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おんりょうめもりー ~死人達の記憶と刀の少女~  作者: ぎたこん
第1部・第三章・鬼の少女と赤マント
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3-4-2.過去の赤マント事件について【陣野卓磨】

『悪い、待たせたな。で、何だ』


「赤マントの怪人という都市伝説の話について何か知ってたら教えてほしいんですけど……ほら、七瀬刑事は知っているか分かりませんが、だいぶ古い噂じゃないですか。それに関して何か過去に事件あったとしたら何か知ってるんじゃないかなと……」


 俺のその質問を聞いて、七瀬刑事は沈黙している。

 五秒くらいだろうか、お互いに何も話さずに沈黙が続いた。


『赤マント……』


 先に口を開いたのは七瀬刑事であった。


『卓磨君、そいつに関してはあまり調べない方が……』


「なぜです?」


『いや、赤マントの怪人は有名だから俺も知ってるし、確かに昔、赤マントの怪人の噂話を模倣もほうして殺人が犯された事件はあったんだが……その捜査中にどう見ても人間の所業とは思えない、噂話通りの本物っぽい案件も数件含まれていてな」


「本物?」


『ああ、まぁ、説明するのは難しいんだが……ジャーナリストとか、学生とか色々なんだが、赤マントに興味を持った人間が、その都市伝説を調べようとして過去に何人か殺されてる。何かを知ってしまったのか、実際に遭遇してしまったのかわからんがな。発生当初は赤マント事件に関する元々の被害者は基本的に幼い女子ばかりだったのだが、そう言う経緯もあって老若男女関係なく殺されている事案もある。噂話の模倣犯の件もあって、どの事件が誰がやったとか全ての犯人が特定できていないんだ。目撃者がほぼいない状況でな、奇跡的にいたとしても錯乱していたりとか……最初に何か質問してくるってのは分かっているんだが』


「質問? ……って、何色が好きか聞いてきたりとかですか?」


『ああ、都市伝説の通りだな。まぁ、さっきも言ったが目撃者がアレなんで事実関係がハッキリとはせんが……』


「うーん……よくわかりませんね」


『今、俺に聞いてきてるのは、影姫に言われてじゃないのか?』


「いや、それはそうなんですけど……その本物っぽい奴ってどうなったんですか? 人間の所業とは思えないっていう」


『俺も所轄じゃなかったし、交番勤務になりたての頃だったから詳しくは知らんのだが、或谷組あるたにぐみの連中が本物の方を何とかしたって話は聞いた事がある。それが最後の〝本物〟の出現だと聞いている』


「或谷組……」


『そう、この前、喫茶店にいた奴の組織だな。それと、赤マント事件に関してはそれより前は定期的に起こっていたらしいんだ。今言った事件の前……俺が警察に入る前になるんだが、結果は犯人が何者かに退治されたり、被害が徐々になくなり事件がいつの間にか終息したりと色々なんだが、日本各地で何回もこうした事件は起こっている。あまり子供を怖がらせないようにマスコミにも情報規制をしいて、詳しい話が出回らない様にはしてる様なんだが、今の時代だとそれでも限界があるな。SNSだのなんだので情報が漏れたり広まるのが早いし』


「なるほど……それと、七瀬刑事。さっき言っていた首吊りの状況なんですけど……」


『なんだ』


「妹がそれに似た話をしてて」


『ああ、あれ、やっぱり君の妹だったか。俺もさっき目撃者を聴取した警官から話を聞いた時に陣野の名前が出てきたからまさかとは思っていたんだが……。でだ、あくまで俺の勘だが、今回の件は犯人は赤マントの〝本物〟の可能性が高い。今日中に付近の学校全てに連絡が行くから、君等にもあまり外を出歩かない様に学校から何らかの指示が出ると思うが……卓磨君、赤マントの件は生徒内では広めちゃ駄目だぞ。俺も君等だから言ったんだ、これだけは守ってくれ』


 学校から指示……と言う事は大人は皆知っているのだろうか。

 しかし、そんなに以前からいるとなると屍霊なのかどうかも分からなくなってくる。

 人ではない、と言うのは聞いて明らかだとは思うのだが。


「わかりました。それと、出会ったら何か回避する方法とかないんですか?」


『今の所は確認されてないな。質問をしてくるってのが本当なのなら、その質問に答えない事だな。あとは、とにかく逃げろとしか言えん。赤マントに対して何もしていない大人は襲わないという情報もあるにはあるが信憑性にかける。駄目元で大人を探して様子を見るってのも手かもしれんがな』


「そうですか……」


 すると、受話の向こうから九条さんが七瀬刑事を呼ぶ声が聞こえてきた。現場検証をしている最中、あまり時間をとらせるのもまずそうだ。


『何!? 近くでドザエモン!? わかった! すぐ行く! ……すまん、ちょっと呼ばれた。今日はここまでにしてくれ』


「すいません、忙しい時にお時間とらせまして」


『いや、俺も確証が取れた物もある。赤マントの件は迅速な対応が必要だからな。電話があってよかった。じゃあまた何かあったら連絡してくれ』


「ありがとうございます」


 そう言うとプツリと電話は切れた。


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