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植物転生 21話 大樹とエルフ

 私の名前はメリア・クヌギーク、エルフだ。

 エルフとは耳が尖っていて、魔法と弓が得意で、植物に詳しい。

 あと長生きで、年をとっても外見が若い頃のままだ。

 昔は森の中に籠っていたが、今は普通に町に住んでいるエルフもいる。

 私もその一人だ。

 今は冒険者をやっておりランクは一人前と認められるCランクだ。

 逆に言えば凡百の冒険者と変わらないという事だが。

 私はエルフの知識を生かして貴重な植物や薬草採取の仕事を主としている。

 ソロで活動しており、武器は長弓だ。

 いつも通り今日の仕事を冒険者ギルドで探していると男のギルド員から声が掛かった。

 

「メリアさんおはようございます」


「ああ、おはよう」


「お仕事をお探しですか? それなら指名依頼が来ていますよ」


「指名依頼? Cランクの私に?」


「はい、依頼者はマリー・エリゴリックさん。依頼は町の近くの大樹の調査。エルフの知恵を借りたいとのことです。報酬は一日で金貨一枚」

 

 大樹か。私は黒竜防衛線の時、町を守っていたから知らないが、噂になっているから大樹の事はそこそこ知っている。

 何でも黒竜を相手に無傷でペシャンコにしたとか、ヴァ―レル子爵様が杖にしようとして断念したとか。

 でたらめな噂ばっかりだ。

 だが面白そうだ。それに一日調査するだけで金貨一枚はおいしい。

 私はその依頼を受けることにした。

 



 私とマリーは並んで大樹の前に立っていた。 

 大樹は大きさが二十メートル以上もあり、とても巨大だった。

 

「ここまで巨大な木を見るのは久しぶりだ。この木は大きさこそ規格外だが、種類はガルネアの木だな」


「ガルネア?」


「ええ、マリーさん。森の中ならどこでも生えている木ですよ。特にすごいと言う訳じゃない。木材に適しているとか、杖に最適とかそういうこともない。一般的な人類にとってあまり役に立つとは言えない木ですね。樹輪を見ないと正確には分からないけどたぶん二千歳を超えてる」


「そうか、世界樹かも知れないと思ったんだが……」

 

「世界樹……ですか」


 これは秘密ですよと私は世界樹の事を語った。

 世界樹は意思を持った聖なる木だ。

 エルフは世界樹を中心に集落を作り、森の中に籠っている連中は生きている。

 表向きには世界樹は、エルフの守り神として知れ渡っている。

 が、実際は違う。

 世界樹は本来意思を持たない。

 昔エルフが禁術で木と融合したのが始まりだと言われている。

 そう、エルフの言う世界樹はエルフと木が融合し意思を持った木の事を指す。

 そりゃエルフが中に入って、意思を持っているんだからエルフの守り神にもなる。

 巨大な魔力を持つ世界樹の元となる木を利用しているだけなのだ。

 主に寿命を迎えようとしている人格者が次の世界樹になる。

 そしてこのことを知っているのはエルフでも少数だ。

 

「なるほど。貴重な意見をありがとう」


「金貨一枚ぶんの働きはしなきゃと思ってね」

 

 それにしても魔力を一切感じないな。


「エルフの宿った世界樹かどうかは魔力を見ないと分からないな。それにエルフの宿った世界樹ならエルフ語は最低でもわかるはずだ。禁術は口語で伝えられるからな」


「そうか、きっとこの木はイレギュラーで生まれたんだな。それが分かっただけでも君を雇ったかいがあった」


 その後私は、マリーと一緒に日課とやらをこなした。


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