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男爵家の六人目の末娘は、○○を得るために努力します  作者: りな
第1章

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婚約しました

学院の食堂で昼食をとっていたある日。

突然、生徒が走り込んできて、ひときわ大きな声で叫んだ。


「し、知らせだ! 辺境伯家嫡男エドモンドと、リリアーナが――婚約だって!」


一瞬、食堂は水を打ったように静まり返る。

スプーンを落とした音がやけに響いた。


次の瞬間。

「えええええええええええっっ!?」


女子生徒たちの悲鳴と男子生徒たちの呻き声が重なり、食堂が崩れるんじゃないかと思うほどの大騒動に包まれる。



リリアーナの親

執務室に婚約打診の速達が届くと、父と母は文字通り目をむいた。

「リリアーナが……婚約? それも、エドモンド様と!?」

母は慌てて椅子を引き、父は眼鏡を外す。

しかし次の瞬間、二人とも肩を落とした。

「でも、本人が決めたのなら……」

「リリアーナは自分で選ぶ力を持った子ですから」

思いのほかあっさり受け入れる両親。

「それにしても、あの子が自分から“好き”を選ぶ日が来るとは……」と感無量。


エドモンドの親

辺境伯夫妻の手紙の反応は豪快だった。

「エドモンドが婚約!? しかも男爵令嬢と!? よくやったぞ!」

父はすぐに使用人に命じてワインを開け(母に怪我人だからと、泣く泣く一杯で諦める)、母は目元をハンカチで押さえながら「エドモンドが自分で選んだ人なのね」と微笑む。

「信じましょう。真剣に考えているに決まってます」

――どこかで“さすが私たちの息子だ”と誇らしげ。




数名の男子生徒たち

「終わった……」

「あの独りの姿が、守りたくなるようで良かったのに……」


多くの女子生徒たち

「エドモンド様が!?」

「いやっ。信じられない……」

「でもリリアーナの歌声は、確かに……」

――半分納得、半分「信じられない」という複雑な顔。


ユリウス

学年一の人気貴公子ユリウスは机に突っ伏し、天を仰ぐ。

「俺の彼女への想いは…無駄だったのか……!」

横の友人「いやいや、そもそも本気で狙ってたわけじゃないだろ!」

「……狙ってたさ(小声)」


王女

寮室で知らせを受けると、ぱっと顔を輝かせた。

「まあ! リリアーナが!? 素晴らしいことですわ!」

拍手まで始める王女。

取り巻きたちは……ここまで喜ばれると逆に驚きます」と小声でひそひそ。

「だって、あの二人、とてもお似合いですもの!」


アデライト

一方で、リリアーナ大好きアデライトはぷんぷん顔。

「ちょっと! 私、来年もリリアーナと一緒に学院生活を楽しみにしてたのに!」

「婚約だなんて、勝手に卒業なんて!」

机をばんっと叩き、涙目で怒る。

周りのメイド「アデライト様、かわいい……」とほほえましく見守る。


公爵

発表を聞くと、老練な笑みを浮かべて小さくうなずいた。

「……なるほど。あの二人が組めば、きっと強い」

「北の地は厳しい。だが、彼女なら……」

――にっこり微笑む。



学院の一日が終わる頃


学院中がリリアーナとエドモンドの話題で持ちきりだった。

恋の噂、歌の話、剣術の授業での様子……今まで彼女を軽んじていた生徒たちまでもが「実は気になってたんだよな」と手のひら返し。


「……お騒がせしてしまいましたね」と苦笑するリリアーナ。

その隣でエドモンドは眉一つ動かさず、きっぱりと言う。

「騒がれて構わない。君を婚約者と呼べることの方が、ずっと大事だ」


その一言で、リリアーナの頬は真っ赤に染まった。



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― 新着の感想 ―
・ユリウス いじめ問題に気付きもせず、手を打たなかった辺りで、ね。 ある意味、絶好のチャンスを不意にしてきたあほう。 今更、です(笑)。
アデライト嬢学年一緒だったのにいじめに気付かなかったんかい!
 辺境伯、酒呑めるんなら大丈夫じゃんよ(笑)
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