺して……人間を、殺して〕


 誰じゃ、アタシに語りかけてくるのは誰なんじゃ。

 老いぼれの小さな願いを叶えてくれた事には恩を感じている。でも、なぜこんな事をさせるんじゃ。


〔私は……私は……あなたを助けたいだけ。ただそれだけ。那由多の魂が集まれば……私の願いが叶えば……貴方を輪廻の輪に戻してあげるから……それまでは力を貸して……〕


 この幼い女の子の声を聞いていると、孫の姿と重なってしまう。お願いを聞いてあげないとという気持ちになってしまう。


 ……なんと悲しい事。辛い事。こうして言葉は届くと言うのに、その姿を見る事が出来ないなんて。あんたは一体誰なんじゃ……。


〔お婆ちゃんと澪の仲を引き裂いた……優しく楽しい未来を奪った人間を……〕


 頭に黒い靄のかかるような感覚。何度目じゃろうか。戻り始めた思考が再び奪われていく。


 この子の言う事ならば、出来る事ならば何でも聞いてあげよう。

 殺してやろう、人間を。ここを通る人間を。ルールを守らない人間達を。


 憎い、憎いぞ……。地獄と言う業深き穴へと引きずり落としてやる……。

 人が軽微な罰しか与えれないと言うのなら、アタシがその罪を裁いてやる。

 同じ目に合わせてやる。苦しく辛い死と言う恐怖をを全身で浴びるがいい……。


〔コロセ〕


 コロス


〔ころせ〕


 ころす


〔殺せ〕


 殺す






〔そう、それでよい。従え……余に従えばそれでよい……〕




〔憎き、憎きあやつらを滅すまでは……余も消えぬ……〕


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