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6 スタンドは顕在

6 スタンドは顕在


 内政チートは無理でした。


 世の中、魔晶石を使った魔導製品が溢れてて、知識チートの出番がまるでないんだよ?


 厨房には冷蔵庫にコンロ、オーブンがちゃんとあったし、換気扇だって回ってた。

 洗濯場にある洗濯機も音を立てて回ってる。

 その上には、メイドさん達のブラジャーとパンツが陰干しされてた。

 人の目につかないよう、隠してあるだけなのだ。

 まぁ、かくれんぼで隠れてる俺の目には隠されていないわけだけど。


 そう、ブラジャーやパンツの下着類も揃ってるんだよな。

 俺のブリーフも製品化されてたわけだし。

 ちらりと上着の縫製を見ると、どう見てもミシン目の縫い方だ。

 ミシンも魔導具開発されているんだろう。

 縫製技術も魔導製品同様、現代日本と遜色ない。


 リバーシやチェスといった娯楽用品も充実しているみたいだし、トランプもあったから、カジノなどの賭博場もきっとあるだろう。


 料理だって、食材は日本で見たものならほとんどあるみたいだし、塩、胡椒、砂糖、香草、ケチャップ、マヨネーズなどの調味料類も豊富だ。

 この前、ケヴィンが醤油せんべいを食べてたし、味噌ラーメンもあるって言ってた。

 無国籍で無秩序すぎだろ。

 なんなの、この世界。


 現代日本でできることは、ほとんどできるんじゃないか?

 様々な製品を大量生産し、運搬できるシステムとインフラは確実に存在してる。

 まだ未開拓なのは、第4次産業と言われている、通信事業、IT産業くらいじゃないだろうか。

 テレビやラジオは無いみたいだけど、それでも国家機密レベルならありそうだ。

 RPGゲームなら確実に存在する、魔導技術を使用した通信システム。この世界で無いなんてことはないだろう。

 一般に普及していないだけで、開発はすでにされていると見ていいはずだ。

 きっと魔導列車や、魔導車もあるだろうな。


 これじゃあ、現代日本で生きてるのと変わらないんじゃないか。

 文化レベルはすでに成熟してる。

 チートなんて必要ない。


 気になるのは、剣の稽古がある事だ。

 銃は存在しないのだろうか? これだけ発達した文明に、銃の重要性、危険性を聞かないのはおかしいだろう。

 それとも、あるけれど何らかの制限がかかっているのかも。

 魔法で代用可能だからだろうか?


 これだけの文明レベルなのに、政治形態はなぜか君主制みたいだが。

 このレベルで、民主制の考えが芽生えていないのはおかしいと思うんだけどな。

 立憲君主制なのだろうか。


 俺、どうしたらいいのかなぁ。

 一応は侯爵の跡を継ぐ予定だから、このまま領地経営をしていかなければならないだろう。

 けれど、この文明レベルだと、にわか知識でぼろ儲けなんてコトは無い。

 基礎知識レベルは高いはずだ。

 魔法を基礎とした学問も存在するはず。

 少なくとも魔法が不得手でも魔導技術の成り立ちや基礎理論くらいの知識を持っていないと社会人としては不合格になるんじゃないだろうか。


 つまりはこの世界の最高学府卒業は当然で、さらに貴族としての振る舞いが求められる。


 ……俺、馬鹿だったんだけど。

 勉強は嫌いだったし、成績は中の下。

 なのに、領地経営しろってか!?

 前世知識があってもこの世界の学歴社会に対応できる気がしねえ。


 ああ、でも、バカ貴族にはなりたくないよな。

 偉そうなだけの貴族のボンボン。

 これだけは嫌だ。

 イケメンのくせに、バカでアホでボンボンになったら負け組同然だ。

 他人なら指差して笑えるが、自分がそんな風になるのは許せん。


 はぁ……、せめて今の領地規模を維持できるだけの勉強はしておこう。

 教師が教えてくれることぐらいは理解しないと。

 こっちから質問したりアイデアを出したりなんてできないんだから。

 庶民の馬鹿をなめるなよ。


 発展は無理でも、維持なら優秀な部下がいれば大丈夫だろう。

 ……見限られないよう、頑張ろう。


 結局、今世(いま)前世(むかし)も学問は大事ってことだな。

 知識は重荷にならない財産……だったっけ?

 今から勉強して、先々の負担を極力減らそう。そうしよう。


 よし、目標は父上だ。

 父上を基準にすれば、間違いないだろう。

 やったるぜー!


 ひらひらと揺れるブラジャーとパンツに誓おう。


「見つけましたよ、坊ちゃん。……何してるんです? 拳なんて突き上げて」


 しまった、見つかった。

 この聖域に踏み込める度胸など、ケヴィンにあると思ってなかったのに。


「こんな所に隠れるなんて、坊ちゃんも男ですねぇ」


 ニヤニヤと笑って、ケヴィンのヤツもブラジャーを眺めてる。

 うん、でも後ろを見ような。

 余計な者まで連れて来やがって。


「あらあら、このような所に殿方がどの様な御用でしょう?」


 若いメイドさんだったが、背後に般若のスタンドが見える。

 俺とケヴィンに抗えるスタンドは存在しなかった。



 マーサ始め、メイドさん全員に怒られました。

 ケヴィンはしばらくの間、メイドさん達による無視の刑に処されました。


 ……俺は悪くない……よね?





 正直スマンかった。

 三日目にはケヴィンの目が死んでいたので、俺も土下座して許してもらいました。


ブクマありがとうございます。

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