12.どんなに長い夜も、必ず明ける。
The night is long
that never finds the day.
微笑みながら、チイが私をうながした。
「さあ、あいちゃん。答えてください。謎の暗号文の真意を――」
「うん。やってみるよ。
まず、最後の文章、
UYAOD UKN SAYUKNU
の意味は、
ariel and miranda.
つまり、『アリエルとミランダ』という意味ね」
「なるほど。では、文章の全体の意味はどうなりますか?」
「はいはい、まかせといて。
POOR SO PEEK.
ASTEYMUKM SOPPULO ME
UYAOD UKN SAYUKNU.
で、最後の文章が、ariel and miranda、だから、これまでに分かっている置き換え文字で修正すると、
PeeR me Poon.
imTorManM mePPaLe Mo
ariel and miranda.
となりますね」
ここで私は一息入れてから、またチャットを打ち込んだ。
「第二文の先頭の単語、imTorManM、はもう決まりだね。
important(重要な)で間違いない――。
となると、Mはtに置き換えられるから、第二文の三番目の単語、Mo、はto になっちゃうね。
つまり、第二文は
important mePPaLe to
ariel and miranda.
になっていて、これまで判明した文字の置き換えが、
O → e
E → o
U → a
A → i
I → おそらく u
K → n
N → d
Y → r
D → l
S → m
T → p
M → t
となって、あと分からないのが、P、R,Lの3文字だけど、
mePPaLe が、message (伝言)
であるのは、間違いないから、
P → s
L → g
も確定!」
「はい、そうだと思います。
残りの謎は、第一文の、PeeR me Poon、が置き換わった、
seeR me soon
だけです。
では、まだ確定していない単語、seeRの意味はなんでしょうか?」
「ええと――、候補として、seed, seek, seem, seen, seep, seer が検索できたけど、意味を考えれば、筋が通るのは、seek、だけかな?」
「ですね。つまり、この暗号文の意味は、
Seek me soon.
Important message to
Ariel and Miranda.
ということです!」
「つまり……?」
「ええと、
今すぐ、私を見つけてください。
アリエルとミランダへの重要なメッセージ、
となります」
「わーい、やったね。謎が解けちゃった! やっぱ、うちらってすごいよねえ。
ところでさ……、『私』って、誰のこと?」
「うーん。また新しい謎ができちゃいましたね」
私が分からずに訊ねると、頼みのチイも、腕組みをしながら、考え込んでしまった。
「思うに、『私』って人は、このお屋敷のどこかに閉じ込められていて、私を見つけ出してください。そうすれば、悪い男爵をやっつける秘策を伝授しますよ、的なことを提供してくれる、丸秘隠れキャラじゃないかなあ」
「なるほど。そんな気もしますね。
でも、どこにいるんでしょうね。その救世主さん?」
「地下牢――で間違いなし!」
「らせん階段の上はどうですか……?」
「うん。それもあり得る。チイちゃん、さすがだね」
「結局、どこなんでしょう」
「うん。ちんぷんかんぷん」
私たちは、しばらく途方に暮れていた。
「とにかく、この『私』さんを見つけ出さないと、にっくき男爵をやっつけることはできないんだよね。困ったなあ」
私がぽつりとつぶやくと、突然、チイが大声を上げた。
「そっか。あいちゃん。分かりましたよ。『私』さんの正体が!」
「えっ、誰なの?」




