表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ただの恩返しの話  作者: ken
1/1

プロローグ

今回初の投稿となります。

更新は気分次第になります。

 春、榛原宗一はいばらそういちは霧山総合高等学校の生徒となる。

 家から離れているが高校には寮があると聞き、そこに住むことにしている。

 偏差値もそこそこあり、入るのには苦労をした。中学の時には先生に止められたこともある。つまり、ギリギリ入学できたということだ。

 霧山総合高等学校に入りたかった理由は三つある。一つ目は一人暮らしをしてみたかったこと。二つ目は勉強がしたかったこと。そして三つ目は親友のこと。三つ目が一番の目的だ。

 俺は親友と同じ高校に入ると約束した。というか、アイツが頼んできた。けれど、いくら親友がいく高校に自分までついていく奴はそうそういない。けど俺はそのついていく奴だ。

 俺は過去に何度も親友に助けられている。中学のころは・・・お世話になりすぎた・・・なんて。

 ふと時計を見る、もう時間のようだ。いつまでも布団の中で寝ているわけにもいかない。もうすぐ寮に荷物を運びにいかなければならない。入学まであと三日、荷物を運んですらいないのは俺だけじゃないのかと思う。引っ越し屋を呼んでおくべきだったかな。

 なんて考えながら、カーテンを開く。朝日がまぶしい、今日も快晴だ。

 俺はドアを開け、階段を降りる。


-----------------------------------------------------------------------------------


 身支度をすませ、朝食を簡単にすませる。食パンに苺ジャムをぬっただけだ。

 荷物を両手で持ち、玄関から出る。この荷物の量だと三往復はする必要がありそうだ。

 両親はどっちも朝早くから出勤。自分で全部運ぶしかないようだ。

 玄関のドアの鍵を閉め、家の前の道に出る。すると、俺の親友の声が聞こえた。

 「おはよう、朝から大変だな。手伝おうか?」

 コイツが親友の雪村勇樹ゆきむらゆうき。朝から元気な奴だ、地域のボランティア活動のゴミ拾いをしながら手伝おうとか、親切すぎる。

 昔からコイツは親切すぎる、それに成績優秀だし運動も出来る。友達も多くてモテモテなやつだ。

 「おい、どうしたんだ宗一、まだ寝ぼけてるのか?」

 「あ、あぁ、おはよう。ちょっと荷物の準備で疲れて眠れなかったんだ」

 「しっかりしろよな、じゃあ俺ゴミ拾いあるから」

 ゴミ袋を片手に勇樹は公民館をあるほうへ走っていった。ゴミ袋の中はもういっぱいだったから片付けにいったんだろう。というか、どっからあんなにゴミをあつめてきたのだろう。

 「はっ、いかんいかん。はやく荷物を運ばないと・・・」

 このまま突っ立っていたら今日中に終わる気がしない。俺は高校のあるほうへ歩き出した。


-----------------------------------------------------------------------------------



 あれから5時間後、走っては歩いて歩いては走っての繰り返しで荷物を寮に運んだ。

 もう疲れた、昼食の時間もすぎておやつの時間だ。何故だろう、疲れると逆にお腹がすかない。

 これはもう寝たほうがいいんじゃないかと思うほど疲れた。

 俺は荷物でいっぱいの部屋でバタリと横になる。床がひんやりしている。気持ちよいというか、汗で気持ち悪い。まずはシャワーか。でもこんな時間からシャワーもどうかなと思う。

 疲れきった体を起こして部屋の窓をあける。俺の部屋は2階の10号室だ。家の自分の部屋より広い。なのに家賃もおてごろ・・って家賃っていうのか?まぁいいか、まさか寮が空いてるとは思わなかったしラッキーだ、というのもこの寮10人しか入れないという。なんでこんな寮立てたんだ、部屋増やしたほうがいいだろ完全に。管理が面倒なだけなのか、予算がないのか。

 「なんてどうでもいいか、この高校に入れただけでもよかったじゃないか」

 なんて独り言をつぶやく。さて、明日は高校周辺の探索でもしてみようかな。一度見に来たことはあるけど、しっかりとは探索しなかったからなぁ。

 窓から顔を出す。風が気持ちいい、まぁ汗のせいなんだろうけど。

 「はあぁぁ、高校生活楽しみだな・・・」

 「そうだな」

 ・・・・・・・・・・・?

 あれ?独り言のはずなのに会話になってる?

 「まさか部屋が隣なんてな、宗一」

 「ゆ、勇樹!?」

 ななななななんでコイツがここにいるんだ?え?

 「俺もこっちに来たってことだよ」

 え、じゃあコイツは俺の隣の11号室の住人だというの?

 「そ、そっかそれはうれしいなぁ」

 いきなりでびっくりしたけど、これはありがたい。親友がいるから心強いというわけでもあるが、俺のもうひとつの目的を果たすためのチャンス到来ということだ。

 もうひとつの目的、それは親友に恩返しをすること。コイツには恩を返せないほどの助けをしてもらった。もちろん恩返しの方法も考えてある。それは、高校生活を充実させる、ということ。俺がどんなに苦労しようと、コイツだけは楽しい高校生活を送ってほしい。それだけの恩がある。それだけでは足りないくらいだと思う。

 「あのさ宗一」

 「なんだよ?」

 勇樹は俺のほうを向いて言った。

 「高校生活、頑張ろうな」

 勇樹は左手を握って俺に向けた。

 「あぁ、そうだな」

 俺も右手を握り、勇樹の左手とぶつけた。

 

 

 こうして、俺の恩返しの高校生活が始まる―――――――――





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ