植物転生 20話 工事
黒竜をぷちっと潰した翌日。
いつも通り、火傷女がやって来た。
いつもと違ったのはその後ろに十人ほどの人がいたことだ。
馬車もあった。
火傷女は何やらこっちに話しかけた後、後ろの十人に話しかけた。
後ろの十人は馬車に向かうと何やら木の棒と縄を取り出した。
木の棒を丘を囲むように刺していき、縄で木の棒と木の棒を括る。
柵か。
簡易の柵って感じだ。
そして入り口に当たるだろう縄を繋げていない場所に看板を立てた。
たぶん注意書きが書いてあるのだろう。
攻撃当たったら殺されるとかそんな感じ。
一般人進入禁止もあるかもしれない。
その次に、馬車からスコップを取り出す人間たち。
それを火傷女が言葉で止めた。
何やらそれで揉めている様だが、最終的に火傷女が口喧嘩で勝ったようで人間はスコップを馬車にしまった。
そして人間が素手で俺の横の地面を平らにし始めた。
ああ、スコップだと俺の根に当たることを危惧したのね。
俺の根は深いから気にしなくていいのに。まぁ、当たれば死だったかもしれないから、火傷女は俺の事をよく理解しているというか。
そして平らにした地面に人間が馬車から取り出した建築物を置いた。
それは簡素な祠だった。
屋根がついて本棚や収納スペースがついている。
三方向は壁が付いていて、正面だけが壁がない。
きっと、絵本とか人形とかを置くスペースを強化したものだろう。
惜しむらくは壁のせいで、俺の目線から中が見えないことだ。
俺の方に壁がついていない正面を向いてもらわないと困る。
それに気づいたのか火傷女が声をかけると、祠はこっちの方を向きに再設置された。
そして中に人形や本をしまう。
ちなみに祠の大きさは屋根を合わせると二メートルはある。
俺的には物置がでっかくなった感じだ。
祠の中心には石の置物があり、何やら文字が書いてあった。
きっと、黒竜討伐おめでとう! 的なことが書いてあるんだろう。
今はスカスカだが、いつか満杯になる日が来るのだろうか。
そこまで済むと火傷女以外は帰って行った。
そしていつもの火傷女に付き合う時間が始まる。




