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遺してしまう貴方へ捧げる の唄

作者: 詩季


消える、きえる、キエル

私という存在が、この世界から、消える

本当はそれはとても正しい(いい)事なのよ?

だって貴方は生きているけれど私は死んでいるから


幽霊(ししゃ)は、死んでようやく(きえることが)自由になれるの(さだめ)

成仏って柄じゃないけれど、でも、悪くは無いわ

だって疲れたんだもの

貴方を、世界を(すべてのものを)憎み続ける事に


ねぇ、憎しみに身を焦がすのは私だけで十分

過去を引きずり続ける事も、未来へ進めない事も

だから、本当は貴方を(わたしだけが)巻き込みたく(せおうつみ)なかった(のはずだった)

なのに、貴方は私と有り続ける事を選んだ

(それがどうなるか、解っていて)


でもね、それでも、

嬉しくない、はずが無いじゃない

貴方は私を必要としてくれた

(例え歪んだ願いであったとしても)

私の為に、私だけと共にあろうとした

(私以外はいらないと)


本当は、別に良かったの

貴方が他の誰かを必要として私の元から離れても

(私の事を忘れ去ってしまっても)

私以外の(私よりも)大切な人が出来たとしても

(だって人は、生者は進んでいかなければ)


それでも、私と共にある事を選んでくれた

(其の事に、絶望さえしたけれど)

嬉しくない、はずが無い

(だって私にはもう貴方だけ)



もっと、ずっと、(永遠にあなたと)一緒にいたかった

其れは本当(本心)




それでも


他の誰でも無い、貴方自身の為に

私は敢えて此の手を放そう


私と云う存在を、私其の物を以って

貴方に託そう(かえそう)

唄われないまま忘れ去られた唄を

(貴方から奪ってしまった歌を、今返そう)





貴方が再び歌う時


其の時まで空となり水となり貴方を抱く誰かであり貴方を包む空気となりずっと傍にいるわ


そして


それから(其の時が) いなくなるよ(本当のさよなら)




それでも貴方にだけは幸せになってもらいたかった、身勝手な姉の、最期の遺言


遺したものは何を願いながら逝くのか、それを識る者は、いない

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