大穴の先・・・、第二階層を突破せよ
マオウの一言からまた通路を一周して大穴のところへと向かい。大穴を降りる。
ゆっくりと降りていって大穴の中を警戒する。何かないかとか、トラップはないかとか探す。
警戒しても壁にトラップはなく横穴も見当たらない。
ドンドンと降りていくとそこにキラッと光るものを見つける。
何かあるのかとそこを注意深く見るとそこには大量のとげがあった。
下手に落ちるととげにくし刺しにされるのか。それにあのとげ、賢者の石を使って鑑定するとこれまでトラップの矢に使われていた毒の矢じりと同じだ。
ゆっくり下りてきて、とげに刺さらないまでも今度は毒で殺しに来るか。ここ上から下まで長いから上り下りが大変だ。上下移動で体力をごっそり持っていかれそうだ。
そう思いつつも私は大穴の底に到着した。大穴の底の壁に横穴があり、その付近だけにはとげがなかった。
横穴に入ると上と変わらない通路がそこにあった。
その先に進んでいくと扉が見つかった。
これまで何もなかったがこの扉もトラップかもしれない下手に触ったら取っ手のところに毒が塗ってあるとかあるかもしれない。
第一層はトラップだらけだったから警戒するのは無理もない。
どうやって扉の先に行くか・・・。
簡単な結論だった。扉を壊せばいい。
盾を横に転がしてスーパーアトミック・バスーカ以外の射撃兵装を構えて扉に向けて一斉射撃をする。
扉は瞬く間にハチの巣になり先が見るようになった。
扉があったところを警戒して抜けると大きな広間に出た。
何か出ると思い身構えるものの何も出ず、魔法陣らしきもの見つけそれを調べてみる。
どうやらこの魔法陣は上の階層とつながっているようだ魔力を込めたら使えるんだろうかと思い試しに込めてみると魔法陣は光だし起動した。
そして、魔法陣の中に入ると上に行き、仲間たちと合流することができた。
「おお、戻ってきたか、いきなり飛び出していって心配したぞ」
「突如、魔法陣が現れて警戒したらあんたが出てきてびっくりした。この魔法陣は何?」
など、心配してくれた人もいれば、魔法陣の出現に警戒している人もいる。
私はこの魔法陣が階層移動用の魔法陣だと伝え、魔法陣から出ようとすると『待ったっ』をかけられる。
「中にいてくれ。出たら効果が切れて階層移動できない」
「ダンジョン初心者には多い。ダンジョンあるあるだな。ダンジョンの中にある魔法陣は人が中に入っていないと起動し続けれないしようとなっておる。だからお前さんはそこから出ないでくれ」
「彼女が魔法陣を起動しているから下に降りるぞ。それと、そこで寝転がっている自称勇者を蹴っ飛ばしてでもいいからつれてこい」
一度に全員は魔法陣に入らないので数回に分けて下に降りる。
下の階層に降りる際、自分たちは何もしてないから下に降りないという人いた。
ここではるかにベテランの“エルドラ”メンバーから説得と、私がここの通路のトラップのえげつなさを伝えると顔を真っ青にして、ともに降りると言ってくれた。
「まぁ、初心者によくあることだな。こういう脱出不可能なダンジョンではな。先に行けるときに行っておかないと出られないことが多い」
つまり行けるときに行かないと出られないということか。
全員が第二階層に降りてから広間を詳しく調べる。
前みたいに石板の見逃しがあるといけないから特に壁は年入り調べられる。だが、何も見つからなかった。
あるのは魔法陣と壊れた扉と先に行くための扉だけだった。
先がどうなっているから調べるため扉を少し開けて中を確認する。中は大量の魔物でいっぱいだった。
今度はモンスターハウスかと警戒する。しかし、中を見た人は頭をひねらせた。
「一応、モンスターハウスなんだろうけど・・・」
「どうした。煮え切らないような言い方してモンスターハウスなのか、そうじゃねぇのかどっちだ」
「中にいた魔物がよく北の方で家畜として飼われている羊型の魔物の“メェー”なんだよ」
「“メェー”だと冗談だろ。おい」
「冗談じゃねぇよ。見てみろよ」
そう言われてから次々と中を確認しにいく。ベテランの人たちは「マジだ」という。
この階層は羊型の魔物“メェー”でいったい何をさせようというのか。
ヒントが一切ない状態でまずは倒してみよということで支援系の人たちをここに置いて倒しに行く。
私も参加しようとしたが、止められてしまった。
第一階層を単騎突破。これは肉体的にも精神的にもきつかっただろうということで無理やり休憩させられた。
休めるときに休まないと足手まといになるといわれしぶしぶ休憩に入ることにした。
待っている間、“アトミック”に属している吟遊詩人のエリックさんが演奏してくれるというので聞くことにした。
吟遊詩人であるエリックさんが冒険者のパーティに加わっていることに疑問を覚えるが、彼の演奏に耳を傾けると疲れが出てきたのかすぐに眠りについてしまった。
眠りから目が覚めると、自分が置かれている状況を再認識するためあたりを見ます。そこで、
「おや?起きたようだね。体はもう大丈夫かい」
すぐそばにエリックさんがハープ持って座っていた。
「体に異常はないかい。なにせ鎧を着たまま寝るなんて逆疲れると思ったんだけど」
私は一度立ち上がり、すべての感覚を確かめる。
感覚はどこにも異常なし。肉体の疲れも、精神的な疲れもなくなったように思える。
「大丈夫です。こういうのは修業時代で慣れていますので」
「それでも疲れを取りたいときはゴテゴテとしたものは取るべきだと僕は思うな」
「それで状況は・・・」
「進展なし。というよりはまだかな」
周りをもう一度確認すると魔物を倒しに行った人たちはまだ戻ってきていなかった。
休憩して疲れは取れたし、参戦しようとして扉の方へと向く。
扉はあちらから開けられ倒しに行った人たちが戻ってきた。
表情を見る限り、収穫はゼロの可能性が高い。
「マジかよ。毛すら手に入らないなんて」
「骨折り損のくたびれ儲けだ。全く・・・」
戻ってきた人たちは休憩に入って、成果を教えてくれる。
第二階層にいる“メェー”を全部倒しても先に行く扉も穴も現れなかった。
ダンジョンは外と違い、アイテムは魔物を倒した際に魔物死体は消え、その魔物の関連したアイテムが落ちているものだが、今回はそれがなかった。
大量のメェーをたおして報酬無し、精神的にもきつい。
メェーは基本、逃げる。そのため追いかけなければならない。
さんざん追っかけっこをさせられ倒しても何もなし。
一人を除いて出ていった人たち全員が疲れている。
唯一、なぜかマオウだけが疲れておらず、倒しに行くときに持っていなかった毛玉を持っていた。
「マオウ、その毛玉どうした」
「これ?メェーの毛がフワフワしていて暖かそうだから刈って手に入れたのだ。寒いときにほしい物なのだ」
自慢げに見せる。倒しに行った人たちは疲れた状態でほほえましくマオウを見ていた。
第二階層より先に行くにはどうしたらいいか。また考えることになった。
メェーを全部倒しても何も起こらない。
前の階層ではすべてのトラップを突破することが条件だった。ではここでは?
そこで私は閃いた。
前の階層で自称勇者を蹴っ飛ばして壁にぶつけたらヒントとなる石板が現れた。なら今回も行けるかと思い全員に言う。
「さすがにそれは・・・」
反対意見が多数なため却下されることになったが、
「壁がゴール。お前、ボールな!行くのだ!シュート!!!」
いじめか!
自称勇者の方を向くとマオウが自称勇者を蹴っ飛ばして壁にぶつけた。
そりゃもうドカンとすごい音を立てて自称勇者は壁にぶつかり、ずるずると下に降りてきて倒れた。
私はすぐに駆け寄り、体の状態を調べた。鼻血を出して顔がめちゃくちゃになっている以外なんともないように見える。
「どうやら広間ではダメージを受けない仕様らしい」
なるほどそれでダメージはないのか。だけど鼻血は出ているけど。本当に広間ではダメージを受けないのだろうか?
そして、自称勇者がぶつけられた壁が光り出し文字が浮かび上がった。
「ここでもか!」
どうやら私が蹴っ飛ばした時もこんな感じだったらしい。
そして、浮かび上がった文字は、
『名称“メェー”を全部、かれ。さすれば道は開かれん』
“メェー”と名の付く魔物を全てかれということか。今わかっているとことはそのまま突入してもメェーしかいない。他の魔物を登場させるには何か条件があるとみて間違いない。どうやって?
どうやってメェー以外の魔物を出す方法を今度は考えることになった。
しかし、案が浮かんでこない。倒せばいいというわけではない以上、どうすればいいのか・・・。
そういえばメェーは北の方だと家畜として飼われているというではないか、なぜ飼われている?
「メェーは北の方だと家畜として飼われているんですよね。何のために?」
「そりゃ、その毛を刈って服の材料にするためさ。特に北の方の冬は寒くてなメェーの毛を使っているか使われていないかで、温かさが違う」
「なるほど」
「もうそろそろ冬に入りそうだし、ここにいるなら毛を刈ってギルドに納品した方がいいのだ」
「いい考えだけどな。嬢ちゃん。でもなさっきみてえに倒してもすぐ消えて毛を落とさない以上、無理なんだよ」
「何が無理なのだ。この毛はもふもふで温かいのにか?」
そこでマオウが手に持っているもの見る。
そこにはメェーの毛がある。
メェーの毛、マオウは倒さず、わざわざ毛を刈って手に入れた。
ここにいた一人がぽつりと声を出した。
「まさか、かれとはそういうことなの」
「何がそういうことなんだ?」
「つまりあそこにあるヒントにあるかれとはもしかしたら名称“メェー”の毛を刈れということではないのかなと思ったの」
それを聞いた皆はもう一度石板を見直して、確かにそう読めるかもしれないと思った。
マオウの毛の入手し方を考えるともしかしたらと思ってしまう。
何事もトライ&エラーで行くしかない。ただし今ある食料と水が尽きる前にだけど。
話し合いは続き、倒して無駄なら毛を刈っていく方に方向性を変えることになった。
私の役目は、重量と速さを生かしてメェーを捕まえて抑えることだ。
まぁ、生きたままの剥ぎ取りはうまくないからちょうどよかった。ただし、マオウはできるんだよな。ここだけは負けた気分だ。
「今回は早さも必要と見たのだ。これがマオウの力!いくよ!テンペスター!!!」
マオウはそう言い姿を変えた。マオウのグランニューレを身にまとったのだ。身にまとったとは少し違うかもしれないけど。何せ体のいたるところが膨張して姿を変えたのだから。
マオウのグランニューレは前戦った時違っていた。正面はあまり変わっていが、背中が変わっていた。
形が変わっていることもさることながら大型化して、さらに飛行翼がついていた。
あの時は名はなかったが今はテンペスターと名をつけているようだ。
さて気力も体力も回復した。さぁ!行くぞ!メェーたち。その毛、存分に刈り取らせてもらう!




