表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
英雄に花束を  作者: 麦野
第一章「英雄の不幸」
1/1

プロローグ

私は幸せになりたい。


私の幸せは、彼といること。彼は私の愛し、愛してくれる人。彼といるだけで、私の心は満たされる。私の幸せは満ちる。


今日も、彼は仕事へ出掛けていった。私が作った朝ごはんを食べて。今日のメニューは、食パンに、目玉焼き、コーヒー。彼は、食パンに、バターを目一杯塗って、目玉焼きをのせ、それを口いっぱいに頬張った。彼は、目玉焼きが落ちないように苦戦しながら、もごもごと週末のデートの予定を楽しそうに話す。コーヒーのカップを傾けると、彼は楽しげな顔から、苦い顔を変わった。どうやら、私が、砂糖を入れ忘れたみたいだ。渋々、二三個角砂糖を入れた彼はコーヒーの一気に飲み干し、残った食パンを飲み込んで、玄関に向かった。


私は、仕事へ向かう彼を見送るために、後から彼に着いていった。彼の広く、頼もしい背中は飛び込みたくなるほどで、玄関への向かう間、それを眺めて、少し惚けてしまった。今日の帰宅時間を尋ねると、遅くなるということを伝えられた。少し落ち込んだ顔していると、察してくれたのか、頭を撫でながら、出来るだけ早く帰るからと慰めてくれた。



彼が仕事に出て行った後、彼がさっきまで座っていた椅子に座ってみた。まだ暖かい。自分の行動に呆れながら、私は食パンに口をつけた。



「おいしい…」


これが私の幸せなんだろう。ささやかだけれど、この日常を噛み締める。彼との日常を、幸せを。私は心をいっぱいにして、頬張った。


明日も、明後日も、私と彼が幸せでありますように、私はそう願っている。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ