第2話 現行犯逮捕
第1話を見てない人のあらすじ。
閻魔様「くねくねを捕まえてー(ハート)」
私「わかりました。なぐります」
人面犬「封印。仕事おわり」
第2話 現行犯逮捕
生活していればいろいろある。
そして、何故だか怪異に巻き込まれる。
時々、死人が出るので殺人未遂手前で止めに入るわけなのだが……。
「……」
今回のは……死人が出ない。ただ、エレベーターという密室空間で綺麗なお姉さんのスカートの中を一眼レフで取ろうとしていることだ。器用に長い舌で撮影していた。
私は死んだ目で見ていた。
死人が出ないので見ていた。
そして、私は盗撮されていた女の人に話しかけた。
「すみません、後ろの人が見えていますか」
「え、あ…何ですか」
「後ろの女の人見えますか
」
「な、何を言ってるんですか」
女の人の反応を見て盗撮している女の人は見えてないようだ。
「失礼しました。少々お待ちください」
エスカレーターが止まると、私は死んだ目で開くボタンを押したまま、思い切って、盗撮犯の顔を殴った。それと同時にわたしの右肩に舌が突き刺さった。
しかし、私は追撃を止める事なく左手で顔を1発なぐり、さらに左の前蹴りで盗撮犯の顔を思切って殴った。ずるりと、盗撮犯の舌が抜けて血がでるが、私は死んだ目で何度も何度も盗撮犯の顔を踏む。
むろん、女の人にはそれは見えていない。
ただし、私の肩の傷は見えているだろう。
私は盗撮犯の顔を踏みながら
「公安11課です。ちょっと、事件が………でも、ご安心を無力化しました。盗撮されたデータも女性警官に確認をさせますが、不安であれば署までの御同行をお願いできますか」
私は落ち着いた声で言う。
「え、あ、あの…」
「あ、見えないから分からないですよね。どうぞ、これを掛けてください」
私はポケットからゴーグルを取り出して女の人に渡す。
「とりあえず、血が飛び散らないようにやっているのでご安心を……」
女の人はゴーグルを付けると、盛大に吐いた。そして、私の洋服はそれによって汚れるのだった。
「くそ、女の子が好きな女の子がいて、なにが、がはっ」
「好きにしてくれ。でも、犯罪はいけない」
私は盗撮犯を騙さらせつつ、表情を崩さずに携帯電話で連絡を入れる。
「もしもし、こちら八咫烏。現行犯逮捕者1名。種別、わかんないけど舌を伸ばす変態」
「はいはーい。わかりましたよー」
閻魔女王の夕島は元気よい返事がきた。
「それと、女性警官を数名頼む。被害者が吐いた」
「それも諒解なのですよー」
「じゃあ、頼む」
「はい、すぐに手配しまーす。失礼しまーすのでーす」
元気な声はぷつりと途切れる。
それと同時にまな板な私とは正反対のおっぱいのでかい女性警官がやってくる。
さらになんかアニメに出て来そうなぐらい可愛い女の人が1人、2人と私とは正反対の人間がやってきた。
「お疲れ様です。八咫烏さん。いやー、お手柄ですね。私、影女の竹内 麻奈です。あ、独身です。どこかに一人暮らしの男の人知りませんか。できれば、今季のアニメを語れる人で…」
おっぱいのお姉さんは竹内と名乗る。
「悪いが私にそういう知り合いはいない。それに私はアニメよりゲームが好きだ」
「そうですか、残念ですね」
「せ、先輩、仕事をしてください」
「彼女の言う通りです。」
先輩と言ったた女の子が盗撮犯を確保しがら言う。
「じゃあ、後処理をお願いします」
私はそう言いながら、上着を脱いで携帯電話を開いた。
どこかでシャワーを浴びたい。それから、夕島に着替えの用意をお願いしよう。私が連絡を入れようと思った時、1件のメールが着ていた。
「…」
すぐ近くのビジネスホテルの手配と着替えの手配がされていた。
私は位置を確認すると、そこへ向かうのであった。
ビジネスホテルに着き、チェックインを済まして部屋に向かおうとするとエレベーターが着ていた。
私が乗ろうとするのに気が付いたのか、エ優しそうな顔の良く身長が私と同じぐらい男が
「乗りますか」
と尋ねてきた。
「ええ、お願いします」
少し遠くなので大きめな声で返事をしてエレベーターに乗り込んだ。
私がエレベーターに乗り込むとどこかのボーイズラブ、つまり、BLに出そうな男が2人乗っていた。つまり、かっこい男の人たちである。
人によっては、目の保養になるだろう。いろんな想像がはかどるだろう。それほどの美貌だった。
それに引き換え、私は……死んでいて、怨霊だ。
それでも、聲月は私を……愛している。
死んで、醜い怨みを抱えてまで現世にいようとする私を受け入れてくれている。
……いろいろ、考えすぎか。
私はエレベーターの奥の壁に背を預けて、暗いことを考えるのやめようとした。
そして、エレベーターが止まると同時に、男の1人が目を輝かせて爪が伸びる。
目がきらりと光った男は、高速で動き、エレベーターのドアを開けるを押していた男の服が切り裂かれてパンツだけになる。しかも、なぜかもっさりブリーフだった。あと、色は白だった。
男の人は私の方を見る。
「私じゃない」
私がそう言うと
「あなたしかいないのですが」
と言う。
「おい」
私が話しかけようとした瞬間、私の頬を少しだけ切った。
私はその瞬間、爪が急に伸びた男の顔を殴った。
そして、倒れたところを伸びた爪を踏み折り、顔を何度も踏みながら
「もしもし、現行犯逮捕で爪が伸びる男を逮捕した」
と夕島に連絡する。
「はいはい、すぐに応援を呼びますよー」
そう言って、連絡は途絶えた。
「男の子が好きで何が悪い。俺は男の子の下着が見たくて切り裂いて何が悪い」
踏まれながら男は何か叫んでいる。
「好きにしてくれ。私は同性愛に理解を示している。だが、見知らぬ男の服を切り裂いたりしたので現行犯逮捕だ。頼むから、和国の法律に従って生きてください」
私は無表情に言うと、綺麗なミニスカ制服を着た警察が2名着た。2人とも角が生えていた。どちらも、どこかで顔を見たことがあった。
「あ、八咫烏さんだ」
一人が私に抱き着いてきた。
そして、私の首筋を舐める。
「…すごく、美味しい」
「止めてください」
私は無表情で言う。フランクすぎる鬼は、高峰という人だ。
「えぇー、でも、お姉さまと楽しい事をしたいなー」
きっと、いろいろとR指定が入りそうな内容だと想像できる。好きな人とR指定なことをするのは、とても楽しくて、幸せになれるだろう。
しかし、愛していない人に対してやっても楽しくない。おもしろくもない。愛がなければ……意味が無い。
それに……今の恰好は、相手に申し訳ない。
「…今は、服が汚いから無理です」
「そんなの、愛でなんとか、ぐふ」
「…す、すみません。八咫烏さん。てか、私がいながら…何してるの」
高峰を引き離しながら私に謝る鬼の女の人。この人は桐谷は、頭を下げた。
「ご、ごめんなさい」
「あーわかった。あなたの手が悪い子なのね。それとも、足かな。とにかく私が悪いことする手や足を全部取ってあげるね」
そういえば、桐谷はヤンデレという属性を持っていて……警察なのに何処か危ない性格があった気がする。
ただ、被害が出ないので問題ないし、高峰の腕や足が切断されても鬼だから問題ない。焼肉食べ放題でも行けばすぐに治るだろう。一切は、問題はないな。
「桐谷さん。仕事を終えてからで願いします」
「あら、すみません。八咫烏さん。さぁ、高峰さん。早く仕事を終わらせましょうね」
「……」
なんだろう、桐谷の笑顔が何処か怖い。すごく癒し系な声で話しているのに恐ろしい。
とりあえず、私は
「桐谷、あとは任してもいいか」
と尋ねる。
「ええ、構いません」
「では、お願いします」
私はそう言って借りた部屋に向かう。
今日は、変なところでお手柄が多い。そして、変わった趣向の持ち主が多かった。
私も……人のことは言えないか。だとしても、犯罪はいけない。すくなくとも、もし自分の趣向を満たしたいのなら、合法的にやる必要があるのだ。
悪いことをすれば、それだけで印象が悪くなる。そうすれば、大多数の一般人からは気持ち悪がれ、立場がさらに悪化する。そうすれば、さらに生きにくい世界と変わる。
それでも、暴走した欲望に走ってしまうのだろう。そのために、私のような人が止めるという仕事があり、お金がもらえるのだ。
本当に正しいことがわからない。閻魔様も正しいことは、無いと言っていた。自分の裁きに正当性なんてないと笑いながら言っていた。
ただ、善も悪も笑って過ごせる世界にしたいと言っていた。壮大な夢であるが、可能なら叶えてあげたい。
「……」
でも、今は着替えよう。夕島が用意した部屋の前に着くと、鍵を開けて中に入る。部屋の中に入るとにやにやしながら私を見ている男の幽霊がいた。
ぱちぱちぱち
拍手をしている。
私は反応しないふりをした。
しかし、私の後ろでぱちぱちぱちぱちぱちぱちぱちと何度も拍手をしてくる。
笑顔で何度も何度もしてくる。
私は後ろを振り向いて幽霊にこういう。
「着替えをするから、出てくれないか」
しかし、相手はぱちぱちぱちぱちと拍手をする。
ぱちぱちぱちぱち
「……」
ぱちぱちぱちぱち
何度も何度も飽きずに楽しそうに拍手をする。
何がしたいのかわからない。
しかし、実質無害な奴は手を出せないので何もできない。
出来ることは説得のみである。
「着替えたいので出て行ってください」
無表情で感情を込めずに言う。
しかし、私の周りをとことこと走りながらぱちぱちぱちぱちぱちと楽しそうにする。
「……」
早く成仏しないかなと思う。
とりあえず、私はこのままでは着替えられないので
「もしもし、八咫烏です」
「はいはい、みんなのアイドル閻魔女王夕島だよー」
「……」
「……」
「……」
「はい、何ですか。八咫烏さん」
真面目な声で夕島が訪ねてきた。
「着いたホテルに良くわからない幽霊がいました。何か情報はありませんか」
「…うーん。そうですね、閻魔帳には何も書いてないですね。名前はわかりませんか」
「わからない。何を聞いても手を叩いてばかりで何一つ答えてくれません」
「八咫烏さん」
「なんですか」
「捕まえてください」
私はそれを聞いた瞬間、殴る蹴るの暴行を加える。
地獄警察公安11課には犯人の殺害の権限および、損失や社会復帰に重篤な障害を与える事を禁止されている。
つまり、その範囲内の攻撃で無力化する事は許されている
なので、こいつがどんなに血を流そうとも死ぬことは無く社会的復帰に重篤な障害も起こさないので問題ない。
「無力化完了」
私は手足の骨を折って夕島に連絡する。
「夕島、こいつの罪はなんですか」
「そいつ、手を叩きながら人の着替えを覗く覗き二人組です。つがいなので、もう一人捕まえないとだめです」
私はそれを聞いて周囲を見る。
どんという音とともに手を叩きながら、体をくねくねしながら逃げる女の人。
私は携帯を持ったまま走り出して、廊下に置いてあった消火器を左手で持って投擲。
ごんという鈍い音がしてバランスを崩して倒れる。
「覗きをして何が悪い」
私を憎むような眼で手を叩きながら言う。
「覗きがしたいなら、覗きをさせてくれる店や趣味の合う人間を見つける事だな」
「普通の人間が見えないからって、和国で許されるわけじゃないのだからな。まして、盗撮までして売るとかも和国では犯罪で被害者が引きこもりになったり、死んだりしているんだ。それで、どれだけ地獄のイメージが悪くなったと思っている」
「それがなんだよ。覗きで警察に見つかって、逃げる途中に死んで、幽霊に乗って私は覗きライフを満喫しようとして、さらに同じ趣味の恋人までできたのだ。私達2人を誰も邪魔する事はできない」
「……できますが」
私は演説する女の人を踏んだ。
「痛い、痛い、やめて」
「地獄で罪を償ってください」
私は死んだ目で言うと
「捕まえました」
と夕島に報告する。
「お手柄です。いやー、本当、八咫烏さんは優秀ですね」
「…回収はどうしますか?」
「あ、すぐに来ますので待っていてください」
夕島はそう言うと、桐谷がやってきた。
「お疲れ様です。回収しますので、あとは大丈夫ですよ」
「そうですか、すみません」
私はそう言うと、死んだ目で部屋に戻った。
部屋に戻るとカメラとか盗撮されてないかを確認してから着替えを行う。
それにしても、今日は酷い。見えない事を利用して犯罪を行う事で地獄の評判がますます悪くなっている。
元々はこの世の人間でないから良くわからない。
私は服を脱ぐと用意された服を着るのを止めた。
いろいろ、嘔吐物をかけられているのだ。これから、聲月に合う予定があるのだ。
「シャワーを浴びて、綺麗にするべきだ」
私は、シャワーを浴びることにするのであった。