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おんりょうめもりー ~死人達の記憶と刀の少女~  作者: ぎたこん
第一部・第一章・初めての怨霊
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1-29-4.一筋の光明【陣野卓磨】

 それから三島の電話を待っていたが、なかなかかかってこなかった。

 俺も影姫も無言で、部屋に響く時計の針の音だけが耳に飛び込んでくる。


 気持ちだけが焦る。まさか暴走した目玉狩りが時間の条件までぶち破ったんじゃなかろうかなどと頭をよぎってしまう。そうなってしまうと三島も危ない。やはり、時間が違うからといって危険な事を頼むのはまずかったか。

 そんな思いが過ぎってしまう。


 クソッ! 早く、早く! 何やってんだよ三島!


 焦る気持ちを抑えつつ、スマホを握り締め画面を覗いている時だ。


 テン、テテンテンテンテン……♪


 スマホの着信音が鳴る。画面を見ると三島だ。生きていた、無事だったのだ。

 よかった……。焦っていたとはいえ、友人を生死に関わる事態に巻き込んでしまった事を申し訳なく思う。


 電話に出ると、そこからは三島の元気そうな声が聞こえてきた。


『陣野氏~、終わったよ。これでポスターは僕の物だね』


 まじか!やった!

 心の中で叫びつつ、声も出さずに思わずガッツポーズをとる。


「三島! 恩に着るよ! お前は俺の女神だ! うどんの女神の次に愛してる!」


『陣野氏、気持ち悪い事は言わないでくれるかなー。僕はノンケだからね』


「いや、ホント感謝する!」


『僕の所では一応404エラー出てるから大丈夫だと思うけど、一応確認はしておいてね。突然この掲示板が消えて焦る奴が出るかと思うと、明日学校へ行くのが楽しみなんだなぁ。そうなったらどいつが書き込んでたかまるわかりじゃない? デュフフ』


「そ、そうか。それと三島」


『なんだい?』


「つかぬ事を聞くが、作業中に何か変なものを見たとかはなかったか?」


『変なもの……? って言っても、あの掲示板は変な書き込みしかなかったからねぇ。改めて聞かれるとアレだけど、特に思い当たるものもないかなぁ』


 三島の反応から察するに、目玉狩りに関する現象は特に何も起こっていない様子だった。


「あ、いや、分かった、何も無かったならいいんだ。すまんが急いでるんで切るぞ。明日ポスター持って行くからな!」


『はいよー』


 気の抜けるような声の返事と共に通話が切れる。

 やったぞ。サイトが消えた……これでもう誰も見る事が出来ないし、誰も殺される事がない。目玉狩りは永遠にネットの電子世界に封じ込められたのだ。


「やったのか?」


 無言で読んでいた本をパタリト閉じると影姫がこちらに声を掛けてきた。


「ああ、三島がやってくれたぞ。サイトは消えた。もうあいつが出てくる事はない、と思う!」


「思う? 歯切れが悪いな……。確認しなくて大丈夫なのか?」


「大丈夫だ! 三島はこういう時に嘘をつくような奴じゃないし、三島が最終確認までしてくれている! 俺がやるまでも無い」


 とは言ったもののやはりまだ怖いのだ。

 確認してくれとは言われたがあのサイトのURLを打ち込むのは気が進まないというのが本当の気持ちでもある。パソコンを起動するのも躊躇ためらってしまう。このパソコンを起動するのはしばらく様子を見てからにしよう。

 この先しばらく目玉狩りに関する事件が街で起こらなければ今回の作戦は成功したと見ていいだろう。


 俺は三島を信じる。信じる者は救われる。

 明日から俺は普通の生活に戻るんだ。


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