プロローグ
今回初の投稿となります。
更新は気分次第になります。
春、榛原宗一は霧山総合高等学校の生徒となる。
家から離れているが高校には寮があると聞き、そこに住むことにしている。
偏差値もそこそこあり、入るのには苦労をした。中学の時には先生に止められたこともある。つまり、ギリギリ入学できたということだ。
霧山総合高等学校に入りたかった理由は三つある。一つ目は一人暮らしをしてみたかったこと。二つ目は勉強がしたかったこと。そして三つ目は親友のこと。三つ目が一番の目的だ。
俺は親友と同じ高校に入ると約束した。というか、アイツが頼んできた。けれど、いくら親友がいく高校に自分までついていく奴はそうそういない。けど俺はそのついていく奴だ。
俺は過去に何度も親友に助けられている。中学のころは・・・お世話になりすぎた・・・なんて。
ふと時計を見る、もう時間のようだ。いつまでも布団の中で寝ているわけにもいかない。もうすぐ寮に荷物を運びにいかなければならない。入学まであと三日、荷物を運んですらいないのは俺だけじゃないのかと思う。引っ越し屋を呼んでおくべきだったかな。
なんて考えながら、カーテンを開く。朝日がまぶしい、今日も快晴だ。
俺はドアを開け、階段を降りる。
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身支度をすませ、朝食を簡単にすませる。食パンに苺ジャムをぬっただけだ。
荷物を両手で持ち、玄関から出る。この荷物の量だと三往復はする必要がありそうだ。
両親はどっちも朝早くから出勤。自分で全部運ぶしかないようだ。
玄関のドアの鍵を閉め、家の前の道に出る。すると、俺の親友の声が聞こえた。
「おはよう、朝から大変だな。手伝おうか?」
コイツが親友の雪村勇樹。朝から元気な奴だ、地域のボランティア活動のゴミ拾いをしながら手伝おうとか、親切すぎる。
昔からコイツは親切すぎる、それに成績優秀だし運動も出来る。友達も多くてモテモテなやつだ。
「おい、どうしたんだ宗一、まだ寝ぼけてるのか?」
「あ、あぁ、おはよう。ちょっと荷物の準備で疲れて眠れなかったんだ」
「しっかりしろよな、じゃあ俺ゴミ拾いあるから」
ゴミ袋を片手に勇樹は公民館をあるほうへ走っていった。ゴミ袋の中はもういっぱいだったから片付けにいったんだろう。というか、どっからあんなにゴミをあつめてきたのだろう。
「はっ、いかんいかん。はやく荷物を運ばないと・・・」
このまま突っ立っていたら今日中に終わる気がしない。俺は高校のあるほうへ歩き出した。
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あれから5時間後、走っては歩いて歩いては走っての繰り返しで荷物を寮に運んだ。
もう疲れた、昼食の時間もすぎておやつの時間だ。何故だろう、疲れると逆にお腹がすかない。
これはもう寝たほうがいいんじゃないかと思うほど疲れた。
俺は荷物でいっぱいの部屋でバタリと横になる。床がひんやりしている。気持ちよいというか、汗で気持ち悪い。まずはシャワーか。でもこんな時間からシャワーもどうかなと思う。
疲れきった体を起こして部屋の窓をあける。俺の部屋は2階の10号室だ。家の自分の部屋より広い。なのに家賃もおてごろ・・って家賃っていうのか?まぁいいか、まさか寮が空いてるとは思わなかったしラッキーだ、というのもこの寮10人しか入れないという。なんでこんな寮立てたんだ、部屋増やしたほうがいいだろ完全に。管理が面倒なだけなのか、予算がないのか。
「なんてどうでもいいか、この高校に入れただけでもよかったじゃないか」
なんて独り言をつぶやく。さて、明日は高校周辺の探索でもしてみようかな。一度見に来たことはあるけど、しっかりとは探索しなかったからなぁ。
窓から顔を出す。風が気持ちいい、まぁ汗のせいなんだろうけど。
「はあぁぁ、高校生活楽しみだな・・・」
「そうだな」
・・・・・・・・・・・?
あれ?独り言のはずなのに会話になってる?
「まさか部屋が隣なんてな、宗一」
「ゆ、勇樹!?」
ななななななんでコイツがここにいるんだ?え?
「俺もこっちに来たってことだよ」
え、じゃあコイツは俺の隣の11号室の住人だというの?
「そ、そっかそれはうれしいなぁ」
いきなりでびっくりしたけど、これはありがたい。親友がいるから心強いというわけでもあるが、俺のもうひとつの目的を果たすためのチャンス到来ということだ。
もうひとつの目的、それは親友に恩返しをすること。コイツには恩を返せないほどの助けをしてもらった。もちろん恩返しの方法も考えてある。それは、高校生活を充実させる、ということ。俺がどんなに苦労しようと、コイツだけは楽しい高校生活を送ってほしい。それだけの恩がある。それだけでは足りないくらいだと思う。
「あのさ宗一」
「なんだよ?」
勇樹は俺のほうを向いて言った。
「高校生活、頑張ろうな」
勇樹は左手を握って俺に向けた。
「あぁ、そうだな」
俺も右手を握り、勇樹の左手とぶつけた。
こうして、俺の恩返しの高校生活が始まる―――――――――