表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
雪と花  作者: 朝舞
3/5

呪詛




★★★★★




雪と花


二つが交じることはない


凍える冬には花は咲かずに


緑が芽吹く頃


雪は、溶けてしまうのだから




★★★★★




「おはようございます、叔父様」

「あぁ、おはよう」


朝、少女の気分は最悪だった。

何もしたくなかったが、泊めてもらっている身としては、いつまでもふて寝するわけにもいかない。


重い身体を無理に動かして朝食を摂るが、ほとんど喉を通らなかった。


少女の叔父である伯爵は、この地のーーそして、この屋敷の()()主である。


昨日、彼は急な来訪にも関わらず、少女を快く歓迎してくれた。

そして夕食の後に、彼女にとある歌を聴かせてくれたのだ。



ーー雪と花


二つが交じることはないーー



それは、少女の母がよく歌っていたものだという。

まるで呪いのようだ、と彼女は感じた。耐えられずに席を離れたため、最後までは聴かなかった。



儚げで色白の女性が美しいとされている世間において、母は理想的な女性(ひと)だったという。


雪、と評されるほどに。


しかし、大罪を犯した彼女の象徴は、雪ではなく毒となった。

そして、その娘は毒花となる。



ーー二つが交じることなんて、ないわ



交じりたくもない、と少女は思った。




「ところで、昨日は聞きそびれてしまったのだが……君は、どうしてここへ?」


当然のことだが、伯爵は少女が訪れてきた目的を尋ねた。


理由は、特にはなかった。社交界での一悶着で、衝動的に来たようなものだ。


だから少女は、ここに来るまでの道中で何をすべきかを考えていた。


「贖罪に」


それ以外に思いつかなかった。


いや、償うということ自体もできないかもしれない。


少女が罪人の娘であるという事実は変えられず、彼女が生きているだけで、迷惑にしかならない気がした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ