日常4
1日目ありがとうございます。
扉の前に立つ。ここはこの国の王であり皇帝である父の書斎であり、書類の確認などはこの部屋で行うのである。
「入ってもよろしいでしょうか父様。」
3歳とは思えないような挨拶ではあるものの父アイザックは子供の成長に嬉しくなった。
「ああ、入れ。」
「よろしいでしょうかなんて余所余所しい言い方しなくてもいいのに」と母様がいじけたように言う。
「母様がいない間も敬語の勉強をしましたから」
これは真っ赤なウソだ。この国の言葉は日本と全く一緒なので勉強のしようがない。が言葉はどこで覚えたということになるので本がいっぱいおいてある図書室に定期的に通って本を読むふりをして魔法の練習をしている。オリビアにも口止めしていてアレク様は本も読まずに喋れるだなんて天才と言っていたがバレないかと思ってビクビクしている。
「うちの子は努力の天才かしら」
「ははっ天才というのは本当かもしれんな」
と2人してよいしょしてくるが何も上げることができない。
「いえ、これぐらい皆ができることでしょう。」
「謙虚さはいいことだ。でだな最近かなり魔法と剣を頑張っているみたいだから、魔法と剣の師匠はどうしようかと思ってな。」
「そうですね。もうそろそろ教えてくれる師匠がいないと上級魔法以上は難しいですね。剣はオリビアが教えてくれるそうなのでオリビアにお願いしたいとおもってます。」
「中級魔法まではもう出来るようになったか。私は6歳くらいだったが贔屓目で見ても天才だな。」わっはっははっはっはと笑った。
「だがアレクよ、うぬぼれてはならんぞ常に上には上がいると思え。」
「確かに油断して死にたくありませんから。でも強い分に悪いことはありませんから」
「偉いわねー。アレクちゃんは」
母様はたまにちゃん付けしてくるが少し恥ずかしい。
「そういえばアレクのメイドにしたオリビアとは何かあったか?」
ここでのなにかとは俺はまだ3歳なのでそういうエッチなことはできないが子供ながらに結婚するーなんてことを言っているのかという確認だ。
「いえ、なにもありません。最近じゃあ料理に洗濯まで出来るようになったので基本オリビアと一緒にいますけど。」
「オリビアちゃん可愛いからアレクちゃんが取られないか心配だわ」
「まだアレクにはあの体の良さがわからんか」
といった瞬間に部屋の温度が下がり明らかに母様の周りが極寒になっている。
「陛下もやっぱり若い女の子が好きなんですね。」
と母様が鬼のような顔をして言う。
「いやそういうことじゃなくてだな」
「もう知りません。アレクちゃん後でおいでね」と言って母様は部屋から出て行ってしまった。
「すまんな、アレク」
「いえですが父様、お母様が怒るのも無理はありません」
「だ、だよな。オリビアより年もいってるしこう言っては何だが胸がないしな」
「父様、そういうところです。母様に後で誤っておくことをおすすめします。」
「じゃあアレクはオリビアの良さがわからんというのか?」
俺の年齢は3歳だと言うことを忘れているのかこんなことを言ってくるがもちろん
「オリビアは僕のものです。父様にもあげる気はありません」とはっきり言っておく。
「ふ、お前も男だなアレク。頭が良すぎて遊ばなすぎるのも問題だからそれぐらいでちょうどいい」
父様は3歳に対して何を言っているのだろうと疑問になるが。
父様は「もし結婚するならオリビアの家の格はどうしようか?上がらないということはないよなー」と1人で熟考している。
話を変えるために
「父様、今回の戦争は大丈夫だったのでしょうか?」
「ああ、まあな。子供に言うことではないかもしれんがギリギリ講和に持ち込めた感じだな。」
何がギリギリなのかは考えるまでもない。この国と戦争をしていたゴーデン群衆国はこの国よりも戦争が強いのでいつもというわけでもないが良くてほぼ互角悪くて敗戦といった感じだ。
客観的な俺がこの国を立て直すなんて無理だ。王を諦めろと言ってくるがこの状況で燃えない奴がいるわけない。絶対王になってゴーデン群衆国を見返してやると決意する。
「講和に持ち込めたということは僕らはまたなにを出して平和を買うのですか?」
「食料だ。ゴーデン群衆国は今年いつもよりさらに不作でほとんど食料がないらしい。」
ゴーデン群衆国は食べ物が作りにくい土地で常に食糧難なのだとか。
「講和はいいが被害にあった町や村が酷くてな。」
「どういうことですか?」
「ゴーデン群衆国の子どもたちが一番最初に教えられる言葉を知ってるか?」
「いえ」
「弱いものから奪えだ。だから襲われた土地にはもう何も残ってない。」
日本では考えられないがこれがこの世界の現実と言えるだろう。
だが、それでも。客観的な俺が弱いものから奪えと言う奴らならいつかは自分たちが奪われる側に立っても文句は言えないということだと言ってくる。
それには俺も同意だ。ゴーデン群衆国は確実に俺の手で潰すと決めた。